りかいふのう
この作品はフィクションです。
「わからん。」
「何が。」
「この世界。」
「開始5秒でダイナミック。」
「世界はわからんことで溢れかえっているんだよ。理解不能なんだよ。」
「まぁ、そうだけど。」
「例えば、坂道、と言われたときに、上り坂を想像する人と下り坂を想像する人、どっちが多いのかを気にする人がほとんどいないこととか。」
「一時停止。」
「なんぞ。」
「ダイナミックからのピンポイントショット。」
「どういうことなんだよ。」
「それ?まず気になるの、それ?」
「それ。」
「そうか。」
「別になんだっていいだろなんだよ。世界には理解不能なことが多すぎるんだよ。どんな順番で気になろうと私の自由であり勝手であり横暴。」
「横暴はやめようか。」
「そして牛蒡。からの野望。」
「牛蒡の野望?」
「そして陰謀。」
「話が怪しくなってきた。」
「生まれいずる希望。」
「おぉ、」
「からの絶望。」
「おぉお、」
「そして」
「……………、」
「カステラの宗派を知りたい。」
「………は?」
「ん?」
「………え?」
「へ?」
「………何?」
「何が?」
「何なの?」
「あそこまで期待感高めといて、何なの?」
「何がさ?」
「牛蒡の野望はどうなったんだよ。陰謀からの希望そして絶望その先は。」
「………、同居人。」
「なんだ。」
「悩みがあるなら聞くよ?」
「なんで。」
「いきなり牛蒡の野望云々と、わけわからないことを言い始めないでもらいたい。キミまで理解不能になってしまってはそれこそまさに、」
「………、」
「カステラの宗派を知りたい。」
「をい。」
「おい、じゃなく、をい、を選択する理由。」
「んなことはどうでもいい。」
「なんだい?」
「まさに、の続きは。」
「摩擦?」
「違うだろ。」
「まさかり?」
「それも違う。」
「まさかり式摩擦熱マッサージ?」
「それはちょっと気になる。」
「読んで字のごとく。まさかりで対象をごっしごしすることで摩擦熱を起こし、その温かさで患部をほぐすんだよ。」
「効果あるのか?」
「そりゃもう。マッサージを受けた人はこぞって大感激で大流血。」
「切れてんじゃねぇか。」
「そりゃもう。」
「ダメだろ。」
「そんなマッサージが大流行。」
「なんでだよ。」
「理解不能だよね。」
「死人が出てないのが不思議だわ。」
「死人なんて出るわけないんだよ。そんなのが出たら営業続けていられないんだよ。」
「そりゃそうだけど。」
「営業を続けられて大流行していてカステラ宗派を知りたいと願う人がいる限りまさかり式摩擦熱マッサージは不滅を通り越して不滅。つまり、無滅なんだよ。」
「まぁ、カステラの宗派のことは置いといて。」
「それでいいのかい?」
「知ったところで、ということもあるし。」
「理解不能だからかい?」
「そうとも言える。」
「三千世界?」
「急になんだ。」
「こういう風に、急に関係ない言葉をぶちこむ考えも理解不能だよね。」
「今までの自分を全否定してどうする。」
「え、私って理解不能なの?」
「気づいちゃったか?」
「そうだったんだ?」
「そうだったんだ。」
「つまり私は、ミステリアスな神秘的少女、ってことだね。」
「ポジティブ。」
一生の内に理解できることは、どれくらいあるんだろうか。