表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は○○○が欲しい  作者: 九王無
序章 僕は虹の異世界が欲しい
2/65

2話 欲しいのは一角の黒狼です

 思い出せ。

 世界は因果律によって支配されている。

 原因があれば結果があるんだ。

 キュゥ○えが言ってた。

 ならあのピンク頭の仕業に違いない。

 世界の法則とか意味わからんこと言ってた。

 まあ、それは置いといて。

 それどころじゃないし。


 分かることを思い出せ。

 ヒントがあるはずだ。


 そもそも、名前はなんだ。

 思い出せない。


 家族は。

 思い出せない。


 仕事は。

 ダメだ。


 記憶喪失。

 つまり、そういうことだ。

 漫画や小説の中でしか知らない病気。


 でも状況はもっとひどい。

 記憶どころか、体だって失ってる。

 それどころかナニもない。

 ナニもね。

 うん。

 この体は誰のなのか。


 僕は右手にはめられた指輪を外した。

 幼い手にしてはあまりに高価なその指輪。

 銀にも見えるが、月光に照らされると虹色の輝きを見せる謎の金属。


「明らかに、これだけが異質だ」


 服は汚れているのもあるが、それ以上に布地の質が悪い。

 髪も脂ぎっていて、まともな手入れをしていないようだ。


 明らかに異質な指輪を身につけた子供。

 それが今の僕だ。


 なす術がない。

 でもそれじゃあ済まされない。

 僕は立ち上がり、ヒントを探して周囲を見渡す。


 そこには大きな塊があった。

 なんだろう。

 森の木によって月光が遮られて、よくわからない。

 僕はどうしてか、それが気になって近づいてしまう。

 不用意だろうか。

 いや、今は情報を集めることが大事だ。


「わおぉぉーーーーーーーーーーーん」


 どこかで狼の声がこだましていた。

 でもそんなの気にならない。

 僕の目の前には死体があったのだから。


 映画の撮影でもしているのだろうか。

 西洋の甲冑を崩したような、ファンタジーの鎧。

 右手には諸刃の剣が握られている。

 あまりにあほらしすぎる死体。

 映画のセットが捨てられてるだけ。

 普通はそう思う。

 でもそう思えない。

 見開いた青い眼は死人のそれだ。


 わずかな月光が死体だと教えてくれえる。

 臭いがそれを人の死体だと教えてくれる。

 肌を突き刺すような感覚がそれは死体だと教えてくれる。

 心臓の鼓動がそれは人の死体だと教えてくれる。


 五感を超えた何かがそれが本物だと言っている。


 間違いなく、人が死んでいるんだ。


「―――――――――グルルルル」


 そして、背後に獣が忍び寄ってることに気付いた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ