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閑話【最終回】 『お茶の時間の彼女たち』

堂々の完結です!

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。


最初は10万字前後の予定でしたが、終わってみれば30万字近くに(。-`ω-)

期間も予定の3倍かかってしまいました。

読者の皆様には多大なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

 物語はこうして終わったかのように思われたが……


「ところでアンナ。如何に貴女が優秀でも、彼らの陰謀をこれほど都合良く利用できないと思うのだけれど?」

「そこはスパイが多数おりまして。奴らの中にも信者……間者を潜り込ませておりましたから」

「ちょっと待ってアンナ。信者?いま信者って言ったわよね?」

「どうもアンナさん巷で怪しげな宗教の教祖やっているようですよぉ」

「ルル!怪しげとは何ですか!リュシリュー領のみならず今やこの王都でも多数の信者を抱える……はっ!しまった!」

「ちなみに『リリ様教』って名前ですぅ」

「アンナ!」

「失礼な!『リリ様教』ではありません。正式名称は『偉大なるリリーエン・リュシリュー様の美貌と美体を讃えよ、ああ世界で最も美しい女性はリリーエン・リュシリュー様であるということを忘れてはならない。神々をも圧倒したリリーエン・リュシリュー様の美しさは永遠なるものなり教。』です!」

「その恥ずかしい宗教名はなんなの!?」

「ですよねぇ。私も名前聞いた時そう思いましたぁ」

「ちっ!元ネタを知らない乙女ゲーマーめ」

「あ、リリ様ちなみに収入源はこれみたいですよぉ」

「ルル!貴女どうやって信者限定品のその宗教画(ブロマイド)御神体(フィギュア)を!」

「学園にいる男性信者に『わー!かわいい私もそれ欲しいっ!』って上目でおねだりしたら譲ってくれましたぁ」

「くっ!信者に背教者(裏切り者)が出ましたか。これもヒロイン補正ですか」

「ちょっと待って。その絵も像も私の姿よね!」

「はい!絵師と彫刻師も信者でして、リリ様のお姿に創作意欲が湧いたようで彼らもかなり腕を振るっておりました!」

「私も男性信者が手にしているにを見て驚きました。凄いクオリティですよねぇ」

「……ねぇアンナ、いったいこの絵と像はどれくら出回っているの?」

「そうですねぇ、リュシリュー領ではもはや国教よりも信者が多く、この王都でもじわじわ国教を侵しておりますので、信者もそれなりに……フィギュアは1万体といったところでしょうか?ブロマイドに至っては10万枚は下らないかと」

「……」

「リリ様魂が抜けそうですよぉ。あれ?でもその程度で収入で足りるんですかぁ?リュシリュー領で国教以上の信者がいるなら人口考えれば信者数既に王都合わせて10万人は下らないですよね?」

「アンナ!何顔背けてるの。まだ隠していることあるわよね。こっち向きなさい」

「エ?ベツニナニモカクシテイナイデスヨ?」

「アンナ!顔向けて目を泳がせない!しっかり私を見なさい」

「アンナさんゲロった方がいいですよ」

「くっ!この恩知らずが!」

「ア・ン・ナ〜!」

「えーっと。これらとは別に定期収入として聖水を……」

「聖水?」

「聖水……はっ!?まさかアンナさん、そんな変態的行為を!」

「変態?ルルどういうこと?聖水なんでしょ?」

「その……聖水というのは御不浄的なぁ?……そのお小水?」

「うそ!?何ですかそれは!」

「私達の前世の世界では美少女のそれを『聖水』と呼んでありがたがっている変態さん達がいてぇ」

「いや〜!!!」

「ぐえ!リリ様ギブ、ギブ。首が絞まってます。死んじゃいます」

「アンナを殺して私も死にます!」

「(追い詰められたリリ様ってレアで可愛い!もっと追い詰めちゃおうかな)」

「ご、ご安心下さい。このアンナ、その様な破廉恥極まる真似は致しません」

「本当に?」

「(あ、涙目のリリ様も可愛い!)」

「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ(死ぬかと思った)……当然です!私はそんな変態ではありません」

「信じていいのね?」

「もちろんです!このアンナ、その様な暗黒面に堕ちるなど決してありません!私どもは崇高な信仰のもとリリ様を崇め奉っております。リリ様に不埒な真似などむしろさせません!」

「本当に本当ね?アンナを信じていいのよね?」

「モチのロンです!このアンナ、常にリリ様の理解者であり味方です!もしそのようなダークサイドに堕ちた汚れた醜いブタどもが現れたならこのアンナ自ら殺処分します。汚物は消毒です!」

「アンナァ〜」

「リリ様ぁ!」

「あのぉ感動して抱き合っているところすみませんが、結局聖水って何なんですかぁ?」

「ルル!貴女分かっていてやってるでしょ!このタイミング、絶対分かってるでしょ」

「エ?ナンノコトデスカ?」

「アンナ!どういうこと?ちょっと顔背けない!しっかり私を見なさい!」

「ゲロっちまいなよアンナさん」

「くっ!……その……あの……聖水というのは……の……ゲフンゲフン……ゆです」

「アンナ聞こえないわ。目を泳がせない。疚しいことがないなら私の目を見てはっきり答えなさい」

「……ゆ……です」

「アンナ……怒らないからきちんと答えて。私ねアンナの事が好きよ。ずっと私の専属でいて欲しいと思っているわ。アンナを信じたいの。お願いだから正直に答えて」

「その表情でお願いは狡いです……ホントに怒りませんか?」

「ええ、もちろん。私とアンナの仲じゃない」

「本当ですね?絶対ですね?」

「本当です。絶対です」

「その……聖水と言うのは、リリ様のお風呂の残り湯でございます!」

「……は?」

「残り湯って……は!まさか飲むんですかぁ?アンナさんそれって十分変態さんじゃないですかぁ!?」

「聖水です!美人の残り湯、ましてや神の如きリリ様の残り湯は美肌にサイコー!と男性信者のみならず女性信者からも支持を得ているのです」

「リリ様教の信者は一線超えちゃってるんですかぁ?女性も男性もみな変態さんなんですかぁ!?」

「アンナ!その様な怪しげな邪教は廃教です!即刻潰しなさい!!」

「無理です!」

「何故断言なの?アンナが教祖なのよね」

「はい私が教祖であり『偉大なるリリーエン・リュシリュー様の美貌と美体を讃えよ、ああ世界で最も美しい女性はリリーエン・リュシリュー様であるということを忘れてはならない。神々をも圧倒したリリーエン・リュシリュー様の美しさは永遠なるものなり教。』の設立者です。あ、ちなみに現在教皇を拝命しております」

「もう長いからリリ様教でいいわ。それで何故解体できないの?」

「先程も申し上げましたようにリュシリュー領や王都でかなりの数の信者がおり、私も把握できておりません。数十万人はいるかと思われる信者達は総本山から離れて宗派を作っている者達まで。もはや私の手を離れ収拾がつかない状態です」

「そんなにいるの!?」

「はい。今こうしている間にも着々と信者を増やしており、例え教皇たる私が解散を命じても誰も納得しません。むしろ教義で抑制して暴徒がリリ様に手出しできないようにしておりますので、無理に解散させれば下手をすれと大暴動がおき、リリ様の身に危険が及ぶ可能性も」

「……」

「あ、リリ様の魂が抜けちゃった」

「いやぁぁぁリリ様!リリ様ぁぁぁ!」


 後にも先にもリリを本当の意味で心胆寒からしめ、動揺させたのは専属侍女のアンナだけであったと伝説に記されている。


 これがリリの平和な一幕……


【付記】

リリ「結局のところ魂魄置換の魔術研究者も既にアンナの手の者になっていたのね」

アンナ「ええ。あの者はとっくに敬虔なリリ様教信者です」

リリ「まったく……ところでアンナ、前話で最終話よね?何でこの回は閑話なのかしら?」

アンナ「ああその事ですか。最後に何故閑話かと言いますと、この作品の評価がある程度つくなら続編があるという作者の意図で」

ルル「伏線回収できていませんしねぇ。殿下との婚約破棄とか、アンナさんとギル様との恋の行方とか色々ありますぅ」

アンナ「あの男はいいんです。貴女と第2王子の方が現実的でしょう」

ルル「そっちの方が現実性ないと思いますが、他にも『しろくろ』続編のネネの件もありますしねぇ」

リリ「あのねアンナ、ルル。そういうのは閑話ではなく次回予告でするものなのではないかしら?」

アンナ「あまりの低評価に次回がないかもしれないからです」

ルル「世知辛いですぅ」

リリ「……」



これにて『チェンジ!』は1部が完結です。

2部と3部の構想はあるのですが、『令嬢類最強』の執筆再開と新作の構想があるので、いったん終了させていただきます。今のところ再開をいつにするかはきめてありませんが、需要がありそうでしたら、またリリたちの物語を再開すると思います。今後ともよろしくお願いします。


最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。

もし面白いと思っていただけたならブックマークや評価をいただけると大変嬉しいです。

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