表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

始まりの奇跡


奇跡というものは

滅多に起こらないようで実は

そこら中に転がっているのかもしれない。



寝坊した訳では無い。

いつも通り家を出ていつも通りの道を歩いて来た。

ただたまにある、ずっと赤信号に

引っかかり続ける日のように、

今日は何かしら妙に足止めをされる日だった。

ふと時計を見ると、乗らなければいけない電車は

あと二分後に発車だ。

急げばまだ間に合う、そう思い僕は走り出した。



発車まで約30秒。

ホームの階段に差し掛かった時だった。

焦ってもつれた足が階段を大きく踏み外す。

悪いことというのは

どうしてこうも重なるのだろうか。



「あぁ、電車間に合わないなぁ」と

妙に冷静な頭で僕は次に訪れるであろう痛みを

待ち構えていた…………はずだった。



もふっ。



「……あれ?痛……くない?」

確かに僕は今しがた階段を踏み外したはずだ。

それになんだ?

このもふもふした触感は……

ずっと触っていたい……

もふもふ……





「おっもーーーーーーーい!

ちょっと!あなた殺す気ですか?!

せっかく命を救ってあげたのに!」

と、声が聞こえてきた。

僕はその声がする方向に目を向ける。

すると、僕の真下にはもふもふの……

もふもふの……これはなんだ??

モンスター??

もふもふの……何かがいた。



「あっ、ごめん。」

つい反射でその物体に謝り、僕は立ち上がった。

「あ、ありがとう…?君…はえっと命を救ってくれたということは……天使……とかなのかな?」

何だかもふもふで、ふわふわだし……。

人の形してないけど……

「悪魔です。」

「やっぱそうだよね……って……えっ?!

あ、悪魔って言った?」

「そうです。」

「え?じゃ、なんで僕の命を……?」

「そもそも、悪魔が、みんな命を奪いに来るものだと思ってるなら、大間違いです!」

「…………その…あなたが階段を踏み外したのは、

私のせいなので、せめて命は助けなきゃと思って……」

「よく分からないけど、君は優しいんだね……」




自分は悪魔だと言い張る、

そのもふもふの優しい悪魔と出会った奇跡が、

僕の未来にどんな影響を与えるかは

この時の僕はまだ露ほども知らなかった。


これは、僕の身に巻き起こる

数多の奇跡の最初のお話。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ