さいころ
この作品はフィクションです。
「ころころころころ。」
「今日は転がしているのか。」
「そうなんだよ。転がすべくして転がしているんだよ。」
「サイコロか。」
「そう。サイコロステーキ。」
「それは転がすなよ。」
「ほっほっほ。これはまた可笑しなことをおっしゃる。」
「何が。」
「サックスは吹いてこそ音を奏でられるのだよ。」
「サックスどこから出てきた。」
「左。」
「ざっくりが過ぎる。」
「どこから、という質問に対しては、上下左右を答えておけば大抵どうにかなるものなんだよ。」
「ならないだろ。」
「ならば試してみるがよい。」
「お前はどこから来たんだ?」
「超時空の彼方。」
「上下左右どこいった。」
「左。」
「ざっくりが過ぎる。」
「どこいった、という質問に対しては、左と答えておけば大抵どうにかなるものなんだよ。」
「なんとかなった会話例を教えてくれ。」
「レフトって日本語で言うと何?」
「左。」
「ほら。なんとかなった。」
「どこいった、は、どこいった。」
「どこいったがどこいった?今日のキミはなんだか難しいことをおっしゃりやがる。」
「話の流れでそうなっただけだ。」
「話の流れは流れ流れて流しそうめん。」
「旨いけど。」
「普通に食べた方が効率がいい。」
「冷めること言ってんじゃねぇよ。」
「流しそうめんは元々がっつり冷えてるんだよ。」
「物理じゃなくて心意気の話だ。」
「煮こごり?」
「どっから出てきた。」
「左。」
「ざっくりが過ぎる。」
「煮こごりは大抵左から出てくるものなんだよ。」
「偏見が過ぎる。」
「しかし、煮こごり、ではなく、煮もどり、になってしまうと、左から出てくる可能性は、ぐっと下がる。」
「煮もどりに初めまして。」
「こちらこそ。」
「どちら様でしょうか。」
「一度煮物を作ったんだけど、急に揚げ物が食べたくなったから煮物を放置して、でも揚がった瞬間にやっぱり気持ちが煮物に戻った、という、切ないオトメゴコロ。」
「何故かカタカナにしちゃうその感じ。」
「可愛い?」
「うざい。」
「うさぎ?」
「可愛い。」
「私は?」
「うざい。」
「うなぎ?」
「旨い。」
「私は?」
「うざい。」
「煮こごり?」
「どっから出てきた。」
「冷蔵庫。」
「左じゃねぇのかよ。」
「何を言っているのかね?料理が残ったらラップをかけて冷蔵庫。それが基本なんだよ。なんでもかんでも左とか言ってたら時代に鳥ノコギリ。」
「ニューアイテム初めまして。」
「鳥の嘴がギザギザしまくってて押して引いたら木材が切れてしまうくらいの代物なんだよ。」
「でかい嘴だな。」
「対岸から見えるからね。」
「でか過ぎだろ。」
「その鳥ノコギリでカットして作った六面体がこちらです。」
「サイコロか。」
「煮こごり。」
「ノコギリで作るなよ。」
ステーキ食べたい。