8/65
8話 欲しいのは夢の少女です
僕は扉の前に立っていた。
大きな扉。
門なのかもしれない。
それほど大きな扉。
真っ白で、綺麗な扉だと思う。
その先には何があるんだろう。
僕が手をかけようとする。
「その扉には鍵がかかってるよ」
僕にそう言ったのは知らない少女だ。
どうしてか顔がわからない。
でも、なんとなく知ってる。
「だから、鍵を見つけて」
少女は言う。
その先を聞きたくはなかった。
この扉を開けてはいけないと思ったから。
「その扉を開けて」
だけど、少女は続ける。
耳を塞ぎたい。
でも、体が動かない。
「それがあなたの役目だから」
もし、それが僕の役目だというなら。
僕はこの少女を恨みたい。
この虹の世界の神様を恨みたい。
「その先に私がいるから」