めざめのよいせいかつ
この作品はフィクションです。
「最近ね。」
「ん?」
「最近なんだよ。」
「………ん?」
「最近は、過去でも未来でもなく、最近なんだよ。」
「………はぁ。」
「目覚めの良い生活を送りたいと切に願う今日この頃の私。」
「はぁ。」
「あるいは、目覚めの良い生活を送りたいと切に願っているんだよ。」
「聞いたけど。」
「これも、最近が最近だからだね。」
「それはなんなんだよ。」
「最近が最近だからこそ、目覚めの良い生活を意識するようになったんだよ。」
「………まぁ、いいや。よくわからないけど。」
「で。」
「ん?」
「キミは目覚めの良い生活を送るためにどんなことを意識しているのかね?そうか食生活か。」
「言ってないですが。」
「食生活でどんな意識をしているのかね?そうか肉を控えて野菜を増やしているのか。」
「言ってないですが。」
「どんな野菜を増やしているのかね?そうかおくらか。」
「言ってないですが。」
「あと納豆か。」
「言ってないですが。」
「あとめかぶか。」
「なんでねばつく系ばっかりなんだよ。」
「あと癒着か。」
「人間関係のねばつき。」
「あと無頓着か。」
「急なねばつき解除。」
「ねばつき会場?」
「なんだそのベタついた会場。」
「全国癒着王決定戦会場。」
「嫌なもの決定するなよ。」
「嫌い?癒着。」
「好きではない。」
「じゃあ今日の夕飯のメニューから外しとくね。」
「癒着を?」
「うん。」
「どんな夕食考えてたんだよ。」
「癒着と膠着と横着の島流しセット。」
「どういうことだよ。」
「どういうことだよ!?」
「こっちが聞いておるのですが。」
「こんなものが目覚めの良い生活を導く夕食になるとは決して思えない。むしろ、思えない。」
「思えないんだな。」
「だから夕食の件は任せた。むしろ、任せた。」
「要はいつも通りってことだな。」
「そういうことなんだよ。むしろ、そういうことなんだよ。」
「むしろブームでも巻き起こってるのか?」
「あ、」
「なんだ。」
「むしろ、あ。」
「巻き起こってるんだな。」
「まぁ、そんな前置きはともかくとして。」
「前置きが途方もない。」
「目覚めの良い生活を送るためには、やっぱり運動が大切なんだよ。」
「まぁ、それもあるかもな。」
「なにかやってる?運動。」
「ウォーキングくらいかなぁ。」
「奇遇だね。」
「お前もしてるの?」
「うん。ウォーキング・ザ・セカンド。」
「いつの間に進化したんだよ。」
「昨日。」
「最近。」
最近朝早起きできるけど、夜遅くまで起きていられない…。