ゆううつなあめ
この作品はフィクションです。
「はふぅ〜〜〜〜〜…………」
「どうした。そんなあからさまに声をかけてほしそうなため息をついて。」
「説明口調そーさんくす。」
「そこまであからさまなことをされたら、さすがにな。」
「だぁってさぁ〜〜〜………、ゆううつなんだもぉ〜〜〜ん〜〜〜………。」
「言葉を必要以上に間延びさせることで憂鬱感を増幅させる手法を使うほどに憂鬱なのか。」
「説明口調そーさんくす。」
「そこまであからさまなことをされたら、さすがにな。」
「まぁ、実際にめっちゃ憂鬱だから仕方ないよねぇ〜〜〜。こんなに雨が降られるとさぁ〜〜〜。」
「雨が理由か。」
「そりゃさ?私だってさ?雨の必要性はさ?理解をさ?してるつもりさ?」
「やたらと疑問符を挟み込むことで一定の理解を示しつつも否定の意思を示す手法を取るほどに自己主張をしたいんだな?」
「説明口調そーさんくす。」
「そこまであからさまなことをされたら、さすがにな。」
「って、」
「ん?」
「そこまでいちいち説明を挟まなくてもいいんだよ。話が間延びしちゃって大変なんだよ。ラーメンならスープが消滅してるんだよ。」
「そこまで時間かかってないだろ。」
「時間がかかっているか、かかっていないか。それを判断するのは、お前ではない。カルロスだ。」
「誰だよ。」
「北半球チャンピオンのカルロスだ。」
「何のだ。」
「年間300個のカルロスだ。」
「何をだ。」
「アンソニーとは別人のカルロスだ。」
「そうなのか。」
「………はぁ〜〜〜〜。」
「どうした。」
「こんな高尚なボケを重ねに重ねても、我が気持ちが晴れることはなし。」
「高尚の意味。」
「それもこれもあれもどれもカルロスが北半球チャンピオンから陥落したのもアンソニーがカルロスと間違えられまくるのも、ぜーーーーーんぶっ!この憂鬱な雨が原因なんだよ!」
「責任をなすりつけられる雨に同情するぜ…。」
「はぁ〜〜〜………。買い物行きたかったのに。」
「まぁ、外出したいときに雨が降ってると、憂鬱な気持ちにはなるよな。」
「そうなんだよ。だから頼むんだよ。」
「は?」
「買い物行ってきて。」
「何で俺が。」
「私は憂鬱だから。」
「俺だって雨が降ってる中、わざわざ買い物とか行きたくはない。」
「憂鬱じゃないのに?」
「………なんかだんだん、俺も憂鬱になってきた。」
「それは憂鬱の伝播?それとも買い物に行きたくない言い訳?」
「両方。」
「………まさか年間300個のカルロスをも超える逸材が、こんなところにいたとはな。」
「だから何をだ。」
読んでいただきそーさんくす。