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VALENZ TAXI  作者: 孤独
転職編
97/100

カップルに割引があるのは、社会がそうなってくれないと困るから


「分かりました。仲介役は私とトーコ様が引き受けましょう」

「あ、ありがとう!アッシ社長!サイコーの社長だよ!」

「……私以外、適任がいないのでしょう?友達、そこまで多くないようですし」

「痛いとこ言うな。おい。0じゃねぇぞ」


ちょっと前。金曜日ぐらいのこと。

日野っちに頼まれて、美癒ぴーの家族の仲介役をする事になったアッシ社長。しかし、当然であるが善意だけでやっているわけじゃない。

条件付き。


「その代わりですが、家選びは私の知り合いのところでしてくれませんか?」

「な、なんだよ。その条件……」

「別に私に得はないですが。近々、ここに訪れる可能性があるので、それ防止で」

「?」

「今泉ゲーム会社と同じです。行ってみれば分かります。彼女に会えば分かると思います。ちゃんとした不動産会社ですから、その辺は大丈夫でしょう」



◇       ◇



そーいう条件の下、今。


「ここがアッシ社長が言っていた、不動産?」

「みたいだな。住所も店名も一緒だ」


私服姿の、日野っちと美癒ぴーは。伝えられた不動産に訪れていた。とっても白くて、綺麗なお店であるが。周りはくたびれた印象ばかりの建物が並ぶ、商店街的なところにある一つの不動産。


「まず、地元じゃないんですけど……」

「……大丈夫だろう。アッシ社長の知り合いなら、そーいう不思議なところだって覚悟しようぜ」

「うーん、私達の関係は不思議であって欲しくないんだけど」


手動ドアを開いて、2人は入る。随分と綺麗な、建ったばかりのお店のような雰囲気。


「すいませーん」

「あのー」


中に誰かがいると思ったが、……返事がない。なぜ、鍵をしていない。


「いないのか?」

「うーん、なんだろうね」


店の名は、"星占ほしうらない不動産"。外装は綺麗な空のように、青と白。窓から差し込む光は温かく。穏やかな生活を



ピィィンッ



「ん?」

「なに?」



コインが落ちるような音を感じ取った2人。耳に伝わったという感覚ではなく、肌から震動を拾ったという奇妙な感触。異音ではなく、異常であることはすぐに感じる。ヤバイ、慣れすぎていると2人は共通して感じた。

音を拾った時点で、日野っちも美癒ぴーもこっち側だ。この感覚に似た事を思い出したのは、"旱魃レ・ジーガ"の空間に入った時だ。あれと似ていたとあり、周囲を見渡した。

景色は変わっていないと思う。この建物の中に異変は見当たらない。


「なんだろ……嫌なことが……」

「なんだか……俺はよく知っちまったもんが」


ヤバイって分かる。なんだか、熱くなってくる。体から意味も分からず、汗が吹き出る。日の光がより輝いていく。

これもとっても怖い思いして実感した、陽の怖さ。熱さ。


「暑いんですけど!」

「!て、天井や壁が……熔け始めてるぞ!」


とてつもない熱量がすぐ近く。もっと言えば、空の上で発生している。それに気付いた時の恐怖というのは、知らなかった方が良かったと思いたくなるほど。暑くて、汗を流し、服と肌を焦がしていく熱は



「うわあぁっ」

「いやーーー!」


抱き合っている熱よりも燃える火球。

突如として、現れた炎という塊がここの全てを焼き尽くした。日野っちも、美癒ぴーも、そして、全てを。




◇      ◇



「いらっしゃいませ」

「ふあぁっ!?」

「あっ!?」


日野っちと美癒ぴーが意識を取り戻すと、建物とはまったくかけ離れたところに立っていた。一瞬に並んで、なんか知らないけど、そこに立っていた。

呆気に取られる間、2人の先に座る女性。


「再開祝いには、丁度良いお客様ね」


ゴージャスな椅子に足を組んで座る綺麗な女性。ドレスが様になっているお方。超大富豪の娘さんのような印象。


「………は……」

「え……」


その女性。ラスト・ララチェールの姿に見惚れたというわけではない。日野っちも美癒ぴーも、彼女よりも先に周囲を見てしまう。建物ではないのだが、下は絨毯だ。ちょっとくらい藍色の背景に白と黄の光を放つ物体。遠近感が狂ってしまうほど、眩いモノ。


「どこだ。ここ」

「えーっと、私達は確か。お店に入ったような」


頭を抱え、唯一。しょうがなく。事情が分かっていて、その発端者であろう。目の前の女性に尋ねる。


「どこですか、ここ……」

「さっき感じたあれは炎じゃなかったし、この色と良い。光のそれといい……まさか」


異空間とかそんなところであれば落ち着けるだろう。二度目だし。しかし、彼女はストレートに伝える。


「ここは宇宙空間ですわよ。驚き過ぎだわ」

「ぶふーーーっ」

「えええぇぇっ」



いくらなんでも、宇宙にまで来てしまうのはやり過ぎだろう。おい……。タクシーでもロケットでも来れないぞ。状況の把握がいつになく早い2人は、驚き少なく、受け入れの表情に変わっていく。それに気付くつもりはなく、ララチェールは話を進める。


「"星占"不動産へようこそ。ここが正式なる本店。地球上のお店は単なる転送装置よ」

「軽く転送装置と言われて納得しろと……」

「アッシの奴がガキの頃、造ったものですわ」

「アッシ社長のこと……ですか?」

「フルメガン・ギヴァンね。あと、正確には造らせたと言ったとこかしら」


ララチェールはリモコンを手に取り、操作しだすと。テーブルに書類、ペン、さらにはコーヒーにお菓子まで一瞬で目の前に現れる。

メチャクチャな人であると分かるが、その次元がアッシ社長とはまったく違う。そして、本名までも口にする。美癒ぴーも日野っちも、ララチェールが見に覚えのある指輪をしている事で気付く。


「それ、私の家事スキルが"実用化"される指輪じゃ」

「!ああ。あなたの特技が入っているのね。それはそれは、お礼も兼ねたいところね」

「な、何者なんだよ。あんた」

「ガキのくせに失礼ですわね」

「俺!20は超えてる大人!身長が低いだけ!」

「あら?私から見たらガキよ。私、そんな時代覚えてないくらい年齢積み重ねてるの」



それ、ばばあってこと……?


恐ろしいので2人共、黙って思う事だけにする。見た目は妖艶な綺麗さから30前半に思える。


「私の名はラスト・ララチェール。地球では不動産経営をしている者ですわ。アッシとはあいつが子供の頃から付き合いね」

「先生とか?」

「利用価値があるから」


なんとも濃い人だなぁ。それがよく分かる回答だ。


「アッシの"実用化"は便利ね。例えば、この指輪があれば美味しい料理作れるし、このリモコンあれば、超高速でやりたい行動を済ませる事もできる(決められた行動に限るが)。座り心地も調整してくれる椅子まであるし」

「……ララチェールさんもアッシ社長と同じ感じか。一つ訊いていいか?」

「なに?」

「俺達は、死んでないんだよな!?つーか、地球に戻れるんだよな!?宇宙空間って言われて、納得できる360度の光景なんだが!」


そーいう心配は当然である。不動産じゃなくて、お墓でも紹介されそうな雰囲気でもあった。


「絨毯から落ちると死ぬわ。宇宙に放り出されて」

「へ?……マジですか……」

「ちゃんと私と契約したら、地球に返してあげるわ」

「一番怖い契約をされている気分だ」

「その辺は手を抜かないわ。お住まいを探しに来たのでしょう?ともかく、椅子に座って。色んな物件を見なさい」



ララチェールに言われて、日野っちと美癒ぴーは目を合わせてから、椅子に座って置かれた物件の資料を見始めた。

もしかして、不思議な力で希望とする住まいを……



『メタン凝縮の星、契約年数100億年。資源を必要としているのならぜひ、この星とのご契約を』

『高級環境かつ無生物の星、契約年数50億年。静かに暮らしたい人、一から星の管理に携わりたい者はこの星件は外せない!!』



「…………」



『広大な自然を自ら作りたい。超弩級の生物拒否の星を開拓したい者よ、アーライアの星をぜひ体験管理をしてみませんか!?注意、1日体験契約をした上での管理契約が必要です』

『新種生物がいるかもしれない!?そんな星を歩いてみませんか!未開拓の星、旅行もあります』



「…………」


資料の一つ一つが物件と記されているのではなく、星件と記されている。


「あ、間違えた。宇宙資料と宇宙企画を出してしまったわ」

「な、なんなんですかこれーー!?」

「星の色々の資料ってなんだよ!?」

「私、不動産じゃなくて、星の管理をしている者なので」


ラスト・ララチェール。

正しい職業は、様々な星の売買をしている女性。星そのものを貸し出したり、様々な星を周る旅行企画なども立ち上げている。


「問題はあまりに高額であり、あまりにも過酷なため、ご利用者が未だに1人もいないのよね」

「土星や木星を勝手に自分の物にしてる!売り物扱いしてる!」

「発見した奴の所有物ではないわ。人間の分際で語るとは不当だわ」


"星占"不動産の、名の理由は星占いなんて優しい言葉ではなく。


「要らなくなった星も買い取る事業もやっていますので、その時はぜひご利用を」

「"星占"不動産って意味は、"星売らない"だったんですね!!」


この事業を人間が携わるのに、あと何億年が掛かるだろうか?そもそも、人間ができる頃なんて来るのだろうか?膨大な量の星の数々を管理、操作をするララチェールの異質ぶり。


「アッシの奴に星の一つでも管理させようと思ったのよね。お客で良しとしますか」

「……………」


それを察知して俺達をこの人にぶつけたのか。とんでもねぇ人だ。恐らく、彼女はダーリヤ並の危険人物。


「あいつ、私の能力を"実用化"してタクシーのエンジン造ったのよね。そろそろ借りを返してもらおうと思ってたの。あれないと、色んな魔法が使えないのよね~」

「……………」


うわぁ、客にしたくないタイプの人間。こーいう人って自分勝手なんだよね。自分が人以上にできる人なんだからしょうがないんだけど。(たまにできない人の中にもいるけど)


そう思うことであるが、ララチェールの貢献は多大なものである。

"実用化"は本人の力量によって、その出力が決まってしまう能力。マジメちゃんのように、条件付けで能力を向上させることもできるのだが、燃料とは言えない。彼女の場合は、燃料消費や効率を良くするものだ。


ララチェールが"実用化"に協力したのは、根本。


車で言えば、動力となるガソリン。電車で言えば、電力といった。完全かつ膨大な基礎の提供。




「大きな声では言えませんが、タクシーの中には小さくて強大な力を発する星があるんです。日野っちが車を爆破した時、町が吹っ飛ぶ事もあり得たんですよね。核にヒビがなくて助かりました」



なんかサラッと怖いことが聞こえてくるんですが。


「内臓された星は強大な魔力と電力を蓄え、放出します。ガソリンをみなもととした星であるため、通常の給油で『VALENZ TAXI』の運営ができております」


つまり、ララチェールが存在しなければ、『VALENZ TAXI』は誕生していなかったのであった。


「ともかく、物件ね。土地ね。お住まいを探しているのね」


ララチェールは面倒そうにリモコンをまた操作し始める。

アッシ社長が作ったリモコン、"リモートONEアクション"は、決められた動作を瞬時に自動で行なう代物。どれくらい早いかは使用者の力量を問われる。


「あ、設定してないわ。面倒ねぇー」


面倒そうに立ち上がって、戸棚を開く。大量のクリアファイルっぽい本から探すのだが



「えーっと、地球地球……」

「そこから始まるの!?」

「1年以上も掛かる気がするんですけど!」



最近はネット社会故。検索しながら家を調べることが多いです。ララチェールはかなり基礎に優れた人物ではありますが、割りとアナログ派であります。

絶対的な基礎故、応用に優れるアッシ社長とのコンビはマジメちゃんとは違って、絶大なコンビネーションを持ちます。ララチェールがアッシ社長の"実用化"を使用するという限り。


「国はどこかしら?」

「日本です。ネット検索とかできないんですか?」

「宇宙にネット環境なんてあるわけないじゃない。もし、星を買いたい人や管理したい、旅行してみたい人がこちらを訪れたらどうするの?私しかいないのよ」



その事業の需要はどこにあるんですかね。人があなたを見つけるのに何千年とかかることやら……。



「日本はー47都道府県とかいう、あれね。どこかしら?」

「すっごく検索するの遅いんですけど!」

「!仕方ないでしょ!宇宙の全てを管理しているような者から、家を紹介されるということ!光栄に思いなさい!」


絶対この人、客商売がダメだ。やっている事もそうであるが、そもそもこの人が社会的な適応力がない。向いてそうなのは研究者とかか……。

圧倒的に強すぎる故の孤高もあろう。彼女の通過点ではあった。


「あ、お住まいはやっぱり電気、水道、ガスが流れている環境が宜しいでしょうね」

「大事なライフラインがない日本の物件捜す方が大変だわ!」

「不動産行ったのに、ホームレスをやれって言われた気分なんですけど!」



ツッコミもしながら、いくつもの本を開いては、また本を出す作業。



「便利でしょ、この"ツリーBOOKS"」


"ツリーBOOKS"

本の中に本を閉じ込める事ができる能力。アッシ社長が開発した道具の一つ。


「便利だと思いますが、ネット検索の方が圧倒的に早いですよ!」


あの本があれば、エロ本なりAVなり、黒歴史なども収納し放題か。"収納液"とは違って、普段の日常の中にコッソリと紛れ込ませることもできる。


「なんか変な事考えてない!?日野っち!!」

「い、いや。別に……」


とりあえず、2人の地元周辺の物件の一覧がでてきた。

ララチェールはその一覧をテーブルに置く前に、なにかの国旗のようなものをテーブルに広げてから資料を置いた。


「ご希望のお住まいがあれば、このホワイトボードに書いて」



"板の上に魚(シーホワイト・エリア&エリア)"

旗とホワイトボードの複合型の能力。

旗の上に置かれたいくつかの代物を、ホワイトボードに記された物に書かれた希望に沿って、旗の上にある物を選択する。選択から外れた物は旗の外へ流れる。


「これは巨大倉庫で使う物らしいけど」


超巨大な倉庫で扱えば、色々な品物の整理と取り出しをするのにとても便利である。

不動産の土地検索に使う道具にはまったく適していないが……。


「ご希望の住まいはなに?書いていけば、その中の資料が残っていくわ」

「希望か」

「やっぱり2人で住むわけだし、今はまだ仮でも広くて……調理場がしっかりとしてると嬉しいね」

「美癒ぴーは料理が好きだもんな。二人暮らしなら2LDKはないと」



新生活をスタートする方。1人暮らしをしてみようと思う方。お部屋選びはしっかりとしていますか?

生活をするために仕事をするのは当然ですし、家族や友達といった人間関係も必要になります。そして、それと並ぶ存在が自分の家でしょう。

近頃はネット社会故に、不動産に行かなくても家を探せる時代です。作者も新居を探した時、不動産会社に行ったのですが、不動産専用のネットサイトだと思いますが、そんなので現在の家を紹介されました。便利ですね。



「2LDKですか」

「駐車場があるとこ。買い物したり、アッシ社長達に運んでもらったりする時、便利だよね」

「全部の要求を通すと値が張るんだよなぁ。ま、車も買う予定だから、交通機関から遠くても大丈夫だな」

「オートロックマンション!宅配BOX付き!日当たり良好!広いバスルームと洗濯機置き場!静かなところで、それでいて3階以上!2階1階は泥棒が怖いし!」



ノリノリで家探し!というより、ありったけの希望を伝える美癒ぴー。一方、何度も家を代えている日野っちがブレーキをかけて、値段と物件を絞っていく。

希望ばかり唱えても、結局は消えていく希望が家探しにはあります。人よりは感情がない分、いくらかマシなのであるが。

同棲生活とはいえ、いつも一緒というわけではありません。言葉を汚くしてしまいますが、家は2人の帰る場所にあたり、別々に仕事や事情があって、生活習慣が違うことになるでしょう。リア厨爆ぜろばりの辛辣な願いに、喧嘩することもあるもんです。幸せだなコノヤローって、花束渡したいくらいの、新たな命の誕生だってあります。


その場のノリだけではなく、良い未来、ちょっと悪い未来も考えて、家くらいは選びたいものです。


「2LDKは最低かつ必須条件だな」

「当然だけど、拘るね」

「事故物件もあるしな。そんなのに当たらないけどよ」

「お家賃はどのくらいかしら?」

「共働きになるかな?」

「!ちょっと、日野っち!あくまで仮だよ!」

「分かってる分かってる。だけど、それはもっと、家族増えてからとか……一緒に探そう」

「!……はずっ。まだ私、学生だから!もうちょっと待ってよ!それはさ……」

「ともかく、家賃はそれなりでも大丈夫だ。15万ぐらいはいけるつもりだ。仮だとしても大事な家だし、良い家を選びたい!」



住む家の間取りや建物、こだわり条件によって、家賃のお値段は当然違います。

特に住む場所によって相場が大分違います。結構、日野っち。羽振りが良いですね。家賃15万って相当なものです。



「家は超重要だぞ!金と情報を怠ったら、人生に影が入ると思って選ぶんだぞ!!」

「家選びで何かがあったんだね!」



個人的な事になりますが、1人暮らしをしてとっても分かった事ですが。


トイレが超重要です!(あくまで個人の意見です)


自炊するしないに関わらず、トイレの調子が悪かったり、汚れたりすると気分がかなりダウンします。公園の汚いトイレや会社内の紙が切れた個室トイレに入って感じるウンザリする気分。それを帰る場所である家で味わいたくないですね。特にトイレがぶっ壊れた時の衝撃ときたら、……。

自分の家です。好きに飯食べて、好きに風呂に入り、好きに創作して、好きに遊んで、好きにトイレをする。好きに自慰行為をする。

だからこそ、在り来たりの一つ一つがとても大変に嬉しく感じるものです。



「ふーん、大分絞れて来たわね」

「あるのか!?」

「いえ、さすがに全ての希望が揃うところはないわね。希望に適した数、7個以上で検索中」



今回は賃貸マンションを借りるのですが、公共のマンションだったり、一軒家だったりと、家にも色々あります。1人暮らしや同棲、実家を離れるとかでしたら、簡単な賃貸アパートやマンション。あるいはシェアハウスという選択もあるでしょう。

ローンで家やマンションの一室を買ったりとか、そこらへん色々と契約が様々あるそうです。

素敵な相方や友達と出会い、家を買うというのを人生の目標とする。在り来たりですが、そーいうご家庭を理想とする人はなんだか素敵ですね。人らしくて羨ましくもあります。仕事をするという目的、お金を稼いで生活しようという根本的な生きるを実行していて。




「ざっと、これくらいですか」

「11件ですか」

「ちょっと県の外もあるじゃないか」

「嫌ですか?」

「……そうでもないけど。遠すぎやしないか?通勤も考えてくれ」



さすがに車があるとはいえ、遠すぎるのは些か問題か。

仮に住むとしても、交通事情が良くなければオススメされないでしょう。



「分かりました。省きましょう。これで9件」

「オートロックがいいです!私のマンション、そうでしたから。あと宅配BOXはぜひ!色々とネット注文するので」

「美癒ぴーは作る派じゃないのか?」

「素材が必要なんですよ!……いえ、その。新しい土地に行くわけですし、近くに大きなショッピングモールや、せめてホームセンターがあるかどうか。心配もあるわけで」

「別に否定してないんだが、ま。便利だよな。宅配BOX(俺、そーいうのあんまりしないが)」


人によりますが、オークションやネット注文をする方に人気なのが、宅配BOXの存在ですね。やる奴とやらない奴が極端に出ます。そーいう物件だからこそ、ちょっと狭くてもご入居されたり。オートロックだから、1ルームでも構わないなど。様々な家に対して、人のように考えて住む人達です。



「角部屋にしね?」

「なんで?」

「周辺の音とか気にかけるから」

「あらら、男は大変なのねぇ」

「おう。でも、女も大変だろうが……って、言わせんな」

「角部屋の物件はここにないわね」

「そーいう時はちゃんと防音グッズ買おうね。何してるか、聞かないけど」

「美癒ぴー、声を荒げるな」

「別にしてませんけどー」

「俺はそーいう意味で確認したわけじゃない」



部屋の位置も重要です。また、隣人の様子も気になってしまうし、こればかりは中々選べる者ではありません。引っ越した時は誰も隣にいなかったのに、程なくしてやってきた人が変な方だったとか。色々と手に負えない人というのもいます。(例を挙げれば、ゴミ屋敷にする方とか)

自分がそうでならないよう、ある程度の秩序を守って生活をしましょう。

その家が賃貸である場合、隣人への度が超えた迷惑行為は追い出される原因にも繋がります。

また、先ほど日野っちが生活音についての不安を語っていました。色々とありますが、深夜帯は気をつけましょう。子供などは健気にピアノやギターを弾いたりしていますね。それが生活という方がいるのも事実ですし、朝から夜まで働く方とかいますので。確実に防ぐとは難しいですね。

床がフローリングだとかなり響いてしますね。皿を床に落としてすみません。壁などに目立つ傷をつけてしまった場合、解約時に補修などの請求があります。



「3F以上ってさすがに厳しいか」

「そうですか?」

「オートロックっているか?窓から侵入されたり、違う入居者と一緒に入ったら意味ない気が」

「そーいう事言っちゃいます!?気付いちゃいますか!」

「でも、あるかないかで気休め程度にはなるか」


位置や仕様によっては、オートロックの意味がほぼないところがあります。特にファミリー向けの大きいマンションですとご入居者と一緒に、無関係な人が入る事も可能です。隣の人の顔は知っていても、上下に住む人の顔まで普通は覚えられません。

とはいえ、抑止力にはかなり効果があると思います。ドアにはちゃんと鍵をしましょう。



「これの8階って気に食わないな。12階建てだけど、縦長のマンション。各階3部屋から2部屋。2LDKだけど、そんなに広くないんだよな。部屋を用意した感じだ。キッチンとリビング、洋室、洋室、ベランダという縦型という間取りだ」

「え?私、良いと思ってますけど」

「エレベーターは一つだし、中間のフロアって忙しい時。中々止まらないだろ。階段使うにしても高いし」

「うわぁー。アパート暮らしらしい発想です。別にそれは前もって、理解していれば対処できます。慣れればいいんです。家具も揃えるんです!」

「悪いか。俺はこっちの2階建ての2Fでオートロックなしだが、広い2LDKと宅配BOX付き(ドアと一体タイプ)のファミリータイプの賃貸アパートが良いと思うぞ。俺のも慣れればいい」



住んでいる家によって、理想とする家が違うのも仕方ないことです。美癒ぴーはオートロックかつ大型マンションかつ、中くらいの階層で中間に位置したマンションで過ごしていたため、どうしても選ぶ家が実家に似てしまうのはしょうがありません。

また、日野っちもアパート1人暮らし特有の、1階じゃなければいいや、角部屋が良いやとか、かなり広めの部屋を求めたりするのも仕方ない事です。

部屋は広いとかなり良いと実感します。掃除がちょっと大変ですが。



「さすがに全部の要望に応えるのは難しいですわね」

「ですよね」

「理想を叶えるのは次か、次の次だな」


初めての同棲で順調に行くかどうか。この家決めだけでも、不安を感じるくらいだ。しかし、こんな話や意見交換をできるのが、傍にいる人であろう。

どちらにも寄らず、自分にも寄らない。どっちつかずは悪いが、互いに気配りができるが良いだろう。


「……うーん。でも、そっか。日野っちは1人暮らし長いもんね。私、実家暮らしからだし」

「!いいか?慣れたら分かるさ!ただの2LDKじゃダメさ。広くて部屋と部屋を行き来せず、分かれているとこも良い。駐車場は近くで契約しよう。交通の便もそこまで悪くないし、かなり良いぞ!この物件!」

「色々と教えてね。それから」

「なんだ?」

「広いキッチンをとったというのなら!良くて大きい家具を頼むから!インテリア家具も揃えちゃうよ!日野っちが決めた家に、私が決めた家具!」

「そのつもりだから、俺はこっちの部屋をオススメするのさ」



日野っち。この判断が良かった。

別に否定するわけではないが、美癒ぴーが選ぼうとしていたマンションは1人暮らしをターゲットとしているマンションであった。1人暮らしでも狭くても2部屋あった方が良い人もいる。友達や彼女を連れてくるとか、色々な事情がある。


「まぁ、紙面で絞ったのなら、実際に物件を見てみるのが宜しいですわ」

「そうですね」

「……じゃあ、このアパートに行きたいが。ここは宇宙空間なんだろ?」


スッカリ忘れかけてたよ……。


「そういえば、どうやって地球に戻るか」

「安心してください」



ピンッ



「え?」


日野っちと美癒ぴーが、同時に見上げた。宇宙に空なんてないし、大地もない。感じる震動と音があって、恐怖させる言葉がララチェールから



ゴゴゴゴゴゴゴ


「隕石と共にご指定のアパートに向かいますので」

「おーーい!それ、地球壊すんじゃねぇのか!?」

「私達、また死ぬ想いするんですか!?単なる家選びで!!」

「ご安心を。私、こーいうことはしっかりとやる性分ですわ」

「しっかりするとこ間違えてる!」

「殺されますよーー!」



3人の足場となる不思議な絨毯は巨大隕石に吸い付き、その隕石はとてつもない速度と質量を持ってして、地球へと向かっていくのであった。地球最後の日、その間近を体験しかける2人であった。


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