ふらふら
この作品はフィクションです。
「ふ〜らふら〜。ふ〜らふら〜。」
「おい、どうした。」
「う〜ん、なんだか足元がふらふらするんだよ〜。」
「風邪か?」
「う〜ん、咳は出ないから違うと思う〜。」
「熱は?」
「う〜ん、なんか頭がボーっとするかも〜。」
「やっぱり風邪じゃないか?」
「違うと思う〜。」
「なんで。」
「この頭がボーっとする原因は〜、さっき甘酒を飲んだから〜。」
「…もしかして、甘酒で酔っ払ったのか?」
「そうかも〜。」
「とりあえず横になったらどうだ?」
「ん〜ん。」
「?」
「もうしばらくふ〜らふらしていたい〜。」
「なんで。」
「気持ちいいじゃん〜?この感覚〜。」
「そうか?」
「そうなんだよ〜。頭がふらふら〜、ってして、目の前がくるくる〜、ってして、お腹がぎゅるぎゅる〜、ってしてるこの感じ。」
「腹下してない?」
「してるかも〜。」
「呑気に言ってる場合か。」
「もう少しこの感覚を〜。」
「さっさと出すもの出してこい。」
「ふっかつ!」
「それは何より。」
「いや〜、出すもの出すと気分がいいんだよ。体も気持ちもすっきり!って感じ。」
「それは何より。」
「さっきまで頭がふらふらしてたのも、すっかり落ち着いたし。」
「それは何より。」
「三丁目のお孫さんも定職に落ち着いたし。」
「それは何より。」
「和平協定も結ばれたし。」
「それは何より。」
「世界が平穏に包まれたんだよ。」
「それは何より。」
世界平和、いいね。
「いや、何の話?」
「それはこっちのセリフなんだよ、それは何よりリピートマシンくん。」
「変な名前をつけるな。」
「さっきのキミにはぴったりな名前だったと思われ。」
「…まぁ、さっきは、そうだな。自分でもおかしかったと思う。」
「もしかしたら、あれかい?」
「?」
「キミも、頭がふ〜らふらしちゃってた感じかい?」
「いや、それはない。熱もないし、頭痛もないし、咳も出ないし、甘酒も飲んでない。」
「それであの状態だったとしたら、それは何かを諦めた人ってことにならざるを得ない。」
「なんでよ。」
「同じ言葉を繰り返すってことは、思考を放棄しているか意識が別の場所に行っている証拠なんだよ。それすなわち、何かを諦めていることに他ならない。もしくは他ならない。」
「何故二回言った?」
「ポーカーやらない?」
「語感は似てるけど。」
「チョーカーくれない?」
「語感は似てるけど。」
「許可してくれない?」
「語感は似てるけど。」
「強化してくれない?」
「何を。」
「肝臓。」
「甘酒に酔わないように?」
「いや、数値が高かったから。」
「お前小学生だろ。」
急に冷え込んで朝から頭痛…。