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いや違うんです。本当にただの農民なんです  作者: あおのん
第4章 魔人討伐! 〜初心者編〜
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第50話 準備完了 #2

「さてと、それじゃあ早速。」

「はい!はじめましょうか!」


「いや、まだだ」

「ズコーッ」


え?サナちゃん貴女いくつの人?

身を乗り出してずっこけるサナに、俺は驚愕を隠せない。


あまりに古すぎるリアクションに突っ込むべきか突っ込まないべきか言葉に悩んだ。


「ズコーッ!ズコーッ!」


しかし、すぐにどうでもよくなる。

まぁ楽しそうだし別にいいや。

ズコーっとしながらサナが俺に問いかける。


「まだ何か他にやることがあるんですか?」


「いや、ないよ」


「えっ?」


「俺の方にはやることはない、って意味な。

……まぁ、とにかく待とうや。待てばわかるよ」


「……?はい、わかりました」



それから待ってる間、俺は1人黙考する。


(サナに頼んだ伝言が届いてるなら、

そろそろ来てもいいころなんだが…)


サナが魔法文字を書き換えるその直前、

俺はサナにとあるお願いをしていた。


そのお願いは至ってシンプル。

索敵魔法で見つかった唯一のその1人に、

念話で伝言を伝えるように頼んでいたのだ。


伝言の内容はこうである。

"礼拝堂まで来たらなんでもいいから合図を送れ。"


もしも伝言が伝わってるなら、

そろそろ何かの合図があるはずだ。


俺は今か今かと合図を待ち続けた。


・・・

・・


そしてそれから数分後。

待っていたものがようやくやってくる。



【コンコン】



壁をノックする音。

音に気づいて俺はステンドガラスから外を見下ろした。

しかし人の姿はだれも見えない。



【コン、ココンコン】



今度はリズミカルなノック音だ。

明らかに誰かが意図して鳴らしている。

相変わらず姿は見えないが、これは紛れもなく「合図」だろう。


見えないが、そこに"アイツ"がいると俺はすぐに確信した。


見えない空間に向かって、俺は話しかける。

「俺の声、聞こえてるか?」


【コンコン!】

返事をするように音がする。

よし。いけそうだな。


「念話の伝言が無事届いたみたいでなによりだ。」


【コン!】


姿が見えない。

大丈夫だとは思うが人違いだったらとても困る。

一応カマかけながら確認しておくか。


「一応確認するが、お前はオリビアだよな?」

【……】


「すまん間違えた。お前は俺の親友デビッドだな?」

【……】


「まさか、教会のシスターさんか!?」

【……】


「……よし。アリアだな?」

【コンコン!】


うむ。【コン!】人違いでは

【コン!】なさそうだ。【コン!】


この空気読まずに【コン!】

強引に主張してくる感じは【コン!】

あいつで間違いない。【コン!】


「コンコンうるせえから!!」

【コンココンコンコン!】


ァァァア…ぶん殴りたくなってくるゥ…。

この鬱陶しさはあいつにしか出せませんわぁ…。


懐かしさすら感じるイライラに拳を震わせる。

しかし今はそれどころじゃない。



俺は改めて外を見る。


音の大きさ的に、丁度ステンドガラスの下あたりにいるはずだが、

やはり何度見ても姿は見えない。


悪魔に気取られないようにしろと伝言で伝えたので、

姿が見えないのはその対策の一環なのかもしれないな。

どうやってるかは知らんけど。


「それじゃあさっそくだがアリア、きいてくれ」


今までの経緯や情報をかいつまんで説明する。

時間の話、結界の石、念話の盗聴。そのあたりの話をざっくりと。


そして俺は最後の指示をアリアに下す。


「戦闘になる。

俺の方でなんとかして隙を作るから、

あとはそのままお前の手でぶっ倒してくれ。

それまでは待機でよろしく頼む。」



【コン!!!】



一際大きな音で返事が返ってくる。

うむ。任せて大丈夫そうだな。


「さてと…。これで今できることは全部やったな。」


「いきますか?」


「おう、いくぞ」


サナを振り返り互いにうなづく。


「それじゃあ、悪魔退治といきますか。」



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