あんてな
この作品はフィクションです。
「人は言う。様々なことに興味を持て、と。」
「言う人もいるな。」
「それをちょっと言い替えると、アンテナを張り巡らせろ、になる。」
「まぁ、意味はわかる。」
「言いたい。私は言いたいよ。それに対して私は言いたいよ。」
「なんて。」
「言いたいんだよ。とにかく言いたいんだよ。四六時中言いたいんだよ。」
「だからなんて。」
「五臓六腑に染み渡るほど言いたいんだよ。」
「本当は特に何も言いたくないんだな?」
「正解的。」
「的なんだ。」
「これが所謂ところの、見切り発車の着地点探して会話引き延ばし戦術、なんだよ。」
「いわゆらないと思うけどな。」
「かの有名な軍師も、この戦術を愛用したと言われているんだよ。」
「誰。」
「諸葛亮透明。」
「誰だそのモノマネ芸人。」
「主に三丁目で活躍しています。」
「どこの。」
「三丁目の南ね。」
「だからどこの。」
「南、ね。」
「そこの強調いらないから。」
「とかなんとか言ってるうちに一応の着地点を見つけて安堵したからそこに着地してみよう。」
「めっちゃ心情を言葉にしてるな。」
「アンテナ重くない?」
「着地点は沼地でした。」
「なにがさ。」
「よりにもよってそんな着地?」
「だってアンテナを張り巡らせるためにはなかなかの数のアンテナがいるじゃない?」
「物理的に張り巡らせるなよ。」
「え?」
「そんな意外そうな顔されても。」
「@A@」
「意外そうな顔文字をされても。」
「まさかとは思うけれどもさ。張り巡らせるのは、物理的なアンテナ、じゃなくて、心のアンテナ、ってこと?」
「まぁ、その方が意味的には近いと思う。」
「マジかよ…。」
「めっちゃ落ち込んでるし。」
「買っちゃったのに。」
「アンテナを?」
「うん。」
「お前小学生だろ。」
「うん。」
「どこにそんな金あるんだよ。」
「黒曜石の彼方。」
「どこだよ。」
「明後日の夕暮れ。」
「だからどこだよ。」
「左。」
「ざっくりが過ぎる。」
「隠し財産ってものは大抵左にあるものなんだよ。」
「そんなことはないと思わざるを得ない。」
「何故に。」
「だって、今の状態だと左はどっちだ?」
「こっち。」
「回れ右。」
「ほい。」
「左はどっちだ?」
「こっち。」
「逆になってるだろ?」
「…………………。」
「そんな驚きの表情されても。」
「(@ ̄□ ̄@;)!!」
「驚きの顔文字をされても。」
「なんとまぁ。左は右で、右は左だったのか。」
「誤解を生みそうな表現だな。」
「ということは、上は下で、下は海苔巻きなのだな。」
「一時停止。」
「なんぞ。」
「海苔巻きどこから出てきた。」
「左。」
「ざっくりが過ぎる。」
「海苔巻きっていうものは大抵台所にあるものなんだよ。」
「いきなり正解をぶちこんでくるタイプ。」
「あ、」
「なんだ。」
「これを渡すのを忘れていた。」
「なんだこれ。」
「アンテナの請求書。」
「お前が勝手に買ったのになんで俺が払わなければならないのか。」
「だって私小学生だもの。」
「こういう時だけ設定を悪用するな。」
あまりにたくさんのアンテナは、情報過多になるので必要ないのかも?