さんどうをあつめる
この作品はフィクションです。
「何かを発言するときっていうのはさ。やっぱり集めたいよね。」
「何を。」
「現金。」
「タイトルの意味よ。」
「必ずしもタイトルと同じ内容の話をしなければならないというルールは無いんだよ。この会話劇の中では、特にその傾向が顕著なんだよ。県庁所在地よりも顕著なんだよ。顕著過ぎて最早けんちょっきーふらいど」
「一時停止。」
「なんぞ。」
「そんな寒い発言を完結させることはツッコミとして許すことが出来ない。」
「おやおや。それはそれは。」
「………。」
「すっかり私に心酔していらっしゃるようで。」
「どこをどう理解したらその結論にたどり着いた?」
「ひじき。」
「?」
「賛同を集めたいよね。」
「待った。」
「待たん。」
「待てっつの。」
「待つわけがない。」
「意味不明な発言だけ残して先へ進むことはツッコミとして許すことが出来ない。」
「おやおや。それはそれは。」
「……。」
「すっかり私に車酔いしていらっしゃるようで。」
「乗り物だったのか。」
「同居人。」
「なんだ。」
「私は。人間。」
「知ってる。」
「発言したことに対して賛同を集めることは大事なことだと思うんだよ。」
「強引に話を戻したな。」
「強引に軌道修正しないと、いつまでたっても話が前に進まないからね。」
「そもそも前に進めるような話をした記憶がないのだが。」
「ならば、今日から始めよう。」
「賛同を集められるような話を?」
「ひじき。」
「?」
「賛同を集められるような話をしていこうよ。」
「待った。」
「マトン。」
「羊肉。」
「旨いよね。」
「そんなに食べたことない。」
「そうなの?」
「最近は鶏肉が多い。」
「美味しいからね。」
「鶏肉は、旨い。」
「うん。」
「よし、賛同を集めることが出来たんだよ 。」
「それでいいのか。」
「千里の道の千里って何メートル?って言うじゃない。」
「確かによくわからないけれども。」
「あれって実際何メートルなんだよ?」
「よくわからん。」
「まぁ、長い距離であることは間違いない。」
「そうだな。」
「千里は、長い。」
「うん。」
「よし、またまた賛同を集めたんだよ。」
「いいのかそれで。」
「どんな形であれ、賛同を集めるのが大切なんだよ。昔の人が言うところの、左手は右手より左にある、ってことなんだよ。」
「ごめん。当たり前過ぎて意味がわからない。」
「難しいことを言うねぇ。」
「お前ほどじゃない。」
ひじき