きかんし
この作品はフィクションです。
「季刊紙好きな機関士の気管支への攻撃なんて効かんし。」
「いつも以上にいきなりどうした。」
「最近きかんしにはまっているんだよ。」
「また隙間産業な。」
「ステキじゃん?きかんし。」
「いまいちわからん。」
「なんでよ。」
「きかんし、って言ったって、いろいろあるだろ。少なくとも、さっき駄洒落にしてたくらいは。」
「ある。」
「お前的には、どの、きかんし、が、ステキなんだ?」
「あえて言うならデミグラスソース。」
「急な脱線お疲れさまです。」
「どういたしまして。」
「どこから出てきたデミグラス。」
「黒曜石の彼方から。」
「どこだよ。」
「希望のその先から。」
「どこだよ。」
「明後日の曲がり角から。」
「だからどこだよ。」
「左。」
「ざっくりが過ぎる。」
「デミグラスソースは大抵左から完成すると相場が決まってなどいない。」
「だろうな。」
「そんなことになったら大変なんだよ。万が一、完成途中のデミグラスソースをスパゲッティにかけようもんなら、あれがそれでどれでこれ?」
「どれ。」
「み。」
「ふぁ。」
「そ。」
「ら。」
「シード権を行使します。」
「なんの。」
「全国機関士気管支季刊紙早読み選手権。」
「はじめまして。」
「以後よろしく。」
「そしてさようなら。」
「ごきげんよう。」
「なんの話だよ。」
「知らん。」
「お前が知らなかったら誰が知ってるんだよ。」
「機関士。」
「どこの。」
「左の。」
「どこの左だよ。」
「機関士は大抵左に立っているものだと相場が決まっているんだよ。」
「だからどこの左だよ。」
「君の。」
「は?」
「君の左に3年前に気管支の病気で命を落とした機関士の亡霊が。」
「!?」
「ただいま。」
「おかえりなさい。どうだった?」
「除霊出来た。」
「それは何よりだったんだよ。」
「まさか憑かれていたとは。」
「だから言ったんだよ。季刊紙好きな機関士の気管支への攻撃なんて効かんし、って。」
「それ関係あったのか。」
「機関士の亡霊を寄せ付けない呪文だったんだよ。」
「早く言えよ。」
「まぁ、私に寄せ付けなかった結果、君の方に憑いたわけなんだけど。」
「お前が原因かよ。」
「仕方ないさ。金目鯛だもの。」
「どっから出てきた海産物。」
「右。」
「そこ左じゃないのか。」
「なんでもかんでも左から出てくると思ったら大間違いだから30点マイナス。」
「大減点。」
「では、次の問題をお選びください。」
「歴史の30。」
「問題なんて無い。」
「なんなんだお前。」
肩が重いと感じたら左に注意。