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第12話 魔族強襲 #3

ついにせんとう!?

「ねぇ、今更だけどタケシって戦えるんだっけ?」


「全く戦えない。

だから俺を守りながら戦ってくれ!」


我ながら情けないこと言ってるなーと思う。

しかし時代は男尊女卑から女尊男卑。

守られる姫様から、守る姫の時代なのだ。


「うんわかった。じゃあ見ててね!」


アリアはむしろ気合が入ったように

やる気気力ともに充実した様子である。


……ついこの前、

『悔しいいいいいい!!』

『守られるだけじゃないとこ見せてやる!!』

と宣った奴が完璧に守られっぱなしである。


だがこれは違うのだ。話を聞いてほしい。

あえてこうすることで、アリアの士気をあげているのだ。


(実際アリアはやる気満々だし?

むしろ正解?みたいな?)


情けない自分を全力で正当化しながら、

ようやく俺たちはステンドガラスの下に到着する。



敵の位置は今立っている場所の真上、ステンドガラスの踊り場だ。

頭のすぐ上には敵が潜んでいる。

俺たちはそっと息をひそめるようにしゃがみ込んだ。


それからそっと敵の様子を確認すると

なにやら会話が聞こえてきた。


(……?なんか敵の連中揉めてないか?)

(……)コクコク


キレ気味な声が時折聞こえてくる。

なんだろう?


(アリア。俺たちは観察するから、お前は周囲の警戒よろしく)

(了解!)


それじゃあ敵さんの声を聞かせてもらおうか。

俺とオリビアはそっと耳をすませる。


『キギィギィ!』

『ギギギィギギギ!』


……不快な声が聞こえてきた。それは声というよりはもはや音。

イスを引きずるような甲高い摩擦音が聞こえてくる。


『ギギギィギギギ!』


『ええぃ!この馬鹿者が!

礼拝堂での戦闘はあれほど避けろといったであろうが!』


!この声はあきらかに人間の声だ!

人間の声と不気味な甲高い音が聞こえてくる!

というか敵は二人?!一人じゃなかったのかよ!


『ギィギィ!ギギィ!』


『なにィ…?厄介そうなものがいたから排除しようとしただと!?

だとしてもまず私に相談するのが筋だろう!

この愚か者が!!』


『ギギィ…』


『もうよい!余計なことはするな!

こうなってはもう手遅れだ。

作戦を変更して、礼拝堂を戦場とする!

お前は黙って指示されたことだけをやれ!』


『ギィ……』


『これだから劣等悪魔は…。』



人間の声と、不快な声を出す何かは

上司と部下の関係のようだった。


それから人間の声の方が何か呪文のようなものをつぶやき始める。


『それでは作戦を決行する…。お前たち心してかかれ!』

『ギギィギギィ!』

『△◽︎○×※ー⊇$……』


(はぁ?な、何語だぁ?これ)


人間の声帯ではおおよそ出しようが無い声が耳に入ってくる。

声を早送りしているかのような、そんな音だった。


(タケシ!やばいわ!)

(あん?どうした)


アリアが俺の袖をグイッと引っ張る。


(なんか突然…敵の気配が一気に増えた!!)

(なっ…!位置と数は?!)


(と、とにかくたくさん…二桁は超えてるわね。

あと場所は煙の中よ!煙の効果なのかしら?

どこに何がいるかまでは全くわからない)


はぁ?!二桁ァ!?ど、どこから湧いてきた?!

え、つーかそんなことありえる?

そんな大軍が近づいてるの全く気づかなかったんだがッ!?


(たぶん召喚魔法で召喚したんだと思うわ。

敵に魔族がいる証拠ね!)


(よ、世の中にはそんな魔法があるのかよ……?!

ズルじゃねーかそんなの!)


(うん、私もそう思う!)


ふ、二桁はやばい…し、しかも魔法ということは

これからも続々増えるかもしれないということだ。


タイミング的に考えて、

いま詠唱してる奴が召喚魔法とかいうのを

やったとしか思えない。

は、はやくあの詠唱を止めなければ…!


(アリア!敵が上に2人いる!

おそらくその1人が敵を召喚してるっぽい!

上に登って不意打ちで強襲できるか?)


(了解。切り込むわ!)


言うが早いか、アリアは上にある

ステンドガラスの踊り場めがけてグッと力を込めてしゃがみこむ!


え?ジャンプで行く気なの?

(……ここからジャンプして行く気か?)

あの、数メートルはあるんですけど。


(?そうだけど。それがどうかしたの?)


この高さをジャンプできるってか…。

に、人間離れしてやがる。


(じゃ、行ってくるね!)

……と、そうだ。これも伝えとかないと。


(あ、ちょっと待ってくれ!ジャンプする前に1つだけ。

たぶん呪文を唱えてるやつは相当強いぞ!

無理だと思ったらすぐに引いてくれ!)


(っ!了解よ!)


アリアもあの若い神官も敵は「1人」だと言っていた。

しかし実際には「2人」いた。


つまりは、その1人はアリアと神官に気づかれないほど

身を隠せる力をもっている、ということだ。

実力者と考えるのが妥当だろう。


(……そうなるといきなりジャンプは危険かもね)


アリアは脚の力を緩めると、

懐から小さなダガーを3本取り出した。


(じゃあ行ってくる!)

(うむ。頼んだ!)





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