ふるきよき
この作品はフィクションです。
「人は言う。古き良き、と。」
「まぁ、言うね。」
「この言葉からわかるのは、人が古きに良さを求めている、ということ。」
「間違っては、いないかな。」
「しかしながら、だ。」
「うん。」
「昔がよかった昔がよかったと言ってばかりでは進歩がないのではないかね?」
「別に、古き良き、っていうのは、新しいものを否定してる言葉ってわけではないからな?」
「それは承知してる。けど、古き良き、と、対になる言葉というのが思い当たらないんだよ。」
「新しいものが良い、的な言葉?」
「そう、それ。」
「なんだろなぁ…。」
「う〜ん…。」
「……………。」
「……………。」
「…………………………ボケないの?」
「うん?」
「いや、だから、ボケないの?」
「………何?」
「いや…、だから」
「同居人。」
「なんだ?」
「気付いたんだよ。」
「何を。」
「この会話劇。日比野転々の思い付き。始まってから、なかなかの数の会話劇を展開してきたけれども。」
「うん。」
「圧倒的に足りないんだよ!」
「何が?」
「知性が!!!」
「…………いや、それを言っちゃあ…、」
「思い付きのテーマを思い付きで喋って思い付きでボケ倒してなんやかんやで終わるとか、知性の欠片もない会話劇なんだよ!」
「ノリとテンポで肩の力を抜いて読めるのを大事にしてる作品なんだから、それでいいんじゃないのか?」
「違うんだよ。ノリとテンポを大事にしてる、んじゃあないんだよ。ノリとテンポでしかものを書けないんだよここの作者は!」
「それは言ってやるなよ。」
「まぁ、そんな裏事情を暴露したところで。」
「よくもまぁサラッと。」
「作者が知性を持っていないなら、キャラクターが勝手に知性を発揮すればいいんだよ。」
「どうやって。」
「作者に、こういう風に書け、って、指示していけばいいんだよ。作者がその通りに書けば、知性に溢れた作品が仕上がっている、ってな寸法なんだよ。」
「………いや、でもさ。」
「なんだよ?」
「俺らって、生み出されたキャラクターだよな?」
「言うに及ばず。」
「俺らを生み出したのって、知性がない作者、なんだよな?」
「そうなんだよ。」
「知性がない作者が生み出した俺らに知性があるのか?」
「…………………………。」
「ふるきよき。逆から読むと、スタッドレス。」
「あっという間に諦めたな。」
「楽だからね。」
「ノリとテンポで喋ってる方がな。」
「まぁ、この作品に知性を求める方が悪いと言うか間違ってるというか先行逃げ切り主義というか焼き鳥は秋刀魚に限るというか」
「諦めたな後の切り替えが酷いな。」
「冒頭で古き良きの対になる言葉が思い付かないとか言ってる時点で知性は諦めるべきだったんだよ。」
「そうと決めたらガンガン行くね。」
「よし!寝る!」
「強引。」
こんな感じでよければ、これからもよろしくです。