かちかち
この作品はフィクションです。
「かちかちかちかちかちかちかちかち」
「………。」
「かちかちかちかちかちかちかちかち」
「………………。」
「かちかちかちかちかちかちかちかち」
「……………………。」
「よし、24連勝。」
「勝ち勝ち?」
「かちかちかちかちかちかちかちかち」
「………。」
「かちかちかちかちかちかちかちかち」
「………………。」
「かちかちかちかちかちかちかちかち」
「……………………。」
「どんだけ蚊がわいてんだよこの地下室!めっちゃ痒くてめっちゃ掻いたらめっちゃ出血したし!」
「蚊地下血?」
「かちかちかちかちかちかちかちかち」
「………。」
「かちかちかちかちかちかちかちかち」
「………………。」
「かちかちかちかちかちかちかちかち」
「……………………。」
「貴様の絵画には何の価値も見出だせん!もし価値を見出だしてほしくば血を寄越すのだ!!!」
「価値か血?」
「いやいやいやいや。」
「いやいやいやいや。」
「無理矢理が過ぎる。」
「それはそう。」
「二個目からすでに無理矢理が過ぎるんだもの。なんだこれ。これなんだ。」
「ノリで、かちかち、とかタイトルつけるからこんなことになったんだよな。なんだこれ。これなんだ。」
「今からでも内容変えようそうしよう。」
「なんにする?」
「抜本的改革における産業支援と外来企業の台頭について。」
「無理無理無理無理。」
「なんでさ?」
「こんな知的っぽいタイトルつけちゃったらそれこそダメだろ。二言目で行き詰まるぞ。」
「そうかなぁ?」
「じゃあ例えば、そのタイトルで何を語る気だ?」
「抜本的、と、八本液、って、似てるよね、とか。」
「一時停止。」
「なんぞ。」
「八本液とは。」
「八本の液。」
「それはわかる。こっちが聞きたいのはその中身。」
「液の?それとも明日の晩御飯の?」
「明日の晩御飯の中身を考えてるのは俺だから。」
「だから私が聞きたい。」
「そこは楽しみに待ってなさいよ。」
「えー、それじゃあ対策が立てられないんだよ。」
「晩御飯の何を対策するつもりだ。」
「嫌いな食材が入っていた際、それをどう回避するか。」
「好き嫌いするんじゃないよ小学生。」
「好き嫌いが許されるのは小学生までなんだから許してくれよぉ。」
「別に小学生だから許されるってわけじゃないからな?」
「新事実!!!」
「知らなかったのかよ。」
「これぞまさに新たなる価値観の獲得。すなわち、価値価値、だね!」
「無理矢理が過ぎる。」
いろいろ無理矢理が過ぎた。