ゆううつ
この作品はフィクションです。
「憂鬱だねぇ。」
「小学生がなにブルー決め込んでんだ。」
「近年の小学生には悩みが多いんだよ。」
「そうなのか。」
「クラス内の序列とか人付き合いとか。」
「世知辛いな。」
「世渡り上手じゃないとクラス内でいじめのターゲットにされるからね。」
「お前は飄々と切り抜けてるもんだと思っていたが。」
「そんな器用な真似は出来ないんだよ。小学生は大人と違って限度や責任の所在が曖昧な子か多いから、ちゃんと考えて観察して動かないと命取りになるんだよ。」
「小学校ってそんな場所じゃないだろ。」
「何を言っているんだよ。そういうことを学ぶ場所が小学校なんだよ。」
「怖すぎだろ。」
「鉄は熱いうちに打て、と言うんだよ。それと同じで、現実は子供のうちに見せろ、なんだよ。」
「夢のない話だな。」
「だから憂鬱なんだよ。いつからこんなに夢のない世界になってしまったんだい?」
「さぁな。」
「私が思うに、夢が現実になってきたから、だと思うんだよ。」
「なんだそりゃ。」
「空を飛びたい。遠くの人間と話がしたい。瞬時に知識を知りたい。そんな夢が、時代の流れと共にどんどん現実になっているんだよ。そんな中で、私たちは次にどんな夢を見ればいいんだよ?」
「ん〜………、タイムスリップとか超能力とか?」
「いずれ、そういうのも現実になるのかもしれないね。」
「かもな。」
「味噌汁タリスマンーーーーーっ!!!!!」
「なんだ急に。」
「いやぁ、真面目に語りすぎたもんだから反動が来た。」
「そんな反動あるか?」
「真面目なことを喋りすぎた後は突発的なことを叫びたくなる。これ、世の常識。あるいは、世の常識。」
「同じじゃねぇか。」
「もしくは世の常識。」
「同じじゃねぇかって。」
「前衛的に考えて世の常識。」
「どう違うんだ。」
「味噌汁タリスマンーーーーーっ!!!!!」
「だからなんだ急に。」
「いやぁ、世の常識を語りすぎたからもんだから反動が来た。」
「語ってないだろ。世の常識、っていう言葉を言ってただけだろうが。」
「…はぁ〜〜〜。」
「なんだよ。」
「そんなんだから同居人は柏餅が桜餅なんだよ。」
「どういうことだよ。」
「マンゴーをすりおろしたら株主総会になったってことだよ。」
「どういうことだよ。」
「とりあえず無視します。」
「するな。」
「よし、憂鬱が吹っ飛んだ。どうもありがとう。」
「どういたしまして。」
しんどい時期ってのは、誰にでもありますよね、きっと。