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第4話 スキル授与式のその後 #2


「わたしのとこもね?日照り続きで大変なの!

二人と一緒ね!」ニコニコ


ニコニコと、何が楽しいのかわからないが

楽しそうにおしゃべりする金髪。


お嬢ちゃん普段人とお話しないの…?

お友達ちゃんといる…?

と言いたくなるくらいに、

それはもう楽しそうなニコニコ顔で、貴族様はお話に夢中のご様子であらせられた。



「へぇ」「はぁ」「ふーん」「ほー」

それを俺は適当に相槌を打ちながら、貴族様の話を受け流す。


このご時世、貴族様に下手に意見でもすれば、

人参のヘタを切るがごとく簡単にクビが飛ぶのだ。


農民の死活問題を笑顔で語るこの女を

感情に任せて顔面パンチするなんて真似、俺はしない。

俺も16歳、いい大人なのである。



「わたしが調べたところによるとね?

日照りが発生してる地域は綺麗に円状になってるみたいなの」


「へぇ、左様でございますか。」


「それでね?

その中心になにか日照りの原因になってる魔物がいると思うの!」


「へぇ、さすがでございます」


「うふふ!でしょ?」ニコニコ


あれ?そういえば、この女が出てきたってことは

もうスカウトした連中への説明会は終わったってことだよな?


「それからね?この前なんて…」


「あ、あのすみません。一つお聞きしたいことがあるのですが」


「?なにかしら?」


「教会の説明会ってもしかして終わったんですか?」


「説明会???」


「……スカウトされた方々に説明会か何か

開いてるのかなーと思っていたんですが」


「あーはいはい!

まだやってる最中だと思うわよ?」


ん?そうなの?

じゃあなんでスカウトされたお前がここにいんだよ。


「あのー…貴女様もスカウトされたものだと

ばかり思っていたのですが…」


「貴女様じゃなくてアリアでいいわ!

そうね。わたしもスカウトされたわね。"さっきまで"」


「さっきまで、と申しますと」


「ふふふ!だってスカウトを断ってきたんだもの!」


「エッ!!」

なんで???????


「なんで?って顔してるわね?ふふ」


そりゃそんな顔にもなるだろう!

国の仕事に就ければ将来安泰なんやぞ!?!?


「ちなみに言うと、打診された職業は第三位騎士だったわ!」


だ、第三位騎士!

本来なら一般兵士から地道にやっていくところを、

いきなり騎士として採用されるなんて話は聞いたことがない。

それほどに彼女のスキルは希少価値があり、優秀だということなのだろうか。


「な、なんでお断りになったんですか…?」


「わたしね…騎士なんかよりもずっとなりたい職業があるの」

「私はずっと……冒険者になりたかったのよ!」


「へ、へえ。」


「ふふ、貴族のわたしが冒険者になろうとする理由が気になる、って顔してるわね」


え?いやそれは別に…。


「実はわたしね、名前を変えて冒険者として

既に活動してるんだけれどね?


それには深い理由があって、話せば長くなるんだけれど…」


い、いかん!

貴族様がなんか遠い目をしだした!

これは話が長くなるやつだ!


なんだこの女めんどくせえ!と思っていたそんな矢先。

協会から救いの手が伸ばされる。


「すみませーん、お待たせしました。

外でお待ちの二人、中へどうぞー」


や、やった!にげられる!

「や、やった!にげられる!」


「え?逃げられる?」


やべえ声に出てた!


「いえ、アリア様。こちらの話でございます。

すみませんが、教会に用事があるのでこれで失礼します」


俺は貴族様の反応も待たずに

農民ガールの腕をひっぱり、

そそくさと逃げ込むように教会に入った。



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