かいとう
この作品はフィクションです。
「かいとう、と言われたときに。」
「うん。」
「同居人はどんな漢字を想像する?」
「ん〜…、解答、とか?あと、怪盗、とか。」
「なるほどなるほど、ベリーシックな感じだね。」
「重病患者か。」
「私はねぇ、解凍。」
「それもあるか。」
「やっぱり解凍って最強じゃん?」
「そうか?」
「解を凍するんだよ?」
「そう言われても。」
「かい、を、とう、するんだよ?」
「平仮名で強調されても。」
「さい、を、とう、するんだよ?」
「変わってるけど。」
「アクロバティック芋焼酎なんだよ?」
「なにが。」
「最近のトレンド。」
「聞いたことない。」
「やっぱ、怪盗と言えばアクロバティックじゃん?」
「芋焼酎は。」
「私の好み。」
「お前小学生だろ。」
「そう。表向きは小学生女子。しかしながらその正体は。」
「なんか怪盗にありそうな設定だけど。」
「斎藤です。」
「誰。」
「さい、を、とう、する、斎藤です。」
「知らないけど。」
「難しい字の方の斎藤です。」
「だから知らないっての。」
「簡単な字の方の斉藤じゃねぇからっっ!!」
「情緒。」
「失礼しました。」
「急に。」
「全国の斉藤さんに謝罪申し上げ。」
「中途半端に切らないで。」
「解凍するから許して欲しい。」
「何を。」
「ロマンティック芋焼酎。」
「芋焼酎に解凍案件は無いと思われ。」
「焼酎を凍らせて焼酎氷を作るんだよ。それを焼酎を呑みたいときに解凍するんだよ。」
「二度手間じゃないか?それ。」
「この世は正論を言ったらいけないんだよ。」
「嫌な世界だ。」
「せい、の、ろん、を言ったらいけないんだよ。」
「最近好きなのか、その区切り方。」
「なんか歯切れ良いじゃん?」
「そうか?」
「まるでしゃきしゃき湯豆腐みたいに。」
「結び付かない。」
「そう?」
「湯豆腐のしゃきしゃき感って何。どこ。」
「左側。」
「ざっくりが過ぎる。」
「ひ、の、だりがわ。」
「歯切れ良さ消滅。」
「おいおい。」
「うん?」
「最初のテーマを忘れて好き勝手に話を暴走させるのもいいけどもさぁ。もっと1つのテーマを丁寧に取り扱うのもいいと思うよぉ?ほら、良く言うじゃん?初志貫徹、って。」
「暴走させてんのは99パーセントお前だけどな。」
「残りの1パーセントは?」
「良心。」
「ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
「りょうしん、って言われたときに、同居人はどんな漢字を想像する?」
「良心。あとは、両親。」
「なるほどなるほど。ベリー芋焼酎な感じだね。」
「そんなに呑みたいのか?」
「未成年者に酒を呑ませてはいけません。」
「別にしていない。」
「鮭を飲ませるのはセーフ。」
「噛ませてやってください。」
情緒を安定させるのは大事。