まゆげとまつげ
この作品はフィクションです。
「脇に生えてるから、脇毛。」
「なんだいきなり。」
「脛に生えてるから、脛毛。」
「そうだけど。」
「じゃあ頭に生えてる毛は、なんで、頭毛、じゃなくて、髪の毛、なんだよ?」
「知らん。」
「あれかい?みぞれの降ったあの夜の約束のせいなのかい?」
「いつのどんな約束だよ。」
「サバの味噌煮を逆転ホームランするって。」
「意味が行方不明。」
「なんで頭毛とは言わないんだよ?」
「だから知らんて。」
「まぁこのようにだね。毛というものは常に謎に満ちているんだよ。」
「随分大層な言い方だな。」
「満ち過ぎて木魚とランナウェイ。」
「意味が行方不明。」
「毛の謎と言えば、まゆげとまつげ、なんだよ。」
「眉毛と睫毛?」
「両者ともに顔面の眼球周りに陣取る毛なんだよ。そういう意味では重要な箇所に配置された毛と言わざるを得ない。」
「まぁ、そうかもな。」
「しかしながら!そんな重要な役職につく毛であるにも関わらず、彼らは実は偽物であるという疑惑がついて回っているんだよ。」
「偽物とかあるのか。」
「あるんだよ。魚のエラにハーモニカを詰め込むくらいあるんだよ。」
「それはよくわからない。」
「ラの音が綺麗に出ます。」
「エラだけに?」
「それ以外の音を鳴らそうとするとエラーになります。」
「エラだけに?」
「その発言は明確に無視します。」
「とりあえずじゃなくて?」
「ガチ無視です。」
「これが乗り損というやつか。」
「そう。ノリー・ゾーン(37歳)。」
「はじめまして。」
「え?」
「ん?」
「前に会ったことなどないんだよ?」
「だからだよ。」
「正解。」
「よし。」
「何の話なんだよ?」
「眉毛と睫毛が実は偽物なんじゃないかって話。」
「そんなことある?」
「お前発信なんだが。」
「そうだっけ?」
「そうだろ。」
「ソー・ダッケ(42歳)。」
「はじめまして。」
「言うまでもないかもしれないけど、前に会ったことなどないんだよ?」
「知ってる。」
「だって、キミ自身が、ソー・ダッケ(42歳独身)、なのだから。」
「はっきりと否定をしておこうと思う。」
「なんで?」
「俺はそんな名前でも年齢でもない。」
「でも独身じゃん?」
「そうだけど。」
「なら、はっきりと否定はできないんだよ。共通項があるのだから。」
「そんなこと言ったら、世の独身男性全員当てはまるだろ。」
「ソー・ダッケ(42歳独身)は女性なんだよ。」
「余計に俺ではなくなったな。」
「でも独身じゃん?」
「そうだけど。」
「独身は性別の壁を超えるんだよ。」
「超えねぇよ。」
「眉毛と睫毛の話どこ行った。」
「次回へ行きました。」
「こんなんで引っ張っていいのか。」
こんな引っ張り方でいいのやらどうやら。