表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/64

第20話 『侯爵令嬢は方針を話し合う with 変態侍女』

この話まだ1日経過していない……

思ったより長編になってしまったorz

だけど今日は楽しいアンナ節!

文字数?そんなの気にしな~い!


おや?ブックマークがまた増えてる!

新たに登録していただいた方ありがとうございます!O(≧∇≦)O

やる気がでます!古芭白まだまだ頑張れます(。+・`ω・´)キリッ


「もう少し詳しく知りたいわ」


 リリは自分の秘密に少しずつ近づいているのを感じた。


「おそらく王妃様のおっしゃっていた伝手はこの魔力と魂の関係性を研究をしている者かと。その者に尋ねられたら宜しいのでは?」

「そうね……今、考えても何もできないわね」


 リリは少し残念な気持ちもあったが、どのみち今はこの件に関して推測を広げることしかできない。と、はやる気持ちを抑えた。ここであれこれ考えても結論は出まい。


 だから、


「状況はおそらく魂魄置換。現状ではこれに関して何もできない以上は、この件に関してはエルゼ様の連絡が来るまで保留としましょう」


 今やるべきことを考えよう。と、気持ちを切り替えた。


「そうなれば私とルルは当面このままの状態ね。今後どうするかを早急に決めないと」

「私、このままじゃ不安です!リリ様の真似なんてできません!!」


「心配無用!ポンコツに女神の如きリリ様と同じ振る舞いなど期待しておりません」

「アンナさん私にばかり当たりが強くないですかぁ!?」


「私はリリ様以外にはこんなものです」

「鬼、鬼畜、悪魔!」


「ふふふ」

「「笑わないでください!!」」


 息の合っている2人のやり取りにリリは少し安堵した。


 (はた)から見れば突き放したようなアンナの態度もルルの不安を和らげるための思いやりであることはリリには分かっている。


──ルルはアンナに任せれば安心ね。だけれども……


 大丈夫だと思うが、一方でリリの胸中に一抹の寂しさがよぎった。


 リリとアンナの間には信頼関係があるが、それは主従関係の上でのことだ。今のアンナとルルのように気安い友人同士みたいなものはない。その間柄をリリは眩しくも、羨ましくも感じる。


──感傷に浸っていても仕方がないですね。


 自分の気持ちにそっと蓋をしてリリはルルに優しい笑顔を向けた。


「ルル、大丈夫よ。ちゃんとアンナが守ってくれるわ」

「ホントーですかぁ?」


 リリの言葉にアンナに疑惑の視線を送るルル。

 当のアンナは涼しげな顔で我関せずだ。自分のことなのに……


「ええ。だって今のルルは私だから。絶対守ってくれるわ」


 リリはアンナを見てにっこりと笑顔を送った。


「アンナは変態なの。私の容姿のみを溺愛しているだけだから中身は問わないわ!」

「はい私は変態です!リリ様の超絶美貌のみ溺愛していますのでリリ様の美体が損なわなければ中身はどうでもいいのです」


 主人の辛辣な評価もアンナにはご褒美だ。

 内容にも関わらず誇らしげな顔でカミングアウトするアンナ。


「変態は認めるんですね……」


 その発言の内容とドヤ顔にルルはドン引きだ。


「だけどアンナさん、人は外見だけではありません!優しさや思いやりといった心も大切だと思います!」

「はっ!優しさ?思いやり?」


 小馬鹿にしたように鼻で笑うアンナ。とんでもない侍女である。


「そんなのまやかしです。中身なんて付け合わせのパセリです。無くても困りません。メインディッシュは外見です。外見が良ければそれで良いのです!絶対です!」


 アンナ節炸裂!


 もはやアンナの爆進を止める手段はない。

 まあ、リリは止めるつもりが毛頭ないが。むしろ楽しげだ。

 この侍女にしてこの主人ありだ。


「聖女の様な清らかな心を持つドブスと性格イマイチだけど超絶美少女がいて漢はどちらを伴侶に選ぶと思います?100人漢がいたら1000人の漢が性格イマイチな超絶美少女選びますよ。アンナリサーチに間違いはありません。絶対です!」


「何ですかそのリサーチは!回答者が増えてるし!だいたいそんなことありませんよぉ!顔より性格だと言ってくれる素敵な男性だっていますぅ!」


 なに夢見てんだこいつといった顔をして、ケッ!とアンナは嘲笑する。

 アンナ節の最中はこの侍女ほんとに態度が悪い。


「ふん!顔なんて関係ない?性格が良い方が好き?優しさ思いやりに惚れた?ちゃんちゃらおかしいです。へそで茶が沸きそうです」


 アンナの吐く毒は止まらない……


「そんな戯言ざれごとを吐くやつらはむっつりです。ホントは美少女の方がいいし、漢は皆おっぱい聖人ですから大きな胸が大好物なのです!絶対です!」


 何がそこまで彼女を駆り立てるのか……


「それをむっつりどもは誤魔化すので質が悪いです。なんだかんだ言ったって、容姿が悪い、胸の小さい女性を男どもは選びません。何故なら須く漢は皆エロいからです!絶対です!」


 何という暴論!

 世の漢たちはこの暴言侍女に意義を申し立てしなければなるまい。


「む、胸なんてただの脂肪の塊です。エロい人にはそれが分からんのです」


 持たざる代表者ルルは胸のサイズにコンプレックスがあるのだ。思わず自身の胸に手をやる。


──あ、大きい!


 今はリリの体だからあたり前である。ホッと安堵するルルだが、それは胸の大きさが重要事項だと認めているようなものだ。


「ふふん!エロくない漢などいないのだからやはり漢はみなオッパイ聖人です」

「そんなことありません〜!胸なんて外見に囚われず美しい内面を見てくれる立派な男の人だっていますぅ!」


 ルルは希望を持ちたい夢見るお年頃なのだ。

 胸の大きさなんて関係ない大丈夫。きっと自分にも優しく労りのある男性が現れる。と。


 アンナはそんなルルを残念な子を見るような目をした。

 ふ~やれやれと肩をすくめて首を左右に振る。


「貴女の内心は筒抜けです。残念ですが漢が100人いればエロい漢は10000人いるのですアンナリサーチは絶対です!」

「計算がおかしい!?」


「1匹のエロい漢を見たら100匹のエロい漢がいるからアンナ計算はばっちりです!アンナリサーチは確かなのです。絶対です!」

「そんな男の人たちを黒い悪魔みたいに言うなんて!」


 アンナはルルの両肩をガシッと掴み、諭すような、悲しいようなそんな瞳を向けた。


「いいですかルル。漢は皆エロい!それこそ人類が繁栄した真理です」

「急に話が大きくなった!?」


「悲しいけどこれ真実なのよね」

「うわぁん!リリえもーん!アンナさんがヒドイことばっかり言いますぅ!」


 外野で楽しんでいたリリは突然ルルに泣きつかれたが、黒鋼のリリはその程度では動揺を見せずに澄まし顔だ。リリエモンって何かしらとは思ったが。


 お茶を一口飲み、カップをソーサーに静かに戻すと一息入れてからリリはルルに体を向けた。


「そうねルルの言うように人の内面はとても大切よ。貴女の言うようにそれは間違いなく外面よりもね。そうそれはずっとずっと大事なもの」

「ほらリリ様だってこうおっしゃっています!」


 強力な味方を得てルルは「ほらほら」とドヤ顔でアンナを見返した。

 アンナが崇拝する主人の会心の一撃だ。これは大きい!

 アンナもどこか悔しげだ。HPバーが見えれば黄色に変化していることだろう。

 さすがのアンナも姿は変われど敬愛する主人には言い返せないようだ。


 しかし、ルルは直後に背後から痛恨の一撃を受けた。


「でもねルル。人は外面は見ることができても内面を見ることはできないのよ」

「う、それは……」


「だからアンナの言うことにも一理あるわ」

「ふふん!」


 今度はアンナがルルをドヤ顔返しする。ルルのHPバーは赤色だ。


 こういう気心の知れたやり取りをする2人はやっぱり仲が良いなとリリは思った。が、この話の流れで自身の問題の件に持っていこうと画策した。


「心の美しい人は素晴らしいわ。聖女の如き清廉な方ならどのように醜悪な容姿でも関係ないのでしょう」


 沈んでいたルルが期待の顔でリリを見上げた。

 浮き沈みが出やすい素直すぎる()だなとリリは苦笑した。


「だけど悲しいことに人は美しい心を見る目を持っていないのよ。どこまでいっても外見に、見目に、意識をせずにはいられないの」

「そうです!漢たちはエロの重力に魂を引かれた業の深い生き物なのです!」


 お前の業が一番深いだろ!とリリもルルも思ったが話が脱線しそうなので突っ込むのはやめた。


「アンナ茶化さない……だからね。容姿も大切なのよ」

「そ、それは分かります……でもきちんと相手の心根を見てくれる人だっていると思います」


 リリはルルの言を否定せず頷いてみせた。


「そうね。その通りよ。それはとても大事なこと。だけれども付き合いの浅い人やまして初対面の人の内面を見抜くのは至難の業ではないかしら?」

「そ、それは……でもよく観察すれば相手の言動から人の内面を見て取ることだって……」


 自分自身でそんな相手の内面を見て取る自信がないのだ。ルル自身もこれは苦しいと思ったのか、最後は声が消え入りそうだった。が、リリは決してルルを否定しない。


「ええ、私もそう思います。ルルの言うように相手をきちんと見てあげることは大切なのよ。でも見せる側もねそれは分かっているの。だから心の美醜に関わらず人は他人によく見てもらおうとするわ。特に貴族はね。だから容姿を整え、着飾り、立ち振る舞いや言葉遣いに気を配るの。そうなると初見で相手の本性を見抜くのは尚更に困難よね」


 ルルは黙ってコクリと頷く。


「逆に気を配らない人を最初見てどう思うかしら?酷く汚れていて見目の悪い男性がルルの前に現れて告白したとしてルルは恋に落ちる?」

「それは……でも、その人がいい人だって分かれば……」


「そうね。いい人だったらいいわね。でもそれをどうやって判断するの?1人や2人ならいいわ。でも大人数の人がルルに近づいてきたら1人1人を観察していい人だって判断できるかしら?」


 ルルは真剣な目でじっとリリを見詰めた。リリは決してルルを否定しない。肯定しながらもきちんと間違いを教えてくれる。鬼畜アンナとは大違いだ。


「ルル、人はね心証が大切なの。友人でも恋人でもお付き合いするには第一印象がとても重要になってくるのよ。確かに付き合っていくうちに、そうったものはさして重要ではなくなるわ。だけど心証が悪ければ最初から付き合いを弾かれてしまうこともあるの。そうすれば永遠に本当の自分を見てはくれなくなるのよ」


 ルルは前世での裁判での心証の話を思い出した。

 特に陪審員制度では心証がかなり大事になり服装を整えると聞いたことがある。


「そうですね……それに確かに服装や言動に気をつかうのは相手のことを配慮する思いやりもふくまれます。それはその人の人柄を表す1つですよね」

「そうよルル!まったくその通りだわ」


 リリはルルの両手を自分の手で包み込み、全面肯定してにっこりと笑いかけた。

 ルルは赤面しながらリリに笑い返した。


 罠である……

 リリはルルを否定しない。

 ずっと肯定しながらずっと誘導していた。

 そしてリリはとても素晴らしいことを語る。

 ルルは完全にリリを信頼している。


 何か仕掛けてくる!

 とアンナは思ったが、特に何もしなかった。自分のことではないから。


「そうよルル!素晴らしいわ。それに気がつくなんて」

「えへへへへ」


 照れて頭を掻くルルは完全に術中に嵌っている。アンナはこりゃダメだと思った。


「それでは心証をよくする方法を学びましょう!」

「はい!私リリ様についていきます!」


 満足そうにリリは頷いたが、エルゼのように悪い顔になっているとアンナは感じた。


「ありがとう、ルル。それでは……」


 この時リリは花も恥じらうほど素晴らしい笑顔をルルに向けたという。

 その笑顔にルルは顔を真っ赤にし舞い上がっていたそうだ。

 そしてアンナはリリの後ろ姿にエルゼの姿が重なって見えて震えあがっていたと言う。


「貴族としての立ち振る舞いを身に付けましょうね。魔術や教養、マナーに語学に貴族名鑑もたたきこまないとね」

「うげ!」


「だからアンナよろしくね」

「難題ですがリリ様の仰せです。お任せください。必ずやこのポンコツをなんとか見られるように改造します」


「ああ、良かったわ。ルルが快く引き受けてくれて」


 あんなに肩をポンポンと叩かれ顔面蒼白のルルにニコニコ顔のリリが更に止めを刺しにかかる。


「それからルルにはやって貰いたいことがあるの。マリークラスに参加してね」

「なんですかその『マリークラス』というのは?」


 耳慣れない単語にルルは嫌な予感を覚えた。が、もう遅い!


「馬車の中で友達ができたって言ったでしょ?マリー、カーラ、サラの3人と話して勉強会を開くことになったの。そこにリリーエン・リュシリューを講師として招くのよ」

「ちょ、ちょっと待ってください!講師なんて私には無理ですぅ!」

「大丈夫、大丈夫。私もアンナもフォローするわ」


 あまりに無謀な発言をさも簡単そうに述べるリリに対してルルはもはや顔面蒼白を通り越して全身が灰の如く真っ白になりそうだった。


「とってもいい()たちなの。ルルにも仲良くなって欲しいのよ」

「でもマリアヴェル・コラーディンとは喧嘩して仲が悪くて……」

「ふふふ。友達になったって言ったでしょ。マリーはツンデレさんなのよ」

「ツンデレ?よく喧嘩腰に話してきていたのはツンなんですか!?」

「事情を聞いたら孤立しているルルを心配していたみたいよ。今じゃ一番仲良しなの」


 昨日まで一番険悪な相手だと思っていた相手である。

 たったの1日で親友になったとは、俄かには信じがたい。


「本当なんですか?」

「お昼もね、私が彼女の胸を……」


 リリはマリーの胸を揉みしだいた時の仕草をしながらマリーの胸の柔らかさを、素晴らしさを語った。

 その心地よい感触、包まれるような温もり、何とも言えない幸福感……


 何気ない顔をしながら、その話を聞き耳を立てていたアンナの目は血走り始める。


 彼女の脳内ではルルの姿がリリのものに入れ替わり、まだ見ぬ爆乳美少女の胸を揉みまくる様を想像し始めたのだ。


 ツツツーー


「ア、アンナさん!鼻血が!鼻血が!」


 ルルの叫びも耳に入らないアンナ。

 ボタボタと滴る鼻血もなんのその。


「そ、それでリリ様!それで!それで!」

 相変わらずの変態ぶりだ。


「それでね私の手が胸の中に沈んで気持ちいいの!凄いのよ!彼女は最高よ!」

「『彼女はサイコーよ』だそうです!!!」


 流れる鼻血もそのままに目を血走らせるアンナ。いつも無表情の顔がどこか恍惚だ。

 そんなアンナに両肩を掴まれて眼前に迫られたのだ、ルルにとってはホラーだ。


「近い!怖い!近い!分かった、分かったから!アンナさん目が怖いから!!鼻血怖いから!!!」


 2人の様子にリリは愉快そうに笑った。


「アンナの感性は男の子ね。ほんと清々しいまでに欲望で生きているのね」

「リリ様笑いごとじゃないからぁ!!!」


 ルルの絶叫が部屋に響き渡った。



 リリは専属侍女の暴走でも困らない。むしろリリが煽っているから……



アンナ「か、彼女はサイコーよぉぉぉ!」

ルル「アンナさん!戻ってきてぇぇぇ!」

リリ「これはもうダメねぇ」

ルル「リリ様が仕組んだくせにぃ!」

リリ「もうしょうがないわね……ア・ン・ナ、ふっ!」

ルル「なんで耳もとで!」

リリ「え?正気にもどるかなって?」

アンナ「リリ様ぁ!サイコーですぅぅぅ!!!」

ルル「悪化したぁ!」

リリ「まぁ!くすくす」

ルル「(リリ様絶対わざとやってる……おそろしいコ!!)」


誤字脱字、何かおかしな点に気がつきましたらご報告ください!


令嬢類最強!ー悪役令嬢わたしより強い奴に会いに行くー『第三死合!悪役令嬢vs虐待の乳母』を5月22日20時にアップします!よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ