こんがり
この作品はフィクションです。
「とうもろこしの〜つぶをつまめば〜そこにひろがる〜にちょうめのせかい〜。」
「………。」
「とうもろこしに〜しょうゆをぬって〜さっとあぶれば〜そこにひろがる〜にちょうめのせかい〜。」
「………。」
「とうもろこしと〜とうけいがくに〜しょうゆをぬって〜ふりまわしたら〜そこにひろがる〜にちょうめのせかい〜。」
「一時停止。」
「なんぞ。」
「統計学にしょうゆを塗ると言うのは許容出来ないな。」
「それはわかる。」
「あっさり認めるじゃないか。」
「やっぱりわさびだよね。」
「一時停止。」
「なんぞ。」
「そういうことじゃなくて。」
「美味しいじゃん、わさび醤油。」
「美味しいけど。」
「とうけいがくに〜わさびじょうゆを〜なやみそうだんして〜あなにつめたら〜そこにひろがる〜にちょうめのせかい〜。」
「さっきから二丁目の世界拡がりすぎだろ。っていうか二丁目の世界ってなんだよ。」
「全世界二丁目計画。」
「一丁目に謝れ。」
「三丁目を忘れてるんじゃねぇよっっっ!!!」
「なんで怒られたの?」
「こんがりしてるから。」
「何が?」
「とうもろこしに醤油を塗ってこんがり焼いたら美味しいじゃろ?」
「確かに焼きとうもろこし美味しいけど。」
「な?」
「で?」
「ん?」
「焼きとうもろこしが美味しいことと俺が怒鳴られたことになんの因果関係が?」
「無い。」
「随分きっぱりと言うじゃないか。」
「あるわけないんだよ。統計学にわさび醤油を悩み相談して穴につめるくらいあるわけないんだよ。」
「さっきの意味粉砕な歌詞じゃん。」
「意味を教えてください。」
「知らん。」
「こんなに丁寧に頼んでるのに?」
「歌ってたのお前だろ?」
「そう、こんがりとね。」
「歌い方の表現で、こんがりと、とかあるのか?」
「この歌を歌うために日焼けしてきたからね。」
「声関係ないだろ。」
「焼きとうもろこしの気持ちを知るためには自分自身もこんがり焼けないとダメなんだよ。」
「そういうもんなのか。」
「じゃないと、二丁目の世界を拡げることは出来ません。」
「焼きとうもろこしどこいった。」
「焼きとうもろこしと二丁目には強い因果関係があるんだよ。」
「どんな。」
「知らん。」
「自分から言っといて随分と突き放すじゃあないか。」
「私、統計学者ですから。」
「嘘はいけません。」
「ごめんなさい。」
「よし。」
「超統計学者です。」
「進化するなよ。」
「統計学者がもっさりすると超統計学者になります。」
「そこはこんがりしとけよ。」
こんがり焼いた肉を食べたい。