ふたつのこっぷ
この作品はフィクションです。
「キミに心理テストを出してあげよう。」
「ほぉ?」
「キミの目の前に、2つのコップがあります。」
「ほぉ。」
「片方のコップには水が入っています。水はどれくらい入っていますか?」
「ん〜…、八割くらい。」
「もう片方のコップには、水じゃない何かが入っています。一体何が入っていますか?」
「え〜と…、ポップコーン。」
「………へぇ〜。ほぉほぉ。なるほどなるほど。」
「で?それで何がわかるんだ?」
「え?」
「ん?」
「何?」
「はい?」
「何がわかる?」
「心理テストだろ?」
「そうなんだよ。」
「だろ?だから、これは何がわかるテストなんだ?」
「わからないんだよ。」
「はい?」
「わからないんだよ。これだけじゃ。」
「…あ、途中?」
「当然途中なんだよ。コップに水とポップコーンが入ってるって言われただけで一体何がわかるってんだい?」
「いや、それで何かしらわかるのが心理テストなんじゃないのか?」
「そんな心理など無いっ!!!」
「言い切るなよ。もしかしたらあるかもしれないだろ。」
「そん時はそん時の損得勘定の損壊具合。」
「物騒な。」
「じゃ、心理テストの続きいきまーす。」
「そうだった。」
「その、水が入ったコップとポップコーンが入ったコップがプロレスを始めました。」
「急展開。」
「勝者はどっち?」
「え………、………水の入った、コッ…プ?」
「決め技は?」
「…え〜………、………水、攻め?」
「試合時間は?」
「…………3分?」
「ほぉほぉ、なるほどなるほど。」
「いや、ちょっと待って。」
「ぬ?」
「いや、これさ。何がわかるんだ?」
「何がさ?」
「なんか急に、心理テストにプロレスが介入してきたけどさ。これで何がわかるんだ?」
「そうだねぇ。まぁ、わかることと言えば、この試合がしょっぱい試合だ、ってことくらい?」
「そんなに詳しくないんだから仕方ないだろ。」
「ポップコーンなだけになぁっ!!!」
「………ポップコーンだから、味がしょっぱい、って?」
「うん。」
「残念。このポップコーンはキャラメル味だ。」
「裏切り者っ!!」
「何がだよ。」
「私は………、私はっ…………、私はぁっ!!。キミがキャラメル味のポップコーンを選ぶことは絶対無いって信じてたのにっ!!!。わさび醤油味を買うって信じてたのにっ!!!」
「だとしても、わさび醤油味はしょっぱいとは少し違うだろ。というか、わさび醤油味のポップコーンなんてあるのか?」
「そこは心理テストには関係ないっ!!」
「まだ続いてたのかよ。」
ポップコーン。意識しては買わないけど、あるとついつい食べてしまう一品。