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こんぷれっくす

この作品はフィクションです。

「コンプレックスってさぁ。」

「ん?」

「私はずっと勘違いをしていたんだよ。」

「へぇ。」

「私はずっと、コンプレックスって、プロレス技だと思っていたんだよ。」

「スープレックス的な?」

「そうそう、スープカレー的な。」

「変わったな。」

「見事に変わったんだよ。これこそ、ココナッツミルクの魔力。」

「そうなの?」

「ココナッツミルクって、缶に入ってることが多いじゃん?」

「前回も言ったけどな、それ。」

「あれは魔力を封じ込めておくためなんだよ。」

「新事実。」

「膨大な量の魔力を封じ込めておくには、缶詰を利用するのが最適だったんだよ。」

「新事実。」

「つまり、その缶詰を開封できる缶切りは、マジックアイテムだったんだよ。」

「新事実。」

「そんなコンプレックスを持ってる私なんだよ。」

「一時停止。」

「リモコンまだ直ってません。」

「早く直してくれ。」

「で?」

「ん?」

「なんで止めた?」

「いや、意味がわからなかったから。」

「どの辺?」

「あたり一面。」

「…同居人。」

「なんだ。」

「キミには物事を理解しようと努力する姿勢が足りない。もしくは味噌が足りない。」

「努力と味噌が足りなかったのか。」

「左様。」

「そうじゃなく。」

「なんぞ。」

「理解しようと思って出来る発言じゃなかったように思われるが。なんだよ、ココナッツミルクが缶詰に魔力を封じられてて缶切りがマジックアイテムでそれがコンプレックスって。自分で喋ってても意味がわからない。」

「そんなに長々だらだらどろどろと喋ってるからアイスが溶ける。」

「お前が冷凍庫から出してしまうからだ。」

「抹茶アイスが溶ける。」

「また渋いアイスが好きな小学生女子だな。」

「逆から言うと、るけとがすいあゃちっま。」

「逆から言う意味。」

「あゃちっま、って、どう発音すればいいんだよ?」

「知らん。」

「そんなコンプレックスを持ってる私なんだよ。」

「それはお前に限らずみんなわからないと思うけど。」

「そう。つまり誰しもがコンプレックスを抱えながら生きているということなんだよ。」

「無理矢理。」

「あと、抹茶アイスも抱えながら生きているんだよ。」

「べとつく。」

「あの日の夕暮れの想い出も抱えながら生きているんだよ。」

「何があった。」

「抹茶アイスが溶けた。」

「経験済み。」

「一文字飛ばしで言うと、まちあすとた。」

「一文字飛ばしで言う意味。」

「まちあすとた、って、あれだね。他の何にも似ていない言葉だね。」

「そもそも意味をなしていないからな。」

「それこそが、まちあすとた、の、コンプレックス。」

「無理矢理。」


コンプレックスは新事実に満ちている。

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