けんがくしたい
この作品はフィクションです。
「やっぱあれだよね。この世に生きてる限りはさ。見学したいよね。」
「何を。」
「森羅万象有象無象天地開闢青椒肉絲を。」
「随分スケールのでかい中華料理ですな。」
「見学したいよね。」
「そこまでスケールがでかければ興味が湧くね。どんな風に作るか見てみたくなる。」
「おいおい、随分と食いつくじゃないか。」
「想像がつかないからね。」
「だが残念!」
「?」
「この世に森羅万象有象無象天地開闢青椒肉絲は存在したりしなかったり!」
「どっちよ。」
「どっちかといえばクライシス。」
「どういうこと?」
「最近食べられちゃったからね。」
「何に?」
「森羅万象有象無象天地開闢マルチーズに。」
「そいつ絶対血統書付きだろ。」
「やっぱり森羅万象有象無象天地開闢類なだけあって、森羅万象有象無象天地開闢と名の付くものに目がないんだろうね。」
「そういうもんなのか?」
「そういうもんなんだよ。森羅万象有象無象天地開闢類学者の、森羅万象有象無象天地開闢大学教授に聞いてきたから間違いあったりなかったり。」
「どっちよ。」
「どっちかといえばクライシス。」
「どういうこと?」
「人間が人間である以上、絶対に間違いが無いとは言い切れない。」
「まぁ、そうだけど。」
「それこそ、森羅万象有象無象天地開闢、を、キラキラマンションインド象アフリカ象自動改札、と、間違うことだってある。」
「無さそう。」
「だからこそ、自分の目でしっかり見学したいよね。キラキラマンションインド象アフリカ象自動改札小籠包を。」
「二品目オーダー入りました。」
「見学するためには厨房に入らなければならないけど、その覚悟はあるかい?」
「覚悟がいるのか?」
「千羽鶴の中にあるからね。」
「どういうこと?」
「それはそれとして、森羅万象有象無象天地開闢青椒肉絲と、キラキラマンションインド象アフリカ象自動改札小籠包が揃ったんだよ。となれば、あと欲しいのは?」
「…まぁ…、ご飯?」
「そうだね権利書だね。」
「何の。」
「チャンピオンに挑戦する権利書だね。」
「何の。」
「12回の防衛記録を持つ伝説のチャンピオンに挑戦する権利書だね。」
「だから何の。」
「じゃんけん。」
「急にシンプル。」
「じゃんけんで12回連続で負けないって、なかなか難しいよね。」
「まぁな。」
「見学したいねぇ、そんなじゃんけん大会。」
「そうか?」
「きっと、青椒肉絲と小籠包がお弁当に出るんだろうなぁ。」
「出るといいな。」
森羅万象有象無象天地開闢ありがとうございました。