こんどこそしょうしゃとはいしゃ
この作品はフィクションです。
「不思議だよねぇ。」
「前回と全く同じ入り方なんだが。」
「なんで世の中には、しょうしゃとはいしゃ、がいるのだろうか。」
「タイトル回収ありがとう。」
「しょうしゃの裏には、必ず、はいしゃがいる。それが、この世の理。それが、不思議でならない。」
「不思議か?」
「不思議なんだよ。」
「どうしたってそれは生まれるだろ。」
「生まれちゃうの?」
「生まれちゃうの。」
「大変だねぇ。」
「そういうもんだろ。」
「しょうしゃ、は、ともかく、はいしゃ、は、大変だねぇ。」
「またそこから這い上がるんだろ。」
「はいしゃ、から、どこに這い上がるんだよ?」
「………。」
「そもそも、はいしゃ、は、はいしゃ、なのに、這い上がるという表現が」
「一時停止。」
「なんぞ。」
「さっきから気になって」
「なんぞ。」
「いたん」
「なんぞ。」
「だが、」
「なんぞ。」
「変なとこで割り込んでくるのやめてくれないか。」
「それはすまんかったんだよ。」
「………で、だ。」
「ん?」
「さっきから、しょうしゃ、も、はいしゃ、も、ずっと平仮名で喋っているが」
「平仮名で喋る、っていうのも、なかなか個性のある表現なんだよ。」
「そこ引っ掛からなくていい。」
「何?自己主張?」
「ここでやってどうする。」
「ここ以外でやるとこないでしょに。」
「それは言うな。」
「諸行無常だねぇ。」
「そうか?」
「いわゆる漁業農業。」
「いわゆるの使い方。」
「そっち?」
「そっち。」
「そっか。」
「じゃなくて。」
「ん?」
「しょうしゃ、と、はいしゃ。漢字で書いてみて。」
「商社、と、歯医者。」
「やっぱりな。」
「予想済み?」
「ずーっと平仮名だったからな。」
「洞察力だねぇ。」
「そうか?」
「いわゆる漁業農業。」
「いわゆるの使い方。」
「そっち?」
「そっち。」
「いやいや。さすがにここは、洞察力を漁業農業って言ったことにツッコミを入れてほしいんだよ。」
「そっち?」
「そっち。」
「そっか。」
「この場合、勝者はどっち?」
「この場合、勝ちも負けもない。」
「なんで?」
「勝ち負けをつけようとしていないからね。」
「じゃあ、商社はどっち?」
「この場合、商社も歯医者もない。」
「なんで?」
「俺たちは、人間だから、だ。」
「人間だったの?」
「人間だったの。」
「そっか。てっきり勝者だと思ってた。」
「勝者も人間だ。」
「傲慢な発言はお慎みください。」
「失礼しました。」
勝者も敗者も人間だからね。どうしたって生まれちゃうね。