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いや違うんです。本当にただの農民なんです  作者: あおのん
第3章 神界へようこそ!
37/120

第32話 謎スキルの真相 #1

2019/07/09 誤字修正


・・・・

・・・

・・


それから少しして、幼女は分厚い本を抱えてトテトテと戻ってくる。


『お待たせしました。

さっそく、女神様にコンタクトをとりますね』


先ほど敷いていた白地の布の前にしゃがみこむと、

マニュアルとやらを見ながら、円状の絵を書き始める。


直径50cmほどの円を書くと、その中にちまちまと絵やら文字を書き始めた。


幼女がクレヨンのようなものでぺたんと座って絵を描く様は、

恐ろしいほどに似合っているが、書いているものは

そんなイメージとは真逆に精密緻密そのものだった。


機械のように正確な線で描かれる幾何学模様に俺は思わず見入ってしまう。


「え?めちゃくちゃうまくね?」


『練習しましたから!』


自慢げである。


「えらいねぇ」

頭を撫でながら聞いてみる。

「ちなみに何書いてんの?これ」


『これは女神様と繋ぐための魔法陣でございますね』


魔法陣?

知らない単語だった。


「これも魔法の一種なのか…?」


『そうです。ご存知ないですか?』


「知らねーよ。喋って使う魔法しか知らんわ」


『あぁ。そういえばタケツ様が転生した時代では

魔導師は魔法陣を使わないのでしたね。

でも確かあの時代は魔法文字ならあるんじゃありませんか?』


「魔法文字……?」

聞いたことのない言葉だが、思い当たるものがひとつある。

「もしかしてこんなんか?」


俺は女から書くものを借りてささっと

教会で見た古代文字を書いてみせる。


『あぁ、それですそれです!

すごいですねタケツ様!よくこんな複雑なもの覚えられますね!』


「記憶力はいいほうだからな。」


なんとはなしに二つを見比べる。


「……魔法文字とお前が書いてる魔法陣を比べるとだいぶ文字の量が違うな」


基本的な文字の形は同じに見えるが、

古代文字…もとい魔法文字の方が文量が圧倒的に多く見える。


『魔法陣は魔法文字をさらにグレードアップさせたものですからねー。

簡単に魔法が使えるよう改良されてるんです。


魔法文字はよくできた魔術体系ですが、複雑すぎるのが難点でしたから。』



ほーん…。よくわからんが便利そうだ。


マニュアルをじっと覗き込む。

魔法陣は戦闘中にかけるほどシンプルなものではないが、

古代文字よりは描きやすそうだし、覚えやすそうな図柄だった。


書くことで発動する魔法には個人的にかなり興味がある。

喋る必要がない魔法なら、オリビアにも使えるんじゃないだろうか?


もう少しくわしく知りたい。

女がせっせと魔法陣を書いてるが、お構いなく質問を続ける。



「この魔法陣ってどこに行けば見れるんだ?

古代文字…もとい、魔法文字は教会の壁にあったから、

もしかして魔法陣もどこかの古い建物にあったりするのか?」


『?いいえ?

魔法陣が作られるのは、タケツ様の時代の数百年後なので

どこにもないと思いますよ?』


キョトンとした顔で平然と返す女。


「はぁ?」


数百年後??

こいつ何言ってんだ?


『さ、できました!それでは女神様をお呼びします!

ささ、頭を下げて頭を下げて。』



さっきの発言をくわしくききたかったが、

むりやりに頭を下げさせられ、跪かされる。



『準備が整いましたので

女神様をお呼びしたいと思います。』


そして儀式は始まった。



✳︎



『それじゃあお繋ぎしますね』


そういうと、幼女は魔法陣を描いた布に手を触れる。

その瞬間に布に書かれた文字が青く光りはじめたのだ!


『あー、あー。マイクテス、マイクテス。

こちらの声聞こえますでしょうかー』


【感度良好です。ありがとうサナ。

もう下がって良いですよ】


声が聞こえた。

てっきり、女神様自身が出てくると思っていたが

ボイスオンリーのようである。


【タケツ様、タケツ様きこえますか?

お久しぶりです。エルピシアでございます。

その後ご息災でしたか?】


えっ。"久しぶり"っていった!?

お前ら会ったことあるのか!?


【タケツ様?タケツ様?】


……。


「ごほごほ…あまり息災とは言えませんね。

急性血管爆発病にかかって声がしゃがれてしまっております。ごほごほ…」


【まぁ大変!サナ!タケツ様の治療を…!】


「いやいや!そんなことよりも!

そんなことよりも女神様!いまは一刻も争う状況です!

どうか女神様のお話を聞かせてください!!」



【そ、そうですか?でも】


「治りかけてますから!もう大丈夫ですからほんと!それよりも話を!!」


【わ、わかりました。

まぁそれだけ元気なら大丈夫ですね。】





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