残業代ってさ、仕事をした人がちゃんともらう権利なんだと思ってる
バァンッ
「ありがとうございまーす!」
タクシー業務。
それはただお客様を目的地に送り届けるだけという仕事と思われガチである。
車を運転することを日常的に使う客からしたら、楽な仕事だと思うだろう。楽な仕事なんてねぇよ。仕事を楽にしようとすることはあるけれど。
「大物を当てないと、あんまり稼ぎがねぇな」
お客様、1回乗せて平均、3000円を超えれば良い方だろうか?お客様を運んでいる時間はだいたい、25分ほどだ。
レジャーシーズンなどでタクシーの利用が増えるが、それもまた回数の上乗せぐらいが良いところ。労働というのはやはりコツコツとした積み重ねが常々だ。
「どちらまででしょうかー?」
「××××までなんだけど。◎◎◎◎通りから行って欲しいんだがな」
「畏まりました」
お客様は色々。単純に目的地を言ってくれたり、指定する道のりで行くように指示したり、急ぐように急かしたり、家族でご利用したり、仲間と一緒にご利用したり……。
乗れる範囲内での人数と荷物を一律料金で請け負うのである。かなり安くやってるよなって思う事もある。それで3キロ先の自宅までという。短すぎる。
バタンッ
「はーーっ、昨日はそれなりにできたのに、今日はあんまりできなかったです」
「仕方ないことだろう。俺だって、ボチボチだ」
初日の稼ぎは5万を超えたのに、4日目の今日は長くやったのに客が捕まらず、3万1800円の美癒ぴー。今日は7人しかご利用しなかった。
日野っちは10人ほど乗せるも、全員近場ばかりであり、2万7640円の稼ぎ。
「駅とか病院とか、テーマパークの近くとか、色々ありますけど。お客様が来るかどうかは大体運ですねぇ。路上で待つ人ってそんなにいない……」
「その上、行き先も運が絡むからな」
タクシーの初乗り料金は地域や会社によって異なる。
『VALENZ TAXI』は700円から始まり、1500mまでは700円。そこから250mごとに80円で加算されていく。ホントに短い距離だと、1000円を少し越えるくらいで終わる事もある。タクシーで稼ぐならやはり、長距離移動をしたい顧客を乗せる事である。
「テレポートして都会に行くか?」
「い、いいんですか?そーいうの?」
「アッシ社長に許可もらうかどうか悩んでる。言ってみるだけ言う」
「良いのかな?そっちよりは……」
物語がようやく始まった感じであるが、日野っちと美癒ぴーの2人で、爆発したタクシーの修理費を払うわけだが。道のりが結構遠く感じる。
「億だぞ!稼がなきゃいけない額は!手段は選ばないぞ!」
「そうだよね」
チマチマとタクシーの業務だけで稼げる額じゃない。魔法を使って、一攫千金が理想だ。アッシ社長に相談するも、
「今、そーいう客がいないんですよ」
「な、なんでだよ!せっかく働き手が2人になったのに!」
「それはお客様に言って下さい」
「じゃあ、サービスとかしても良いですか?"睡眠時間"とか、"瞬間移動"とか……」
「お客様の許可が必要です。特に許可や非常事態がないのに、魔法を使うのは厳禁とします。金を稼ぐ仕事ですが、ぼろ儲けする道具じゃないんで。早々都会に行くのも困ります」
2人の意見を拒否するアッシ社長。
そうガンガンと、特にお客様の意に反する使用は許すわけにはいかなかった。
「ワープやら、癒しやらを無理矢理に客に押し付けるのは良くない事です」
「くっ」
「まだ、4日ですよ。お2人は焦りすぎですよ」
「そうですかね?」
「ええ、地道にやってください」
『VALENZ TAXI』は通常のタクシーと異なり、魔法のサービスでガンガン稼いでいくシステムである。普段は普通のタクシーに紛れて、タクシー業務をして小遣いを稼ぎ、本当のご利用者でドーンッと稼ぐ遣り繰りである。
会社から見ても、リスクだけが上がってチビチビ稼ぐ金を増やすより、リスク少なく、ドーンッと当てた方が楽で確実であるからだ。
「ああ、そうそう。来月。ガンモ助さんが20日ほど休んじゃうんですけどね(ついでに今日もお休み)」
「それがなんだ?」
「私もその隙間で業務しますが、ガンモ助さんが引き受ける手筈だった仕事とかを引き受けますか?日野っちと美癒ぴーが望む、大きな仕事ですよ?」
「マジか!?」
早い段階でネタバレしておいた方が良いと思い、来月の勤務に良い取引を空けていたことを伝えるアッシ社長。
「やる!俺がやる!」
「私もやってみたいです!魔法がありなんですよね?使って良いんですよね!色々と!」
「ええ。まぁ、来月の事なんでそれまで我慢してくださいね。10日ほど」
「ああ、全然オッケー!」
その知らせにガッツポーズして引き受ける日野っち。一方で、月にそんなに休むガンモ助さんを心配する声を出す美癒ぴー。
「旅行かなんかですか?」
「そんなところでしょう。(美癒ぴーが働けない間、休みをずらしてもらっただけだよ)」
「タクシーって忙しそうに思ってましたけど、休みってそんなに取れるんですか?」
ここでタクシーの勤務形態について。(WIKIなどより参照)
そもそも勤務時間(正確には拘束時間)というのは、基本的に1日8時間の勤務に1時間の休息時間で定まっています。合計で9時間になります。
多くの企業もそれが労働のルールとなってますが、自分の企業も含めてあまり守られている事はないでしょう。基本もクソもなく、仕事が8時間以内に終わりませんよ(半ギレ)。ブラック企業の基準の一つでしょう。
ともかく、多くの企業はこの計9時間の勤務が定時です。
タクシー会社の勤務も、通常の労働者と同じく朝からの勤務があります。今は少ないそうですが、8時から17時までといった、病院などに通ったり、急ぐビジネスマン向けのタクシーもいるそうです。昼日勤と呼ばれるものです。
また、夜日勤と呼ばれる17時~夜中の2時までの勤務もあるそうです。こちらも少ないそうですが、電車を逃したサラリーマンや飲み会の帰りの人などのお客様をメインとしています。
昼日勤も、夜日勤も、1日9時間の労働をし、週5日の勤務という形になります。
今挙げた2つの勤務形態ですが、どちらも現在は少ない勤務形態だそうです。
タクシー会社の勤務の面白いところに。現在、主流とされている勤務形態というのは、『2日間の労働を1日でしてしまおう』というやり方だそうです。隔日勤務と呼ばれる勤務形態で、1日で昼日勤と夜日勤をやってしまおうというもの。つまり、18時間勤務をこなすやり方だそうです。
いちお、その中に休憩時間が3時間あるため、15時間の労働時間です。(それでも長すぎだろ)
1日中、走っているタクシーらしい勤務と言えます。これなら1日中、仕事ができます。
メチャクチャな勤務ですが、タクシーという都合上。休憩時間を取る判断は個人に委ねられており、自由なタイミングで良いそうです。
なので、駅前や空港などのタクシー乗り場で、お客様の長い待ち時間の時に休憩をとっているとか。合理的な休憩方法ですね、終わったらすぐにお客様を乗せることができて。
この隔日勤務ですが、1日に2日分の働きをするため。その仕事の翌日は明け番となり、公休(定期的に休む日)と合わさることで、月の勤務日数はなんと12日ほどしかないのです。明け番と公休と、有給休暇を少し組み合わせれば、1週間の休みを取れたりする事もできるそうです。ただし、その前後が猛烈にキツイと思いますし、自分や誰かの長期休暇があれば、仕事をした次の日が必ずしも休みになるわけでもないです。損する人もいる勤務形態とも言えます。休みの数はちゃんと数えて報告しましょう。直れば良いですけど……。
そして、気になるタクシーの残業についてです。
隔日勤務のため、18時間という長丁場の労働です。また、厚生労働省からの指導で一か月の拘束時間は262時間以内、1乗務(2日間)での拘束時間は最大で21時間と決められています。やっても3時間だけだそうです。こーいった残業の取り締まりは、タクシー会社でも成されているそうです。そもそも18時間も働いていたら、残業なんてする気になれませんよね。
ただし、タクシー会社の残業の未払いや夜勤時の手当てなどが未払いというニュースをちらほら上がるため、残業は少ないものの、しっかりと給与があるかは不透明な模様です。
これに関しては会社によりますし、ハッキリ言ってサービス残業なんて当たり前にやってる身や周りからすれば、個人の自由で良いかと思います。面倒くさがりなんで自分は構わないんですけど。
「私の会社はクリーンですよ。ちゃんと、手当てなどは保障してますから。稼ぎさえすれば」
「俺はそうじゃなかったら、とっくに辞めてるぞ」
追伸。かつ愚痴。
自分の仕事は8時間じゃ終わりませんが、8時間30分あれば終わらせるんで、30分も会社でダラダラしてるのは面倒なんで、すぐ帰ります。タイムカードなり、残業を記入するとこも、すぐにやってくれたり、やれるわけじゃないので。管理者を待つのもタルイんですよ。
休憩時間は1時間もいらんので。そこを削りますね。
もらわないというわけじゃないんですよ、1時間以上したら残業代は請求します。終わらない仕事も当然あるので。そこは判断してやっている感じですかね。
以前ですが、タバコを1時間吸ってたのに残業代出なかったとかの話があって。相手が何を言っているのか、よく分からないんですが、そりゃ残業代でねぇだろって思うんですがね。タバコ吸うのは仕事とは別やし、それは休憩中に済ませる事やろって。休憩時間は昼飯食べるので精一杯という相手の意見にも、理解し難いです。自分がタバコ嫌いな理由の一つです。
残業には色々あるんで、残業代が出ないというのは悪だというのは分かりますが、個人的な厳しいところを言うに、なんで残業代が支払われなかったのか。その人の勤務を観察したいなぁって、社会人になって気付けた事がありました。
そもそも残業したい奴っているの?自分、帰るんですけど。こーいうのを書くのが好きなので。
悪しき風習というか、残業する奴は真面目という意見もありますが、それ仕事が遅いだけじゃない?あるいは間違っているんじゃないか?という不安があります。
頑張って働いているのに残業代がないのはキレて良いと思います。ただし、まったく働きもしないで、ダラダラしてて、残業代をくださいというのは如何なものかと。仕事というか、会社というのは競争と利益追求が基本と思うので、支出を抑えたい面もあるはずです。
終わらない時はして、帰れるときはちゃっちゃと帰る。メリハリをつけた仕事をこなすのが、理想形だと思います。なかなかそれが難しいんですけどね。たまにそーいう社会人もいるので、正直うんざりする事があります。
まぁ、定時で帰る可能性がある仕事なのも今時珍しいんですかね。




