かいもくけんとうがつかない
この作品はフィクションです。
「この世の中には謎がたくさんあるんだよ。まさにミステリーオブミステリー。」
「何が、まさに、なのかはわからないが、まぁそうだな。」
「一個人の知識では全く理解の及ばない事象現象がてんこ盛り。てんこ盛りがてんこ盛り過ぎてそれは最早てんこ盛りなんだよ。」
「うん、何かしらがめちゃくちゃに盛られてる、ってことだけはわかった。」
「こういう状態を言い表す言葉があるんだよ、ほらほら。なんだっけ、ほらほら。考えてよ、ほらほら。ほらほらほらほら。」
「そんなに、ほらほら、言われても困るんだけど。」
「困るの?」
「うん。」
「じゃあキミは洞穴には入れないね。」
「ほらあな、だから?。」
「その通り。洞穴に入ったが最後、そこは全方位ほらほら祭り開催中のほらほらの聖地。あっという間にほらほらに取り囲まれてしまうんだよ。」
「ほらほらって取り囲んでくるのか?」
「そりゃあなた。取り囲むのはほらほらの常套手段だからね。」
「そうだったのか。」
「ほらほらに取り囲まれたが最後、足の指先から、ゆ………っくりと、ほらほら化が進行していくんだよ。」
「なにそのホラー。」
「ほらほらホラー、なんだよ。あるいは、ホラーほらほら、なんだよ。」
「ほらほらはホラーだったのか。」
「然り。」
「いやそうじゃなくて。」
「謎がたくさんあるって話だったのに、いつの間にか謎のほらほらの話にすり変わってしまったんだよ。恐るべし、ほらほら。」
「話がすり変わるのは日常茶飯事だと思うんだがな。」
「わからない事が多い、ということを表す言葉があるけど思い出せない、って話だったんだよ。」
「そんな話だったっけな。」
「んー、なんだったっけか、思い出してほらほら。」
「また出た。」
「出ましたホラーほらほら。」
「即時帰宅を命じる。」
「ほらほらにめっちゃ上から言うじゃん。それってめっちゃ勇気。」
「そうなのか?」
「うん、めっちゃ臭気。」
「変わってんじゃん。臭っちゃってんじゃん。」
「明日の昨日の臭いがするよね。」
「今日じゃん。」
「今を大事に生きろよ。」
「知ってる。」
「今を大事に生きられない奴は、三年前のカルボナーラ、って言うからな。」
「それは知らない。」
「やれやれ。皆目見当がつかないね。」
「やっとタイトル回収したな。」
「でも、わからない事がたくさんある、ってことと、皆目見当がつかない、っていうのは、似ているようで違う言葉のような気がしないでもなくなくない?」
「どっちだよ。」
ホラーは苦手…。