むだをはぶきたい
この作品はフィクションです。
「はぁ〜…。」
「どうした。」
「なんで人間ってやつはこんなに無駄なことが好きなんだよ?」
「お前も人間だろ。」
「残念。」
「は?」
「私は人間ではない。天空人だ。」
「そうだったのか。」
「讃えるが良い人間よ。」
「天空人なら、人間が食べるプリンはいらないな。」
「すいませんごめんなさい謝ります土下座しますむしろ逆土下座します。」
「そんなに食べたいのかプリン。って言うか、逆土下座ってなんだよ。」
「土下座って言うのは、己自らの膝と肘と額を地面につけ、深い謝罪の意を表す行動なんだよ。」
「知ってる。」
「逆土下座は、その逆なんだよ。」
「つまり?」
「己自らの学歴と職歴と資格を用紙に記し、深い就職希望の意を表す行動なんだよ。」
「ただの就職活動。」
「土下座の裏を返せば就職活動になるんだよ。」
「なるか、んなもん。」
「………とまぁ、このように、だ。」
「?」
「人間は無駄が大好きなんだよ。」
「完全にお前から発信されたんだけどな。なんだったんだよ天空人って。」
「はるか空の彼方、天空と呼ばれる場所に住まう者達。それが、センキュー人。」
「はじめまして。」
「丁寧な挨拶、センキュー。」
「なぜ地上へ?」
「地上のごく一部の地域でしか手に入らないと言われている、幻の食材を探しに来た。」
「ほぉ?」
「その名も、餅!」
「全国的に普及しまくっておりますが。」
「またの名を、もーち!」
「伸ばしただけですが。」
「あるいは、もっちゃん。」
「ニックネームみたいになってますが。」
「別名を、白銀の破壊者。」
「中二病が全力で介入してきましたが。」
「………とまぁ、このように、だ。」
「人間は無駄が大好き?」
「その通り。」
「今回もお前がその無駄を生み出したんだけどな。」
「そう、私こそが、この世の無駄を生み出し続け、そして、無駄を省き続ける張本人。」
「なにその無駄なループ作業。」
「その名も、餅!」
「餅はそんなことしてないから。」
「またの名を、もちー!」
「伸ばしただけですが。」
「あるいは、もっちょん。」
「ニックネームみたいになってますが。」
「別名を、餅。」
「本名に戻っていますが。」
「………とまぁ、」
「このように人間は無駄が大好きなんだろ?」
「違う。」
「は?」
「違うのだよ餅二世。」
「いつの間に。」
「人間は無駄が大好きなのではない。」
「なら、何が好きなんだ。」
「煮卵。」
「そこは餅にしとけよ。」
「という、無駄全開な会話劇を、今回もお送りしました、というね。」
「自覚はしてたんだな。」
煮卵をおかずに白飯をいただく。