さいごの
この作品はフィクションです。
「質問。」
「どうぞ。」
「キミは、最後の食事、に、何を食べるんだよ?」
「最後の食事?」
「うん。」
「最後の晩餐、ってやつか。」
「そう、そのライドオンぶり大根。」
「乗らないでいただきたい。」
「美味しいじゃん。」
「美味しいのならば何故乗るのだ。」
「そこに美味しさがあるから。」
「うん意味不明。」
「略して意味不明月間。」
「長くなってる。」
「間違えた。」
「だろうな。」
「月刊意味不明。」
「どこが出してるんだそんな冊子。」
「最後の食事社。」
「無理矢理話を戻すな。」
「軌道修正してあげたんだから、感謝されてしかるべき、かつ、やぎるべき、なのでは?」
「やぎるべき、の、意味とは。」
「それを教える前に、最後の食事を何にするかについての回答を希望する。」
「どうしても聞きたいんだな。」
「回答を所望する。」
「なんでちょっと変えた。」
「ぶり大根を所望する。」
「お腹すいたのか。」
「ぶり大根の素晴らしさは知っているだろう?」
「まぁ、美味しいけど。」
「最後の食事に食べたいって人もいるはずなんだよ。」
「まぁ、そうだな。」
「というわけで、ぶり大根プリーズ。」
「ぶりも大根も、買いに行かなきゃないんだが。」
「じゃあ、なんならあるんだよ?」
「ゆであずきとアジの開き。」
「じゃあそれで。」
「はい?」
「じゃあそれで。」
「ぶり大根、じゃなくて?」
「うん。」
「アジあずき?」
「うん。」
「………世の中には、回り道が実は近道だった、という事例も数多くあってだね?」
「だからといって、私の好奇心はそう簡単には抑えられないんだよ。夕飯の後にアイスを食べたくなる気持ちくらい抑えられないんだよ。」
「個人差あるだろ。」
「だからアイス食べたい。」
「発言に責任を持つということを覚えてもらいたい。」
「食べたくない?アイス。」
「食べたいけど。」
「なるほど。キミの最後の食事はアイス、と。」
「おいおい。」
「食べたいって言ったじゃないか。」
「最後の食事に、とは言っていない。」
「なら、最後の食事には何を食べたいんだよ?」
「………、やっぱりあれかな。実家の肉じゃが。」
「失敗したタペストリー?」
「耳鼻科予約しといたぞ。」
「仕事が早い。」
「お褒めに預かりまして。」
「でもタペストリーは食べない方がいいんだよ?」
「知ってるよ。」
「失敗したタペストリーなら尚更。」
「知ってるよ。」
「知ってたのかよ。」
「そういうお前は、最後の食事になに食べるんだよ。」
「親子丼。」
「そこはぶり大根って言ってくれよ。」
基本、私の書くものに意味を求めてはいけない。