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いや違うんです。本当にただの農民なんです  作者: あおのん
第3章 神界へようこそ!
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第29話 チート能力には目覚めない #2



『コール : ログイン サナ・アルカナ』


「あん?」


どこからともなく聞こえる謎の声。

しかし辺りを見渡せど、声の主はどこにも見当たらなかった。


『こんにちはー!』


「…あん?」


よくよく聞けばその声、普通の声ではないことに気がついた。

念話のように脳内に直接語りかけているようだった。


さっきからあん?あん?言って困惑する俺は、

側から聞いてたらひとりで喘ぐやばい奴である。


口を噤んで辺りを見回していたそんな時、

ふいにグイと服の裾が引っ張られる!



『こっちですってば!』


「?!ふぎゃぁぁぁあああ!!」



そして俺はようやく『声の主』の場所に気がつかされる!

なんとそいつは俺の正面、すぐ真下に立っていたのだ!



『え、えぇ?そんな叫ばなくてもいいじゃないですか…』



圧倒的な低身長。この低い身長でこれだけ近づかれれば

死角になるであろうその場所に、一人の女の子が立っていたのだ!


その身長は、首を下に向けないと見えないくらいに小さい。6歳児の平均以下の身長である。


(こ、こどもか……?!)


身長は俺の腰の高さよりも低いくらい。

地面に届くほどに黒い髪に、目元を隠す長い前髪。



(い、いや!こんな話はどうでもいい!そんなことよりも!)



そいつの存在を認めてからずっと、

俺の視点はある一箇所に釘付けになっていた。

離したくても離せない。その幼女の足元は……


(う、う、うっすら透けてるじゃねえかぁぁぁぁぁぁ………!?!?)


そう、薄っすらと透けているのだ!

爪先までいくと、もはやそのちいちゃいアンヨが消えて無くなっている!?


(が、が、がちもんの幽霊さんやんけええええええ!?!?!

ええええ!?やっぱここ死後の世界なのか!?)


黒髪ロングで目元を隠した白い死装束の幼女。

全身で「わたし幽霊です!」と説明している幼女の出現!


こ、ここって死後の世界!?

つーかやっぱ俺ってすでにしんでるのか?!



『あ、あの……?』



ハッ…!や、やべえ怖がってる場合じゃねえ!

先輩幽霊さまが俺の不遜な態度にお怒りであらせられる!?

とりあえず、謝らないと!謝らないと祟られる!!


俺は先輩幽霊に即座に即土下座をかます!

頭を地面に擦り付けて無様に泣き叫ぶ!


「お、お、おゆるしくだせぇぇ!お許しくだせぇぇぇぇ!!」



『な、なにがなにやら…えーっと……』



・・・・・

・・・・

・・・

・・



『えーっと、まずここは死後の世界じゃありません』


突然目の前に現れた黒髪ロングの幼女が舌ったらずにそう語る。


『死後の世界ではないですが、生前の世界でもありません。

ここは…なんといいましょうか、中間のような場所とでも言うんでしょうかね?』


いや疑問形で聞かれても……。


脈絡もなく現れたロリチビは、訳のわからんことをペラペラと説明している。


少しずつ落ち着きを取り戻した俺は、とりあえず思ったことをそのまま言った


「何言ってるかまったくわかんねえよ。

そもそもあんた誰なの?」


改めて幼女を見下ろす。

俺の腰に届くか届かないかくらいの低身長。


全身真っ白い衣装に目を隠すほどの黒い長い髪。

足元は相変わらず透けている。


白と黒にはっきり分かれたモノクロコントラスト。

幽霊にしか見えないビジュアルである。



『私は転生神エルピシア様の使いの者です。

タケツ様を迎えにきたのです』


タケ『ツ』?

タケツって言ったか?


『転生神エルピシア様のご指示で、

タケツ様をお救いに参りました次第でございます。』


……タケツねぇ。

こうべを垂れて、粛々と語る黒髪女を改めてじっと見る。

首をコクンと傾げてこちらを見返す幼女。


(……わからん。こいつが何を言ってるか全くわからん。)


テンセイシンってなんだ?

エルピシアってだれのこと??

つーかタケツってだれやねん??


ぶっちゃけ言ってることが何一つわからなかった。


「えーっと……テンセイシンってそもそもなによ」


『数多いる神の一柱でございます。』


「神様ねえ…。

んであんたはそいつの使いだって言いたいのか?」


『左様でございます。』


……何かのあやしい新興宗教かな?

そんな神さま聞いたことがない。

エルピシアとかいうのは、こいつらの信仰する神さまといったところか。


女子供にこの手の勧誘させるのは常套手段。

怪しい宗教団体であることは間違いないだろう。


(胡散臭さ半端ねえな)


ということは、この透ける足も何かの小細工か何かだろうか?

冷静さを取り戻すと同時に、心の距離が離れていくのを感じる。

はやくここから抜け出したい衝動に駆られた。



『……その目はもしや信じておいででないですね?』



信じてます信じてます(棒)

幼女はプリプリと怒ったような顔を見せる。


『では、神の力の一端をお見せしましょう!』


そういうと、幼女は俺に小さい手をパッと向けてくる。



うわぁ…なんかはじまった…。

めんどくさそうなのに絡まれたなぁ。

田舎にもこういう奴いたよ。手をかざして、「私の手からオーラを感じませんか?」って言ってくる奴。めんどくさぁ…



『うわぁ…なんかはじまった…。

めんどくさそうなのに絡まれたなぁ。

田舎にもこういう奴いたよ。手をかざして、「私の手からオーラを感じませんか?」って言ってくる奴。めんどくさぁ…』


……え?


『……タケツ様、なかなか酷いこと考えてますね』


!?こ、こいつ俺の考えてることをそのまま言ったのか?!いま!


「ま、まさか心を読んだのか…?」


『左様でございます。

……あ、今のはデモンストレーションなので、もう心は読まないので安心してくださいね』


にこりと笑う幼女。

そして再び同じセリフを繰り返す。


『転生神エルピシア様のご指示で、

タケツ様をお救いに参りました次第でございます。私は神の巫女でございます。』


エルピなんとかの話は置いておいて、

こ、こいつがすごい力を持っているというのは、まぎれもない事実のようだ。


『我々のこと、信用していただけましたか?』


しかしそれでも怪しいことに変わりはない。

心を読むなら、念話を繋ぐ時にアリアも似たようなことやってたしな。


俺は半信半疑な面持ちで幼女を見下ろす。

ついでに頭も撫でてみる。

な、なんて撫でやすい位置に頭があるんだ!


『疑り深いですねタケツ様……。』


なでなで。

されるがままに撫でられ、困った顔をする幼女。


「逆に聞くが、急に神サマガー神サマガーって言う奴を信用できるか?お前」


『そうですか…ではこれならどうでしょう?』


一つため息をつくと、幼女は語り出す。


『私はあなたのスキルの正体を知っています』


「むっ?」


『知りたくないですか?

謎のスキル"わからん"の正体について』



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