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いや違うんです。本当にただの農民なんです  作者: あおのん
第6章 はじめての冒険者らいふ!
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第84話 人をアホにする機械

なんの変哲も無い地図が、

色とりどりに着色される。


サナの謎技術のおかげで、地図は劇的な進化を遂げた。


特徴が可視化されたことで、

隠されたとある"傾向"が浮き彫りとなったのだ。


「丸い円が連なってる感じね。」

(うん、そうだね)


四人で地図を見上げる。

地図には大小様々な色の丸い円が描写されていた。


例えるならばその様子は「台風」。

徐々に勢いを拡大させる台風のような様子が、

地図には映し出されていたのだ。



「ちょうど王国の領地の端っこ…。

オリビアの村のあたりにいた小さな円が、

どんどん大きくなってる感じだよな」



日付が新しくなるほどに、

その丸い円は直線を描くように移動していた。


"とある一点"に近づくにつれて、

円の半径がより大きくなっていくのが

目に見えてわかった。



「時間が経つにつれて

日照りの範囲もどんどん大きくなってる、

ってことよね」


「たぶんな…。

そんでもって、この丸い円が向かおうとしていると

思しき場所がー……」



トンっ。


サナが地図に置いた人形を手に取り、

その円の向かう場所にポンと置く。


「ここ王都…というわけね」

「うん」


円の動きはまっすぐに王都に

向かっている軌道だったのだ。


(……自然現象では絶対なさそうだよね)

「そうだよなぁ」


この丸い円の正体はなんだろう…?

なんでこの丸い円は王都に向かっている…??


新たな発見をしたはいいが、

今度は新たな疑問が浮かび上がる。


王国の中心地に向かってくる謎の日照りの原因。

漠然と不穏な気配を感じながら、

じっとその円の中心を見ていた……のだが。


「ん、ん……?」


あ、あれ?

な、なんだ?


それは突然、なんの脈絡もなく俺を襲ったのだ。


くらり……。


急にめまいのような感覚が俺を襲った。

耐えられずに片手で頭を支えてしまう。



(タ、タケシどうかしたの?)



ベットの上で頭を抑える俺を、

オリビアが心配そうに俺を覗き込む。


「お、おぉ…?なんらこれ…?

あ、あたまが急にボーっと……」


めまいだけじゃなく、

思考も言葉も回らなくなってきた。


俺の尋常ならざる様子を見たサナが、

慌てて地図に駆け寄っていく。


「わ、わわっ!い、今止めますから!

大丈夫ですか??」


突然の謎の変化に困惑していると、

サナは四角い機械をポチりと押して、

地図の表示を停止した。


すると、その直後に

謎の目眩はあっさりと消え去ったのだ。



✳︎



「ご、ごめんなさい!

せ、説明していませんでした!」


サナは四角い装置をカチャカチャ操作して、

地図を元の普通の地図に戻した。


「さっきの丸い円なんですけど……

実はあれを表示するには人の力を

借りないといけなくて……」


「ほう?」


どういうことだろう?

一同一斉にサナに注目する。

申し訳なさそうにサナは説明する。


「この地図の裏ではですね、

ポイントごとに件数を合計したり、

明らかにハズレなポイントは除外したりだとか

計算をしてるんです。」


「実はその計算処理を、

タケツ様の頭の演算能力を

代替わりに使っていたので、

そのせいで目眩になったのかなー……と。」


「??ど、どういうこと??」


「えーっとですね…。

丸い円を表示するにあたって、

裏でいろーんな計算を行なっているんですよ。


その計算を、タケツ様の頭の演算領域の一部を

お借りして行なっていたんですが、

地図を表示し続けたせいで、

タケシ様の脳みそが処理をずーっと続けてしまって、

脳みそが限界を迎えて、目眩になったみたいで…」


サナの長い説明を、

アリアが一言に要約する。


「……要するに、

裏でタケシの脳みそが勝手に考え事しすぎたせいで、

タケシの脳みそが疲れちゃった、ってこと?」


「そ、そうですね!そうなります!」


……ということらしい。

目眩がしたのは、頭を

使いすぎたことが原因のようだ。


(なるほど)


オリビアは一人納得したようにうなづいた。


(つまり、この機械を使うと、

タケシは脳みそ使えなくなって

アホになっていくってこと?)


「そーーー……ともいえますね。はい」


(タケシがアホすぎて計算がおっつかなくて、

目眩した、ってことでもあるんだよね?)


「えぇ!?ち、ちがいますちがいます!

たぶん私が作った魔法文字のどこかに

無限ループしてしまうような不具合が

あったせいだと思います!」


そうなんだー、とオリビアは納得したように答えた。

……こいつ俺のこと舐め腐ってやがるな……?


(タケシ。1足す1は?)

「……2だよ」


(おー)


「機械はもう止まってるんだから

んなもんわかるわボケ。」


(15足す23は?)

「ん?」


(15+23)

「ん?なんて?」


(じゅうごたすに……)

「33」


(おー)


疎らな拍手が聞こえてくる。


このアマぁ……そんな簡単な計算が

できないわけがないだろうがぁぁぁ……??


(聞こえないフリしてる間に必死に計算してたの?)

と煽ってくるオリビア。


今度は俺から問題を出してやろう!と

意気込んでいたその時。


「二人とも間違ってるわ。

15足す23は38よ」


「……」

「……」


俺たちの目線が一度だけピタリと合わさる。


それから、お互い何もいわずにしれーっと、

地図に目線を移して、

ほかに何かヒントはないか探し始めたのだった…


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