1話 欲しいのは女の子の体です
僕はあまりの寒さに目を覚ます。
体は雪の中で眠ったのではないかと思うほど冷たく、意識も朦朧としている。
いったい、どこで僕は寝てたんだ。
そう思って周囲を見渡すと、森だった。
そう、森だ。
ほんとにどこだよここ。
東京の亀○とか言う地域で勤務してる公園前の警察官がよくゴミの上で寝てるけど、そんなのフィクションの話だろ?
テントも寝袋もなしに森の中で寝るとか、ありえないだろ。
うん。ありえない。
犯罪に巻き込まれた?
怪我とかしてないかな?
そう思って体を調べるが、おかしい。
明らかにおかしいのだ。
違和感というレベルじゃない。
明らかに違う。
僕は恐る恐る両の手を見る。
小さい。
あまりに小さいその手。
ありえない。
こんなことありえない。
どう考えたって、僕は大人のはずだ。
こんな子供じゃ持っているはずのない知識があるのだ。
数学、国語、英語、理科、社会、そういった知識は少なくとも高校生レベルのものがある。そのことは確信できる。
なのにこんな子供だっていうのか?
「ありえない、ありえない」
自分に言い聞かせるよう、自分を否定する。
夢に違いない。
明晰夢ってやつだ。
でも、それが現実逃避だってのはわかる。
現実逃避くらいさせてくれてもいいのに。
「落ち着け」
そう。
子供になったのは問題だけど、もっと大いなる禍が僕を襲ったのだ。
なんだろうか、このヒラヒラとするものは。
いやね、予想はつくんだけど。
なんだろうか、このスースーとするものは。
もうね、予想はつくんだよね。
いやいやいやいやいや。
そんなはずないじゃないか。
いくら記憶がなくたって、多少の知識は残ってる。
1+1が2になることが分かるように、聖徳太子や織田信長だって知ってる。水は酸素と水素だし、日本の首都は東京だ。
知識は残っているのだから、スカートは女の子の履くものくらい知っている。そりゃ、スコットランドとかだと男性の衣装と聞いたことあるけど、黒い三○星とかが乗ってそうなモ○ビル○ーツについてるけど。
普通は女性の服だってことくらいはわかる。
しかし、なぜか僕の股間はヒラヒラでスースーするのだ。
この感覚は今までに経験したことがないもの。
いやまて、知らないだけでズボンだってスースーするかもしれないだろ!
ちょっと自暴自棄気味だ。うん。
でも、そうに違いない。
根拠のない希望を持って、視線を下に向ける。
下半身に目をやるとそこにあるのはズボンではなく、スカート。
質素ながら可愛らしいスカート。
………
………………
………………………
もしかして、
もしかして、もしかして、
もしかして、もしかして、もしかして、
これは、あれでしょうか。
いやいやいや、まさかまさかまさか。
最悪の想像が脳裏をよぎる。
そう、僕は慌てるように股間部に手をやる。
………
………………
………………………
―――ない。
僕は女の子なのか?
それとも流行りの男の娘なのか?
いやいやいやいやいや、それはない。
だって、男の娘はついてるもん、生えてるもん。
ナニがとは言わない。
うん。
カタカナだけど「何」だよ。
うん。
でもね。
僕はどうすればいいの?
どうしたら、いいのか。
どうしたら、いいのでしょう。
どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら―――――――――
ドウシタラ、イイノデショウカ?
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