らんとう
この作品はフィクションです。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!」
「なに叫んでんだ。」
「三丁目で乱闘が発生したんだよっ!」
「マジかよ。」
「マジもマジマジ。マジすぎてヒラメが山芋になっちゃったんだよっ!」
「意味がわからん。」
「それくらいの大乱闘なんだよ。」
「誰が乱闘してるんだよ。」
「蟻。」
「………あり?」
「うん。蟻。」
「蟻、って、あの蟻か?あの、体が黒くて小さくてちょこまか歩く。」
「惜しい。」
「違うとこあるか?」
「私が言ってる蟻は、山吹色で都庁並でタップダンスしながら歩く、あの、蟻。」
「化け物じゃねぇか。」
「最近の蟻は進化が止まらないんだよ。その内国を創る勢い。」
「どこにだ。」
「三丁目。」
「小規模だな。」
「日本の三丁目という三丁目に蟻の国家が誕生して、壮絶な国盗り合戦が繰り広げられるんだよ。」
「戦乱の世の再来?」
「安心したまえ。あれはただの乱闘だった。」
「なんでわかる。」
「ヒラメが山芋になっちゃったから。」
「どんな基準だよ。」
「ちなみに、カレイが山芋になったら私闘。エイが山芋になったら決闘。山芋をすりおろしてご飯にかけて醤油をかけて食べたら美味しい。」
「そうだな。」
「私は痒くなるから苦手です。」
「即手のひら返し。」
「いやいやいや。手のひらを返してなどいない。返したのはレンタルサーバーだ。」
「何してたんだよ。」
「ミジンコの観察日記。」
「サーバー使わなくてよくないか?」
「話を戻すけど。」
「戻してくれ。」
「ミジンコの観察日記。」
「ほぼ戻ってねぇ。」
「戻す、の定義は人それぞれなんだよ。人によっては戻すと言ってスルメを食いだす人もいるんだよ。」
「シュールだな。」
「スルメってさぁ、」
「なんだ。」
「硬いよね。」
「硬いな。」
「話を戻すけど。」
「それだけかよ。」
「えのき茸だよ。」
「味噌汁か。」
「残念。酢汁。」
「なんだそのむせ返る汁は。」
「黒酢をベースにりんご酢をブレンドし、」
「すでに口の中が酸っぱい。」
「そこにライスとアイスと車椅子をぶちこみ、」
「カオス。」
「それとは関係なく作った味噌汁にほっこりする。そんな老後を送りたい。」
「やっぱり味噌汁か。」
「なんだかんだで三打数一安打。」
「三割三部三厘。」
「味噌汁における味噌と豆腐とえのき茸の割合。」
「どう反応していいかわからないボケはやめていただきたい。」
「シュールだから?」
「多分だけど、シュールの意味理解してないだろ。」
「女性ものの靴のことでしょ?」
「多分だけど、ミュールのことかな?」
「消音。」
「ミュート。」
「ゴールネットに?」
「シュート。」
「可愛い子。」
「キュート。」
「楽器。」
「リュート。」
「残念。クラリネット。」
「選択肢多過ぎだろ。」
「人生の選択肢は無数にあるのさ。」
「急に深い。」
「浅瀬から一歩踏み出したら深海。」
「急に深い。」
「笑顔で話してたら唐突にバッシング。」
「急に不快。」
「9が嫌い。」
「九に不快。」
「蛸足かと思ったら烏賊下足だった。」
「それはなんだ。」
「八と十のラプソディー。」
「意味がわからん。」
「さっき言ったんだよ。人生の選択肢は無数にあるって。」
「俺の人生の選択肢に、そのラプソディーはなかった。」
「増やすがいい。」
「断る。」
選択肢が多すぎるのも困りもの。