さんぱつ
この作品はフィクションです
「さんぱつ、は、漢字で書くと、散髪。」
「そうだな。」
「……………。」
「……………。」
「……………。」
「……………?」
「………ぅぉおおおおいっっっ!!!」
「なんだよ。」
「そこはつっこめよ!つっこみなさいよ!つっこんでくださいよ!つっこみをいただきたく存じますよ!」
「どんどんへりくだるじゃん。」
「ツッコミを求めるためなら、私はどこまでもへりくだるんだよ。」
「そんなにしてまで欲しいものか?」
「ボケを生業とする者にとって、ボケをスルーされることほど哀しいことはないんだよ。哀しくて切なくて切り餅三個分なんだよ。」
「何が。」
「とにかく!それくらいツッコミというものは求められるものなんだよ。」
「そう言われてもなぁ…。そもそも冒頭のあれはボケだったのか?」
「ボケに決まってるんだよ。」
「だって、間違ったこと言ってなかっただろ?さんぱつ、を、漢字で書くと、散髪、って。」
「はぁ〜〜〜〜〜。やれやれやれなんだよ。」
「なんだよ。」
「そんなんだから同居人はあれがそれなんだよ。」
「具体的な情報求む。」
「さんぱつ、を、漢字で書くときは、まず、三発、と言わなきゃなんだよ。」
「そんなの個人差あるだろ。」
「いーーーやっ、個人差なんてものは有り余っているんだよ。」
「あるんじゃねぇか。」
「三発には、そんな個人差を吹っ飛ばすくらいのパワーがあるんだよ。具体的には切り餅三個分のパワーが。」
「大きいのか小さいのかわからん。」
「おっまえよぉ〜…、切り餅のポテンシャル馬鹿にすんなよぉ〜?」
「馬鹿にはしてないけど。」
「切りポテ馬鹿にすんなよぉ?」
「スライスされたポテトみたいな略し方だな。」
「切りポテは必ず三発行っとけぇ?」
「三発行くって何?」
「蜂蜜とマヨネーズとチョコチップで三発行っとけぇ?」
「それは美味しいのか?」
「三発行ったら散髪行っとけぇ?」
「結局行くのかよ。」
「住宅街の中にある老舗の理髪店に散髪行っとけぇ?」
「どこに行くかは自由だろ。」
「散髪でも三発行っとけぇ?」
「何をだよ。」
「蜂蜜とマヨネーズとチョコチップで三発行っとけぇ?」
「コントの世界じゃねぇか。」
「で、散髪で三発行ったら出禁になる。」
「だろうな。」
「出禁解除してくれよ!出禁解除してくださいよ!出禁解除してくださいませよ!出禁解除していただけたら820円あげます!」
「まさかの金額ショボい買収。」
どんな漢字を思い浮かべるかは、人それぞれ、ってことで。