かいぶつ
この作品はフィクションです。
「つぶ貝。」
「それだと、がいぶつ、だな。」
「………先読みしてくるねぇ。なんで言いたいことがわかるんだよ?」
「こんだけ二人で話してりゃあな。なんとなく、何を言いたいのか、雰囲気でわかるようになってくる。」
「ほー。言うじゃないか。なら、タイトルと全く関係ない話をしてやろう、なんだよ。」
「それはよくないな。」
「なんで。」
「タイトルと関係ない話を始めてしまったら、いったい何のためにつけられたタイトルなのか、皆が混乱してしまうからな。」
「この会話劇に、そんな深い意味なんて無いんだよ。」
「深い浅いじゃなく、物語の基本だと思うんだが。」
「じゃあどうするんだよ?今からタイトル変える?」
「もう喋り始めてるからなぁ。」
「今さら変えるのはあれなんだよ。牛車が山麓でドリフト決めるようなものなんだよ。」
「豪快に雅。」
「これこそ、怪物、にしか出来ないテクニック、なんだよ。」
「……………。」
「……………。」
「…めっちゃドヤ顔してるけど。文字媒体じゃ伝わらないから。」
「そうなの?」
「今更?」
「これって文字媒体だったのか。てっきり象形文字媒体かと思ってたんだよ。」
「太古のロマン。」
「ファインディングきなこもち?」
「聴覚検査をお勧めしよう。」
「ロマンはマロンでマロンはきな粉でしょうが!」
「フォローを拒みたくなる気持ちに逆らえないし、逆らう気もない。」
「回りくどい言い方をするねぇ。まるで怪物のようなんだよ。」
「どこが。」
「眉毛。」
「見た目じゃねぇか。」
「なんでそんなに眉毛が太いんだよ?」
「遺伝子。」
「遺伝子?」
「そう。」
「眉毛は遺伝子で作られていた?」
「眉毛は、というか、体は。」
「体は遺伝子で作られていた?」
「まぁ、そんな感じ。」
「なるほど。体は切れ痔で作られていた、と。」
「一時停止。」
「送信。」
「何をどこに。」
「体は切れ痔で作られていた、という学説を学会に。」
「お前の聞き間違いだし学説じゃないしどこの学会だよだし。」
「全国最高峰聞き間違い学会。」
「今考えたな。」
「バレたか。」
「バレバレ。」
「さすがは同居人。」
「これで誉められてもなぁ。」
「てもなぁ?」
「てもなぁ。」
「家督相続?」
「どこから舞い込んできたそんな話。」
「左。」
「ざっくりが過ぎる。」
「家督相続の話は大抵左から舞い込んでくるんだよ。」
「理由は。」
「そんなことに理由を語る必要があるのかね?」
「あるだろ。」
「本当、キミは怪物だねぇ。」
「どこが。」
「眉毛。」
「見た目じゃねぇか。」
大切なものは、まず、左を確認。