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いや違うんです。本当にただの農民なんです  作者: あおのん
第4章 魔人討伐! 〜初心者編〜
68/120

第1部 完



俺は滑り落ちるようにステンドガラスを降りた。


降りた、というか落ちた。


「ごハッ!」


地上までの高さ数メートル。

所詮農民でしかないこの俺が、アリアのように華麗に降りれるわけもなく。


「い、いてぇ……」


受け身も何も取ることができなかった。

転がり落ちるようにステンドガラスから落下する。


背中は打ったし腕擦りむいた。

手も痛いし脚も痛い。


しかしそんな痛みなど忘れるほどの衝動が俺を駆り立てる。

痛がってる場合じゃないのだ。痛みを無視してでも俺は走り出した。


(はやく、はやくあの場所に……っ!!)


"一撃必殺のその場所"を目指して、

俺は一心不乱に駆け出したのだ!


✳︎


(このあたりか?!)


空を見上げながら位置を調整する。

それは丁度、"そいつ"と俺と魔人、3つが一直線に重なる位置だ!


(よし、ここだな)


位置を定める。

すぐさま上を見上げて、真っ直ぐと魔人を見据えて、


そして、大きく息を吸い込んだ!



「おらぁ!クソ魔人!こっち見ろや!!」


「ん……?」



魔人は俺の存在に気づいて、ゆっくり下を見下ろした。


「貴様かぁ…。

そういえば貴様もまだいたのだったなぁ。」


そしてすぐに右手を振り下ろす。

「男はいらん。死ね」


なんの躊躇も溜めもない。

飛ぶ蝿をはたき落とすくらいの気安さで、

魔人は攻撃魔法を飛ばした。


接近する魔法の光。

魔人からすればなんてことはない攻撃だろう。

しかし、俺がこれを食らえばタダでは済まない。死亡確定だ。


(避けるか?)

……いいや避けない、まだ早い。


魔人の放った攻撃を引きつけて引きつけて、

ぶつかりそうになるその寸前で、

ついに俺は必殺のその言葉を大きく叫んだ!

そいつに聞こえる様に、大きく大きく息を吸って、

俺は全力で叫んだのだ!



「助けてええええええ!

エターナルブレイブブレードフォーエバーーーー!!!!」



大きな声でその名を叫ぶ!

このままいくと、魔法を直撃して俺は死ぬ…!!

大ピンチ、絶体絶命だ!


(避けなきゃ死ぬな!けど…!)


こんなピンチに、正義の味方であるアイツが駆けつけてくれないわけがないのだ!



【Yes Justice!】



独特なイントネーション!そしてやかましいほどの大音量!

聞こえてくるのはあの声だ!神剣のやかましい不粋な声!


音の源は丁度魔人の後ろ。

天井に深々と突き刺さっていた神剣が、その声とともに大きく躍動する…!!



【Stand by.Reay.....Go!】



宙に浮き、天井に突き刺さった己の剣身を外に出す。


そのまま浮かんだまま、矛先をこちらにターン。

俺を助けるべく、矛先は真っ直ぐ俺に向かう!

そして狙い定めて一直線に発射したのだ!


【Yes Justice!】

【Yes Justice!】

【Yes Justice!】


一直線に神剣は出発する。

一直線……そう、文字通り"一直線"に飛来したのだ。


俺と神剣を直線で結んだライン。

このラインを結ぶために、俺は必死に走って位置を調整した!

その努力がこの瞬間に身を結ぶ!


空を見上げる先にいるのは魔人の顔。

俺と魔人と神剣を結ぶラインは、丁度直線の延長線上…。


延長線上に浮かぶは魔人の体…!

そして神剣は、一直線の最短距離で俺の元へと飛んでくる!

その軌道線に浮かぶ魔人の体!


魔人の背中めがけて、真剣が一直線に飛んできたのだ!



「ま、まず、こ、この……っ!!!」



もちろん魔人は後ろから聞こえる神剣のその声に気づいている!


しかし避けられない…!

度重なるアリアの攻撃にその体は死に体。

避ける力も何も残ってはいないのだ!



「やめrrrrrrrrr!!」



神剣はかっさらう様に魔人の背中を強襲した!


魔人は抗うこともできずに、

神剣の剣先に後ろから"ど突かれる"!


その勢いに魔人の叫びは虚しく搔き消された!



「あががなごががががが!!!!!!」



猛スピード。

魔人の口に入った空気の塊がまともに喋らせない!


魔人の体は、神剣とともに地面に向かって急降下、

背中からどつかれる形で落ちていく!


「こ、この!!!が、ががががががが!!!」


剣の切っ先は、魔人の背中を貫かんと

全力で押し付けられる。


しかしそれでも魔人を貫かない!

魔人の謎の能力、『斬撃耐性』によって、

鋭い剣先では魔人を貫くことは叶わない!


「や、やめrrrrrrr!!!」


斬撃耐性。魔人の前では剣による攻撃は無意味に帰する。


剣による攻撃は全て無意味。

魔人の余裕は崩れない……はずだった。


にもかかわらず、今までは笑顔で受け身一方だった魔人が、

初めての抵抗を見せている!



(……なぜ、今までにない抵抗をしているのか。)



1つ。至極単純。こいつはM男のど変態だが、

男からいためつけられて喜ぶタイプの変態ではないから。


「ぐ、ぐがががが!!この!このっ…!」


2つ。このまま神剣に押されるまま地面に墜落したらどうなるか、

それをこの魔人はよーくわかっているからだ。


(斬撃は全て打撃に昇華される…だったか)


斬撃耐性。

斬撃は全てただの打撃に変換する、そんな能力だ。


押し付けられている鋭い剣先も、

今の魔人からすればただ細い棒で強く押し付けられているようなもの。


細い棒で押されただけでは当然致命傷には至らない。



(なら、地面に押し付けられながらなら、どうなる?)


その答えは、このまま待っていればすぐに見られるだろう。

……そしていよいよ魔人の体は地面に到達した。


【ガガガガガガガガガ】


神剣は地面を固めるダンピングランマーのごとく、

ガガガガガガと魔人の体を地面に向かって押し当てる。

ミシリミシリと、神剣は徐々に徐々に

魔人に食い込む深度を深くしていった!



………生き物は殴られたりぶつかったりすると、

反射的に体を殴られた方向に引くものだ。


パンチで殴って相手が倒れるのは、

殴ったパンチに相手を倒すほどのエネルギーがあるのではない。


力を受け流すために、体が無意識に自ら倒れようとしているのだ。


それこそが生物の防衛本能。無意識に体を動かして、"威力をなそう"とする本能だ。


魔人にとってのそれこそが「振動」。

魔人は倒れる代わりに振動することで、全身に威力を分散し受け流すのだ。


それこそが、斬撃耐性の正体だ。


しかし今、地面に押し付けられることで

前ほどの細かい振動は叶わない。

震えようとする体を神剣がガシリと抑えこんで

震えることを許さない。


振動することがこの魔人の「斬撃耐性」の要。

威力を全て分散する守備の要だ。


その要は今や役目を果たしていない。


それに加えて、逃げ場もなく

地面からの反作用の力を受け続けているこの体勢…。


このまま神剣から地面に押し続けられたらどうなるか…?

そんなものは、決まってる……!!!



【ズゴン!】



そしてある瞬間に、音の質が変わる。


ガガガガガガガ、と

地面に魔人を食い止める音から、

ズゴンと地面に打ち付けるような音に質が変わったのだ。


地面に打ち付ける様なその音とともに、

神剣の暴れる音も魔人の声もスン…と止まる。

礼拝堂は打って変わって静まり返った。



【OK……This is your Justice……】



そんなセリフとともに、神剣は光輝くのをやめる。

……魔人の手足はもはやピクリとも動かなかった。


「…お、おぉ?」

唖然としながら俺はポツリと漏らす様に言葉を漏らす!


「た、たおした…?」

や、やったか…?


……ハッ!今のセリフ死亡フラグになるか!?

油断させておいて再び立ち上がりやしないか、ビクビクしながら魔人を観察する。


「……」


しかし、もはや魔人は動かない。


そしてようやく俺は、この長い戦いが終わったのだと確信したのである!!



「や、や、やややや……」


「やったーーーーーー!!!たおしたーーーー!!!」


勝った!?勝ったんだ!!

生き残ったんだ俺!やったーーーー!!!!


俺は勝利の喜び以上に、

生きて帰ってこれたことに安堵した!


……が、しかしそれもつかの間。



「やったーーーー………へごぉおどおぉぉ!?」



喜んでいたその直後、

魔人の放った魔法の光が遅れて俺に襲いかかり、

俺の周りを爆炎が立ち上ったのであった…。





ということで第1部完です。

続きについてですが、いつ書くかはちょっと未定です。


ブクマとかポイントが上がれば

一週間後に続きをしれっと書いてるかもしれませんが、

現段階ではわかりません!

タケシのその後が気になる方は是非ブクマやポイントくださいいいいいいい!!!

ポイントが上がれば、ここ数日のうちにでも書き出すと思うんですううううううううう!!!

(◉し◉ ←メンヘラ構ってちゃんの目線)


……とまぁ、たぶんそんなに伸びなさそうなので、

おそらくここで終わりになると思います!


なのでこの後の話をします!

わたしハッピー至上主義なので、タケシ君がここで死ぬことはあり得ないですね!絶対生きてると思います!!(ネタバレ)


✳︎


さて、話変わって

わたくしの最終回記念自己満足オナニー感想文章を!


今回初投稿でしたが、とても楽しく書くことができました!

このままこの小説が終わることになっても、

また近いうちに新しいものを書くので、そこでまた出会えたらな、と思っております……!!

小説家になろうは、働きながらの空き時間でかけるから楽しいですね!

トイレにこもりながらこの小説をちょくちょく書いちゃつくらいどハマりでしたね…!


小説漬けの数ヶ月でした!

自分の小説の最高の読者はいつだって自分自身なんだなぁ、

と痛感した数ヶ月ですわー!


タケシよ、とても楽しい時間をありがとう…!

それからこの小説趣味は死ぬまで細々と一生つづけていきたいですね……!!!


さて、構成もなにも考えてないあとがきですが、

唐突に宣伝です!アオノテ名義でイラストを描いているので、ご興味のある方は是非ぜひツイッターをご覧ください!(@akaiteto)


それではまたいつか!

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