なかよし
この作品はフィクションです。
「最近疑問に思うことがある。」
「なんだ。」
「仲良し、の定義。」
「ほぉ。」
「なんだろうね?」
「まぁ、曖昧なところはあるよな。」
「とりあえず、木綿豆腐と絹ごし豆腐の味の違いを説明できない人とは友達になれない。」
「狭すぎる門。」
「味の好みが似てるって大事じゃん?」
「それはあるかもしれないけど。」
「こないだ友達になれそうかも、って子がいたんだけどさ。」
「うん。」
「バニラアイス食べて、このペペロンチーノ美味しい〜、って言ってたんだよ。」
「それはまた。」
「ヤバイでしょ。」
「ヤバイな。」
「語尾に波線つけるとか。」
「それはいいだろ。」
「85才なのに。」
「それでもいいだろ。」
「10年間爪切ってないのに。」
「それでもいいだろ。」
「足10本あるのに。」
「それでもいいだろ。」
「口から毒液吐くのに。」
「それでもいいだろ。」
「柚子胡椒嫌いなのに。」
「それはダメだな。」
「そこはダメなの?」
「柚子胡椒の美味しさを理解できない相手とは仲良くなれない。」
「10年間爪切ってないのも足が10本あるのも口から毒液吐くのも許せるのに?」
「それはあれだろ。」
「どれ?」
「個性。」
「個性で片付けられる内容じゃないよ?」
「なんだ。」
「何が?」
「差別か。」
「違うんだよ。」
「爪伸ばしっぱなしでも足が多くても毒液吐いてもいいじゃない。この世界で共に生きる仲間なんだから。」
「あ、その子異星人。」
「バニラアイスをペペロンチーノと言ってしまうタイプの子とは友達になれないかもな。」
「手のひらが高速でひっくり返ったんだよ。」
「差別はいけないって世間では言うけど、必要な差別ってあると思う。」
「正論言ってる雰囲気だしてるけど、ただの手のひら返しという事実。」
「…しまった。」
「何?」
「ボケてしまった。」
「さっきまで無自覚だったの?」
「もうボケないと誓ったのに。」
「いつなんだよ。」
「お詫びにバニラアイス味のペペロンチーノをご馳走しよう。」
「言ったそばから破棄される誓い。」
「そういうもんだろ、友達って。」
「うん。いろいろ違う。」
「そんなわけで仲良しの定義は、バニラアイスをペペロンチーノと言わない、ってことだな。」
「うん。違うけど、もうそれでいいんだよ。めんどくさいし。」
「諦めんなよ!!」
「急な熱血教師。」
「お前の仲良しに対する情熱はそんなものだったのか!?」
「とりあえず、キミのようなタイプとは仲良くなれなさそうなんだよ。」
「まぁ、そうだな。俺たちは友人関係ではなく、保護者と児童の関係だから。」
「多分これ読んでる人、ほぼほぼそんなこと覚えてないから大丈夫なんだよ。」
「だろうな。」
初期設定からどんどん設定が変わっていく危険性(^_^;)。だから私の作品はキャラが少ない。