かいぞう
この作品はフィクションです。
「早速だが。」
「早速だな。」
「自分を改造したいと思わないかい?」
「思わん。」
「即答だな。」
「即答だ。」
「なんで?」
「危なそうだし。」
「そう?」
「改造だろ?自分を。」
「うん。」
「危なそうだろ。」
「そう?」
「お前は危ないと思わないのか?」
「思わないんだよ。」
「…ちなみに聞きたいんだが。」
「何?」
「自分を、どう改造したいんだ?」
「私はねぇ、嫌いな食べ物を食べられるようになったり、」
「………ん?」
「背が伸びたり、」
「………ん〜…、」
「人の気持ちを理解できるようになったり、」
「カット。」
「急になんだい?今気持ちが乗ってきてたところだったのに。」
「何のだよ。」
「まだまだ自分の改造したいポイントを語りたかったのに。」
「いや、そこ。」
「どこ?」
「今お前が言ってたのってさ。改造、じゃなくて、成長、じゃない?」
「………。」
「………。」
「………せ、い、ちょう?」
「知らなかったのかよ。」
「えーと、それは、何?静かに聞くこと?」
「それは静聴な。」
「腸のコンディションを整えること?」
「それは整腸。」
「大人の鳥?」
「成鳥。」
「丁寧なこと?」
「………丁重?」
「人間の事を類で言うと?」
「………霊長?」
「三度の飯より?」
「………それは何?」
「三半規管。」
「………どういうこと?」
「そういうことなんだよ。」
「………いや、どういうこと?」
「同居人はそんなこともわからないのかい?そんなことだからキミは三半規管より三度の飯なんだよ。」
「ごめん。パニック限りなし。」
「ちゃんと成長してたらそんなことにはならないんだよ?」
「知ってるんじゃねぇか。」
「というわけで、早速改造を」
「待て待て待て待て。」
「何々何々。」
「成長はしたいが、改造はしたくない。」
「そうなの?」
「当たり前だろ。」
「でも、スポーツ選手とかやってるじゃん?改造。」
「………肉体改造のことか?」
「そう、その身体測定。」
「不一致。」
「明日身体測定なんだよ。」
「そうなのか。」
「だから今日中に自分を改造して身長を25センチほど伸ばしたいんだよ。」
「無茶をおっしゃる。」
「そうすればみんなに言われると思うんだよねぇ。『…どうしたの?』って。」
「言われるだろうねぇ。」
「言われたいよねぇ。」
「そうでもないねぇ。」
「じゃ、早速。」
「できねぇよ。」
急激な身体の成長は、いろいろ負荷がかかるっぽいから、多分よくない。