からっぽ
この作品はフィクションです。
「同居人ー。」
「なんだ?」
「冷蔵庫の中がからっぽなんだよ。」
「え、マジか。」
「買い出しに行かないと、今夜のハッシュドビーフ・オブ・ジ・エンドの材料が無いんだよ。」
「何その終末のハッシュドビーフ。」
「週末に終末のハッシュドビーフを食べるってか!?」
「唐突にダジャレをぶちこんでこないでください。捻挫しますから。」
「捻挫をしちゃって残念ざ!ってか!?」
「どうしたおい。」
「追々の甥。」
「病院行こうすぐ行こう。」
「大丈夫大丈夫。大したこと病気じゃないから。」
「病気ではあるのか。」
「ちょっと脳がからっぽになってるだけだから。」
「病院行こうすぐ行こう。」
「だーいじょーぶだって。ほんっとに同居人って心肺停止だよね。」
「勝手に殺すな。」
「勝手にビビンバ北北西。」
「どういう意味?」
「意味なんてあるかいっ!!!!」
「急。なんか、急。」
「急に九本の胡瓜を急患に食べさせる休眠中の九官鳥。」
「急激な「きゅう」縛り。」
「仕方ないね。この世は縛ってなきゃやってらんないんだから。」
「そんなことないだろ。」
「頭の先から頭の先まで余すことなく縛ってほしいね。」
「ピンポイント。」
「そうすれは、からっぽになった私の脳も里帰りしてくれるはず。」
「旅行かよ。」
「ファーストクラスで。」
「豪華。」
「脳だからね。」
「そういうものなのか。」
「そんなん知らん。」
「手のひら返しが粗雑すぎる。」
「仕方ないんだよ。今私の」
「脳は空っぽなんだから?」
「残念。大正解。」
「どっちだよ。」
「大正解されちゃって残念な気持ちを私なりに表現した午後3時のレモンティーとうぐいす豆。」
「和洋折衷。」
「美味しいじゃん。」
「美味しいけど。」
「うぐいす豆は、あれだよ?うん、そういうことなんだよ。」
「瞬時の自己解決は追跡が困難なのですが。」
「だったら山で鍛えなさいよ!」
「何を。」
「ハンカチ。」
「鍛え方の正解を知らないのだが。」
「ハンカチの鍛え方は至極簡単。まずはハンゴチを用意します。」
「何その謎アイテム。」
「いきなりつまづいてんじゃん…。そこでつまづくとは、流石のヤシガニ姐さんもびっくりなんだよ。」
「はじめまして。」
「以後よろしく。」
「とりあえず島にお帰りください。」
「冷たいねぇ。」
「急に知らない人に登場されても困る。」
「あれかい?キミは、人見知りかい?あるいは瞳斬りかい?」
「後者が痛みを伴い過ぎる。」
「早く脳みそ帰ってこないかなぁ。」
「切に願うね。」
脳みそは、大切よね。