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いや違うんです。本当にただの農民なんです  作者: あおのん
第4章 魔人討伐! 〜初心者編〜
55/120

第49話 準備完了 #1

・・・

・・


そして十分後、無事古代文字の改変が終了する。


「完了しましたー!」


「おつかれさん」


サナは満足そうな顔でこちらに戻ってくる。

問題なく作業は進められたようだ。


「どうだった?黒い指輪の調子は」


「問題なく加筆修正ができました!

すごい道具です!びっくりです!」


俺に指輪を返しながら、サナはしきりに感心する。


「魔法文字って、一度書いて発動すると、

変更することはできないし、ずーっと動き続けるのが常識なんですよ。」


「だからこんな風に修正できたのはびっくりでした!

しかもいつも使ってたこの指輪にそんなことできたなんて…!驚愕です!!」


サナはペラペラと楽しそうに話した。


「そうか。楽しそうで何より」


「はい!」


「指輪ちゃんもよくやったぞぅ。よーしよし」


なんとなく指輪も褒めてみる。

指輪は嬉しそうにキラリと光ったのだった。



✳︎



さて、これで結界はもう使い物にならなくなった。

サナちゃん様様である。


(あとは"アイツ"がいつくるかだな…)


サナに伝言をお願いしてからそこそこ経つし、

そろそろ来るとおもうんだが…。


そんなことを考えていると、

横からツンツンとサナが声をかけてくる。


「ところでタケツ様。」


「ん?なんだ」


「私はこれからどうしたらいいですか?」


「えっ……というと?」

唐突に人生相談でも始める気?悩んでるの?


「これから、悪魔やタケツ様の止まっていた精神を動かすんですよね。」


「うん」


「その間、私も実体化したほうがいいんでしょうか」


……あー?


「あれ?そういえばサナって今どういう状態なんだ?」


今の俺には戻る体があるが、

サナってその辺りどうなってんの?


「平たく言えば幽霊ですね。戻れる体はないです。」


「幽霊ってあの幽霊?」


「あの幽霊です」


改めて今のサナを見てみる。

足元が消えてふわふわ浮いてる様はどう見てもテンプレ幽霊である。

まぁ、俺も今は同じような状態なわけだが。


「幽霊か…。

でもさっきの口ぶりだと、実体化することもできるんだろ?」


「はい出来ます。

色々制限はつくことになりますけどね。」


サナはつづける。


「でも実体化していいんですか?

実体化してタケツ様の隣にいたら、

悪魔の人達からすればいきなり子供が現れたように見えて

おかしなことになりませんか?」


……たしかにごもっともなご意見だ。

「それじゃあサナは幽体のままでいようか」


「了解です」


ふと、気になったので聞いてみる。


「……ちなみにその場合って、

サナと意思疎通できるものなのか?」


幽霊と生身の人間の意思疎通。

イタコとか霊媒師にしかできなさそうなもんだが…。


「念話を使えばできますよ。」


「本当に?」


「はい。実際さきほど、

頼まれてた伝言を"アリア"さんに念話で伝えましたからね」


おっ。あいつの名前も知ってる。

念話がうまく行った証拠だな。


「それなら問題ないな。

念話で会話するようにしよう。

さっそく準備を……」


『待った』


と、ととと……。今度は何だ?

突然頭の中に聞こえる声。この声は勇者の声か?

そういやお前いたなぁ。影薄くて忘れてたわ。


「そういやお前いたなぁ。影薄くて忘れてたわ」


『……君の心の声は聞こえてるから。

口に言わなくてもいいよ……』


不機嫌そうに返す勇者。


(そんで?なんかあんのか?)


『念話はしない方がいいと思う。盗聴される危険がある』


ほう。盗聴とな。


『あの悪魔…もとい、あの魔人はかなり魔法に長けてる。

念話なんてしたらあっという間に解読されるよ。』


ふむふむ。


『顔に沢山目が付いてたでしょ?

あいつはあの目のかず分だけ脳みそがいくつもあるんだよ』


なんとっ。


『目の数だけ、あいつは同時に魔法が扱える。

かなり魔法に特化した魔人だから気をつけて』


……やけに詳しいなおい。


感心しながら聞いてた俺だが、

ペラペラと流れ出る悪魔の情報に、

感心はやがて猜疑心へと変わり始める。


(お前やけに詳しいじゃねーか!

実は勇者は魔人サイトの刺客だったとか

そういう展開だけはマジでやめろよ?!)


『そんなことしないって…。

あいつとは生前に戦ったことがあるから知ってるだけだよ。』


そんなことを言う勇者。

途端に俺は矛先を納めて納得する。


……なるほど。たしかにそれなら違和感はない。


大昔に、魔王と戦ったというこいつの実績は正直バカにできない。

俺は勇者のアドバイスを素直に聞き入れることにした。


「と、いうことらしい。どうしたもんかな?」

「え?なんのことですが?」


あ、そうか。

サナには勇者の声聞こえねーのか。


勇者の言っていたことをさらりと伝える。


「盗聴…なるほど。

あそこまで緻密な魔法文字をかけるなら

それくらいのことはやってもおかしくないですね」


「どうしようか。」


「それならこうしましょうか。

私がタケツ様に読心魔法を使います。それなら問題はないはずです。


何か私にお願いがあったら頭の中で念じてください」


そういやサナは読心魔法使えるんだったな。

もはや随分昔のことですっかり忘れていた。


「よしそれでいこう」


つつがなく話は進んでいった。


✳︎


サナとの連絡手段は

サナの読心魔法を活用する方針で決まった。


こちらからしか意思が伝えられないのは

正直きついところだが、仕方がない。


ただ、一応念話のコネクションは前もって準備しておくことにした。

盗聴されてると分かってる状態なら、逆に利用できることもあるかもしれないしな。



さて、これでサナの件は完了。

あとは今さっき発生したタスクについてだ。


「おい勇者」

『なにかな』


「他にもあの悪魔のこと知ってんだろ?

なんでもいいから話してみてくれ」


『いいよ』

勇者はあっさり承諾してくれた。


『あいつの名前はディアルゴス。

僕が生きてた頃の時代からいた魔人だよ。


僕の時代、何百年も昔の時点で既に古株の1人に数えられてたから

今じゃ魔人の中でもかなりの古株になってるとおもう」


ほうほうほうほう!


『弱点はあのたくさんある目だね。

どれか一つに本体の目が隠れてる。そこをつければ倒せるとおもうよ』


おいおい!興味深い情報だなぁおい!


「いい情報持ってるじゃねえかテメエ!」


『テメエ呼ばわりすることはないだろキミ…』


てめえ呼びは大昔には敬称だったらしいぞ?

俺の尊敬心を汲み取ってくれやぁ、勇者様。


『君それ、貴様と混同して覚えてるからね。

てめえは昔も今も丁寧な呼び方ではないと思うよ』


「……。」


『あと、ついでに言うけど、

君ちょくちょく言葉間違って使うよね。


僕の時代はもっと言葉を大事にしていたものだよ。

言葉は不完全だからね。気持ちを正しく伝えられないことがある。

言葉は使い方によっては意図せずに誤解や不快感を与えかねないm』


長々とうるせえお前は俺の婆ちゃんか!!!

んなもんどっちでもいいんだよ!てめえはだまってろ!!!


『その言葉のどのあたりに尊敬心が含まれてるの…?』




……そんな勇者とのしょうもない会話はさておいて、

もう少し詳しい話を聞いてみる。


「とりあえず知ってること全部教えてくれ。

私生活とかの情報でもいいぞ。趣味とか休日何してるとかな。」


『それ聞いて役に立つのかい?』


「まぁ見てろや。ちょっとだけ役立たせるから」


・・・

・・


そして勇者とのちょっとした情報交換を終える。


「まぁ、こんなもんだな。よくやったぞポチ」

『ポチってだれのこと?』


ポチが不服そうな声を上げた。


「ほれ、もう用はないから下がってな。ステイステイ」

『ちょっ、まっ…うわあ』


それきり勇者は静かになる。

もしかしたら服従のスキルの影響が出てるのかもしれない。

不安を感じた俺は念のために保険をかけておく。



「あー、一応言っておく。

ステイとは言ったけど、なんかいい具合のアドバイスを

思いついたらさっきみたいに喋ってもいいからな」


『……うん。健闘を祈るよ…』



どこか疲れ切った様子の声。

この勇者には苦労がよく似合うなーと勝手に思ってる。

どんどん苦労をかけていきたい。


「さてと」


これで勇者の件はこれで片付いた。

待たせていたサナに振り返る。


「すまん。待たせたな」

「いえ、大丈夫です」


ふと思ったが、俺と勇者の会話って他の奴にはどう聞こえるんだろう?

ふらっとサナに聞いてみる。


「勇者と話してる間、サナにはどう見えてるの?」


「目をカッて開いてブツブツ呟いてましたね」


えっ、こわ…。

そうか、だから気づいたらこんなに目が乾いてるのか俺。


世界一どうでもいい発見をする俺であった。



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