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第32話 『侯爵令嬢は独立勉強集会マ・リ・イを設立する』

更新が遅くなりました!

最後までプロットはできたのですが、文章が書けないorz

最後に近づくほど文章力って必要になるんですね。

 

 計画決行当日の朝……


──ついにこの日が来た。


 シャァァァー!


 リリはカーテンを開ける。朝日が差し込みリリの目を刺激する。光の強さに目を細めたリリは、強い光を遮るように手を翳す。空は晴れ青空が広がり、吸い込んだ空気は澄んでいる。まるで今日という日を祝福しているかのようだ。


 昨日の会談は大変に素晴らしい収穫であったとリリは自画自賛する。


 これで元に戻ってもマリーたちとの繋がりは維持できると考えて差し支えあるまい。そう、リリはついに念願の『お友達』を手に入れたのだ。


──お友達……なんと甘美な響き。


 にやにやが止まらない。


 『マリークラス』の設立が確定したことも大変に喜ばしいことだ。何故ならリリに更なるお友達をもたらす可能性を秘めているからだ。まさに友達100人できるかな状態である。まあ、1学年全て友達になれても100人届かないのだけれども。


 今日は『マリークラス』設立の宣言を行う日だ。昨日の話し合いで決定した。


 現在、マリーを筆頭にリリ、カーラ、サラの4人が『マリークラス』設立者として名をあげている。この他にカーラとサラが参加者を1人ずつ勧誘しており、一昨日にはマリーがトゥルーズ伯爵令嬢の勧誘に成功した。


 トゥルーズ伯爵令嬢の参入にあたり、取り巻きの3人も自動的に参加が決定し、10人もの参加が確定した。これは実にクラスの半数近くになる。


──幸先の良い出だしです。


 リリは1人ほくそ笑む。


 人数だけではない。質もよい。カーラとサラはこのクラスではトップレベルの成績だし、彼女たちの勧誘した生徒たちも意欲は十分だった。


 トゥルーズ伯爵令嬢は魔力保持容量が高く、我流のため魔術言語の基礎がまだできていなかったが、独学であれだけできる才能がある。


 これは期待ができるメンツだ。


──私とアンナで徹底的に改造すれば、かなりいい線いくのではないでしょうか?


「うふふふ……くっくっくっく……あはははは……」


 1人不気味に笑うリリ。


 しかし、リリは気がついていなかった。リリの背後で起こしに来た最愛の妹(注:ルルの妹です)と可愛い飼い猫(注:ルルの飼い猫です)が狂ったように笑うリリに怯えて抱き合っていることに……



∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻∻



 今朝、ネネとシャノワがリリを怖がって逃げ出してしまい、リリは『可愛い』成分が不足して気落ちしながら登校した。


 マリーからも『マリークラス』命名の件で、リリに冷たい。今朝も教室で挨拶したら「ツーン」と言ってそっぽを向かれた。


──いえ、あれはあれで可愛かったです。


 自分で「ツーン」と言うマリーを思い出してリリは顔がにやけてしまった。


──早くマリーで癒されましょう!


 今日の昼休みに、『マリークラス』決起集会が執り行われることが決まっている。適当な広さの場所がなかったため、食堂で集まることになった。既に、マリーたちはその食堂へ行っているはずだ。


 リリも遅れて食堂へと向かう。その通路の途中に金髪碧眼のワインレッドのスカーフに白いスーツを着た人物と遭遇した。かなりの美形である。


 ライル……ではない。


 スーツを着用してはいたが、フォルムからおそらく女性。光が零れそうな金髪に、切れ長の目には深い青の瞳。よく見ればどことなく見たことのあるような美しい顔立ち……


「って、アンナじゃないですか!」


 驚きだ。何だその髪と瞳の色は。


「ふふふ。驚きましたか?」


 胸元からティアドロップの色付き眼鏡(サングラス)を取り出し、すちゃっと装着しながらアンナはふっと笑った。何故サングラスをかける!


「ええ、驚きました。誰だかすぐには分かりませんでしたよ。その髪と瞳はどうしたんですか?」

「これはリリ様とルルが合作した『隠形』をヒントに作ったオリジナル魔術『擬態』です。反射光を変えれば色が変わるだろうと思いまして」

「魔術も凄いですが、髪と瞳の色を変えただけで、ここまで印象が変わるなんて驚きです」


 リリは感嘆した。この魔術は色合いを自然に変えて見せることができる。下手な変装するよりも、よっぽど誤魔化せる。


「この魔術は『隠形』よりも簡単ですよ。吸収波長を変えるだけなので、魔術を発動すれば数時間は持続します」

「かなり使い勝手のよさそうな魔術ですね。後で私にも教えてください」

「承知いたしました」


 いつものカーテシーではなく、男物の服装らしくアンナは胸に手を当ててお辞儀をする。かなり様になっている。近くを通りかかった女生徒たちがアンナを見て、ほぅっと熱い溜め息をついているのに気がついてリリは苦笑いした。


「ところでアンナは何しにここへ?ルルはエルゼ様のところ?」

「今日はリリ様に渡した原稿のお披露目ですので」

「あれですか。なかなかの出来でした。今から演説が楽しみです。さすがはアンナです」

「恐れ入ります。それから王妃様より伝言を預かっております」

「エルゼ様から?」

「はい。明後日に『橄欖かんらん宮』へ来るようにと」


──エルゼ様……この姿になってからは、まだお会いしていませんでしたね。


 3日にあけず会っていた相手だった。それが既に1週間以上も会っていない。しかし、現在のリリは男爵令嬢だ。エルゼに会いに行く理由がないし、会いに行くことは通常できない。


「例の魔術研究者を招致したとのことです」

「そうですか……エルゼ様には『承知いたしました』と伝えてください」

「御意」


 胸に手を当て執事のように畏まってお辞儀をするアンナは完全に男装の麗人である。先ほどチラチラと2人をうかがっていた令嬢の1人が、アンナの切れ長の目に射竦められると顔を赤く上気させ失神して医務室へ運ばれていた。


「学園中の令嬢たちはアンナの噂で持ちきりになりそうね。嬉しい?アンナに可愛いファンがいっぱいできそうよ」


 ふふっと笑って揶揄うようにアンナをウィンクして見上げるリリに、当のアンナは迷惑そうに顔を顰めた。


「リリ様は私をいったいどの様な目でご覧になられているのですか」

「あら?可愛い女の子が好きだと思っていたけれど……」

「大好物です!」


 その予想通りのアンナの率直な反応に、リリはくすくすと笑った。本当に楽しそうに。


「ほどほどにね。アンナは私の専属なんだから」

「おや?嫉妬ですか?」


 今日のアンナはいつもより表情が出る様で、口の端を僅かに吊り上げて見せた。


 知らない者が見れば酷薄な笑みのようだと思うのだろうが、周囲のご令嬢たちは寧ろその美しい氷の微笑に溜め息を漏らしたり、黄色い悲鳴を上げたりと姦しい。また何人か倒れて医務室へ運ばれている。救護の人たちも大変だ。


「ん〜……どうでもいいわ」

「リリ様ぁ」


 そんな軽口を叩き合う2人。いつも感情の無い微笑(アルカイックスマイル)のリリと氷の仮面が常のアンナという主従は、周囲から冷淡な関係に見えて、その実はけっこう気安い。


「この後アンナは橄欖かんらん宮へ?」

「はい。リリ様の演説が終わりしだい戻らせていただきます」

「ふふ。ルルのことが心配?」


 悪戯っぽく笑うリリにアンナは肩を竦めた。


「ルルの教育をエルゼ様お一人にお任せするわけにもまいりません」

「そうね……そういうことにしておきましょう」

「……もう食堂につきますよ。それでは演説を頑張ってください」


 食堂につくと、リリは少し不満顔のアンナを残して、『マリークラス』のみなが待つテーブルへと向かっていった。


 その後ろ姿を見送って、アンナは生徒たちの少ない区画を探すため周囲を見渡したのだが、目立つアンナはやたらと視線を集めた。


──なんでしょう?やたら見られていますね。


 給仕の者たちであった。学生食堂ではあるが、そこは貴族専用である。この食堂には貴族子女を世話するウェイター、ウェイトレスなどが多数いた。その者たちがアンナを遠目に何やらヒソヒソと話し合っていた。


「おい誰が行くんだ?」

「わ、私行きたい!

「だが女性のようだ。規定では女性にはウェイターがつくことに」

「ならば俺が行こう」

「あ、ずる!俺が行く!」

「男装してるんだからウェイトレスがいいのよ!」

「そうよ。私が行くわ!」

「抜け駆けは許さないわよ!」


 類を見ない男装の佳人。初めて見る美女に給仕たちは浮き足立ち、誰が給仕をするかで揉めているらしい。そんな事とは知らずにリリと別れたアンナは食堂の片隅、生徒たちから離れたテーブルに着いた。


「いらっしゃいませ」


 そんなアンナの側に1人のウェイターが恭しく注文を受けに来た。見上げたアンナにウェイターは爽やかな笑顔を披露する。歯がキラッと光った。それを離れた所で悔しそうに眺める給仕の面々。だけどそいつはアンナだ。近づかない方が身のためだ。


 アンナはサングラスをずらすと、覗かせた切れ長の目でそのウェイターに流し目を送る。


 その蠱惑的な瞳に射竦められ、爽やかイケメンウェイターの笑顔はフリーズした。今まで、数ある令嬢たちを爽やか笑顔と光る歯で虜にしてきたウェイターもアンナの美貌に当てられた。


 心臓がバクバクと鼓動を打ち、緊張で手に汗握る。


「貴方は?」

「は!?え……あの……おれ……いえ!私は……」


 イケメンウェイター(笑)はテンパった。上手く言葉が出ない。もしかして、これが恋?なんて馬鹿なことまで考え出す始末。そいつはアンナだから止めておけ。


「私は……ウェイ……ウェイ……」

「ああ!『ウェ〜イ』の人ですか。パリピに用はありません」


 ばっさり。恋は一瞬で破れた。硬直したイケメンウェイターは同僚に首根っこ引き摺られて退場した。


「お飲み物は何に致しましょう?」


──バカめ。下手に格好つけるからだ。


 爽やかウェイターに敵愾心を持つ2番手イケメンウェイター登場。彼は無駄な事はしない。彼は仕事に誇りを持つストイックイケメンなのだ。この冷淡な所が素敵!っと貴族令嬢たちからも人気だ。2番手だけど。


 アンナはそのウェイターに先ほど同様流し目を送りながら思案し始めた。しかし、流し目ごときで、仕事に忠実なストイックイケメンは動じなかった。


──ふん!その程度……


「そうですね……」


 アンナは考え込んで無意識に唇を少し舐め、人差し指をその唇に当てた。唾液で濡れた唇が光、その唇を指でなぞる姿は艶めかしい。年上女性に免疫のないストイックイケメンの心臓のボルテージが一気に上がった。


──な、なんだ。心臓が早鐘の様に煩い。頭がくらくらする。


 これが恋!

 今まで仕事一筋のストイックイケメン。恋に耐性がなかったため犠牲者が増えた。


「ふむ……では『LA MAUNY』をロックで」

「は?」


 やがて、目の前の麗人から漏れ出たハスキーボイスに天に登りそうになったストイック君は聞き慣れない単語に思考がフリーズだ。


「も、申し訳ありません。それはいったい?」

「そんなことも知らないのですか?」

「も、申し訳ありません。寡聞にして存じ上げません。後学の為にお尋ねしても?」


 出来る男ストイックイケメンは「そんなことも」の一言に打ちのめされたが何とか持ち直した。


「ラム酒の事ですよ」


『LA MAUNY』はラム酒の1銘柄であってラム酒を指す単語ではない。前世を高校生で終えたアンナは知らないようだ。


「ここ学生食堂ですので、お酒はワインくらいしか置いてございません」

「使えませんね」


 使えませんね……

  使えませんね……

   使えませんね……


 ストイック君の鼓膜にアンナの声がリフレインする。今まで言われた事のないセリフ。しかもそれが初恋の美女から放たれてストイック君はノックダウン。四つん這いで項垂れる彼を蹴飛ばし、愛らしいウェイトレス登場。


「申し訳ございません。何分にも学生食堂ですのでアルコールの類いはあまりなく」


 薄い青の髪と温かみのある水色の瞳、大人しそうな可愛い顔立ち。幾人もの貴族令息を虜にした満面の笑顔で対応したが、前世の美少女リリを見慣れているアンナには通用しない。


 ちっと舌打ちしたアンナに美少女ウェイトレスも笑顔が引き攣る。いい加減お前らアンナに関わるのは止めろ。


「仕方ありません。では琥珀色の飲み物に氷を」

「……アイスティにしておきます」

「ロックグラスに丸氷を入れてくださいね」

「……」


 アンナの無理難題は続く……


 一方、アンナと別れたリリはマリーたちの待つテーブルで『マリークラス』設立の決意表明を行っていた。


「ついにこの日が来ました」


 リリは他の9人のメンバーの顔を1人1人ゆっくりと見回していく。


──みな良い目をしています。


 決意の目で見返してくる同胞たちに、リリは満足そうに頷いた。


「私は今日ここに『マリークラス』の立ち上げを宣言します!」


 ダンッ!!!


 リリは思い切りテーブルを叩いた。

 その大きな音に食堂にいた生徒たちが何事かとざわつき始めた。しかし、意に介さずリリは演説を開始した。


「我々は前期の貴重な時間を失った。しかし、これは我らが落ちこぼれであるといみするのか?否!断じて否である!!

 他のクラスに比べて、我がクラスの講義進捗度は3分の1以下である。にもかかわらず今日まで落第せずにこられたのは何故か?

 諸君!我らがもともと努力を惜しまぬ勤勉な学生だからだ!これは諸君らが一番知っている。

 我々は講義を妨げられ、一部生徒の理不尽にさらされた。

 そして、一握りの高位貴族たちが我らの学業を妨害して半年余り、

 静謐で実りある講義を求めて何度踏みにじられたかを思い起こすがいい!

 だが諸君!我ら生徒の正当な要求を求める戦いを神が見捨てるはずはない。

 我らの為に立ち上がったマリアヴェル・コラーディンが先日、貴族子女の標的となった!何故か!」


 襲撃されたというセンセーショナルな内容にざわざわと騒がしかった食堂の生徒たちは固唾を呑んでリリの演説に注目した。


「ふっ……可愛いからさ」

 そんな生徒たちを尻目に、琥珀色の液体が注がれたロックグラス(中身はアイスティーです)を片手にしたアンナが呟く。彼女はこれをやりたかっただけらしい。


「新しい学期の講義を高位貴族たちに邪魔されるのは自明の理である。

 ならば、我らは襟を正し、この状況を打開しなければならない。

 我々は過酷な講義環境を勉強の場としながらも共に苦悩し、錬磨して今日の学力を築き上げてきた。

 かつて、私の知人は人類の革新は可愛いを知ったものの萌えから始まると言った(アンナです)。

 しかしながら高位貴族のボンクラ共は、定型文で十分だと増長し講義を邪魔する。

 その可愛さでクラスを変革しようとしたマリーは一部の無思慮なボンクラ共に標的にされたのだ!」


 因みにその犯人は『マリークラス(ここ)』にいます。


「この悲しみも怒りも忘れてはならない!

 そのことをマリーは!先頭に立って示してくれた!」


 リリの振り上げる拳に、一同も熱を帯び始めた。


「マリーは今、小さな愛らしい拳を突き上げ、率先して我らを先導してくれている!

 カワイイは正義!萌えこそ我らを救いえるのである!」


 食堂が突然暗くなり、何故かマリーにスポットライトが当たる。(リリの魔術です)

 ライトアップされたマリーの姿に周囲から「おお!」と感嘆の声が上がった。主に男子生徒から。

 何も聞いていないマリーは「え?何ですの?何ですの?」ときょろきょろ、おたおた。その可愛い仕草に女生徒たちも「可愛い!」と黄色い悲鳴。


「ゆえに可愛いマリーのもとに集結し、我々は一団となってクラスから離れ、我々の……いや!マリーのマリーによるマリーのための講義を妨害させないため、私は……

 ルルーシェ・ルミエンはここに独立勉強集会マ・リ・イの設立を宣言する!」


 マ・リ・イ!マ・リ・イ!マ・リ・イ!

  マ・リ・イ!マ・リ・イ!マ・リ・イ!

   マ・リ・イ!マ・リ・イ!マ・リ・イ!


 スタンディングオベーション……大熱狂である。

 参加者だけではなく、何故か食堂にいただけの生徒たちまで一緒になってマリーコールをはじめたのだ。因みにアンナも涙を流してコールしていた。(マリーを除く)


 何とも素晴らしい光景だろうか。主義主張の違う生徒たちが、今『マリー』の名の下に心が一つになったのだ。(マリーを除く)


 これをどう説明しよう。食堂に集いしばらばらのイデオロギーが、そのパッションをリリによって触発され、それが感染症のように伝播することで、生徒たちは熱病のようにうなされた。みなのシンパシーを得たことで、ばらばらの個であった大衆が一つの思想に収斂し、理解の範疇を越えた連帯感が生まれたのだ。これが食堂に集う者たち全員が『マリー』に対して熱狂的支持を表明する原因となったと解釈される。


 はい、ぶっちゃけ意味など理解していません。意味などありません。読まれた方はごめんなさい。


 必要なのは結局はノリと勢い!そして一匙の欲望である。


 理解などどうでもよい。大声を張り上げて主張を述べ、みなの不満を煽り、聞こえの良さそうな言葉を意味もなく並べて、ヒートアップしたところに欲望マリーをぶち込んだのだ。


 簡単に言おう。みんな溜まった鬱憤をお祭り騒ぎで晴らしたいだけなのだ。


 こうして『マリークラス』は全校生徒に歓迎を持って認知されることとなった。マリーの意思を置いてけぼりにして。


 この後『マリークラス』は形を変えて存続することとなる。勉強会の1つのサロンとして活動を続けている『マリークラス』には、常に学園の優秀な人材が集まった。そのため、卒業後も『マリークラス』出身者は各方面で活躍し、国に大きな貢献をした。これにより、シュトレイン学園においてマリークラス出身者であることは一種のステータスとなったのだ。故に発起人マリアヴェル・コラーディン(ホントの発起人はリリ)の名は後世まで語り継がれることとなる。


 その後もマリーは度々『マリークラス』の発足話しをせがまれることとなった。マリーはその度に苦虫を噛み潰したような顔になったとか。生涯マリーは『マリークラス』の名称を変更できなかった事を後悔したようである。


 リリは『マリークラス』が設立できてご満悦。友達100人できるかな……



エルゼ「うふふふ。ルルちゃん。アンナちゃんが来るまでは2人っきりよ」

ルル「ううう……エルゼ様から危険な香りがしますぅ」

エルゼ「アンナちゃんのいないうちにルルちゃんを尋問しましょう!」

ルル「お手柔らかにお願いしますぅ」

エルゼ「えぇっと、まずアンナちゃんのあの格好は何?」

ルル「あれは私たちの前世で一世を風靡した男の逃亡時の恰好ですねぇ」

エルゼ「逃亡中なのに随分目立つ格好するのね。バカなの?」

ルル「まあ、否定はしません」

エルゼ「リリちゃんの演説の原稿はアンナちゃんの手によるもの?」

ルル「でしょうね。戦線押されているのに『圧倒的じゃないかわが軍は』などとほざいた自称天才の有名な演説をもじっていますね」

エルゼ「ルルちゃんたちの世界にはおかしな人が一杯いるのね」

ルル「そういうわけではないですが、やっぱり目立つんですよねぇ。そういう人たちって」

エルゼ「そうねぇ。どこの世界にもいるものね」

ルル「はい。先の男は戦争中に目立つ赤色の機体に乗ってましたぁ。赤く塗装すれば能力何でも三倍と勘違いしたアホな男です」

エルゼ「え?赤色って能力上がるんじゃないの?」

ルル「は?」

エルゼ「え?だから私『赤猿』って……」

ルル「(まさか『赤猿』の呼び名って髪の色じゃなかった!)」

追記:オーヴェルニ領の屋敷にはエルゼの学園時代の魔改造された赤色の制服が鎮座している。


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