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「おい。なんでついてくるんだよ」

「そうかたいことを言うな。俺とお前の仲じゃないか」


 それってつまり他人ってことなんじゃないですかね。

 などと口に出すことはないが、そうかと適当に返事をする。

 俺ことショウは今日もパーティメンバーを探すために四苦八苦しているのだが、なぜか後ろにはジェイクがついてきてしまっていた。

 普通なら俺たちがこのように一緒に行動することはありえない。それこそ仕事だけの関係であるから、私生活にはノータッチなのである。Yesワーク、Noプライベート。休日にまで、なぜジェイクの顔を拝まないといけないのか。

 ……まあ、いい。

 今日も日課である町の散策をするだけだ。


「散歩などしばらくしていなかったな」


 ジェイクが独り言のように呟く。

 これ散歩じゃないし。そんな軽い気持ちでやってるんじゃないけどな。


「けっこう気晴らしになっていいもんだぜ。ほら、こうしているうちにも、日ごろ貯めていたストレスが発散されていくだろ?」

「ショウと話しててもつまらないし、逆にストレス感じるのだが」

「あ?」

「冗談に決まっているだろう」


 俺は睨み顔でジェイクの顔を見る。

 ジェイクはぷぷぷと笑いを堪えているような面で、とてもじゃないが冗談を口にしているとは思えなかった。

 舌打ちをして前を向くことにする。

 早くこいつとおさらばするためにも早くパーティメンバーを見つけなければ。




 ふと、荒々しい声が聞こえてきた。

 依頼を受けている時のようにジェイクと目配せをして、人が集まっている騒ぎの中心へと走り出す。

 こういうときのジェイクはとても頼りになるのだ。

 ほんとに仕事で関わっている時だけはいいんだけどなあ。


「どうかしたのか?」


 手短に周りの人から話を聞いてみると、どうも町のヤンキーが喧嘩をしているらしかった。

 派閥がいろいろあって、日常的に小さな抗争をしているが、目の前で起こっていることもそれだという。


「この程度か……」


 ジェイクが内心呆れたようにそんな言葉を漏らした。

 ジェイクがどのようなことを想定していたのかは知らないが、そうため息をつきたくなる気持ちも理解できた。


「てめえ!」

「おらおら!」

「やったるわい!」

「よいしょー!」


 ギルドもあり、街の外では魔物もうろついている。

 そんな中で生活している人たちの、さらに荒くれ者の喧嘩なのだ。

 ちょっとは期待しても罰は当たらないだろう……しかし、そうにも関わらず。


「なんていうか低レベルだな」


 殴り合いの喧嘩だった。

 誰一人として魔法を使うことはない。

 これだったら魔法学校に通っている小さな子供のほうが見栄えのある喧嘩ができるだろうというほどである。

 まあ、こんな喧嘩でも放っておいたら迷惑だろうし止めに入るとしよう。

 ジェイクにもそう提案してみると、


「それならば、俺の移動魔法を――」

「この場面でそれは役にたたんだろ」

「あ?」


 ここでまた別の争いがおきそうになるが、どうどうとジェイクをなだめることにする。

 そして、ジェイクを抑えるように手を出す。


「ここは俺に任せろ」


 ジェイクと俺は違うのだ。

 俺は手加減が出来る男。

 そして、思いやりを見せることが出来る男。


 ここで不良たちの喧嘩を力ずくで止めることは能無しにだってできるのだ。

 しかし、この場をスマートに解決することが出来るとすればどうだろうか。

 きゃー! ショウさんかっこいいー!

 ……である!

 つまり、俺の株が爆上げだ。

 そうすると俺のパーティに入れてくださいといってくる人は五万といるだろう。

 むしろこちらからお断りしないといけない人数まであるかもしれない。

よし。

 完璧なる計画だっ!


「そこのお前ら――」

「何事だッ!!!!」

「――へ?」


 いや、ちょっと待ってよ。

 なんで俺の話しているときに声を上げるんだよ。おかげで俺の声がかきけされちゃったじゃないか。

 そんな不届きなことをするやつは誰かと確認しようと目を向けると、そこに立っていたのは、


「私たちは警備隊のものだ! さあ、詳しく話を聞かせてもらおうか!!」


 ……え?


「また貴様らか! 懲りない奴らだな! さあ、こっちにこい!」

「ひいいぃぃ」

「いやだあぁぁ」


 警備隊さんや……。

 今、俺が解決しようとしていたのだけど……。


「あとは私たちが解決しておきますので、ご安心ください!」


 周りにいた住人から賞賛の声があがる。

 やはり警備隊の人はすごい。

 この人たちのおかげで町は平和なのだ。


「あっ、あっ」


 止めようとしていた時にしていたカッコイイポーズのまま固まっている俺。

 ひそひそと俺を遠巻きに見るひとたち。

 そこでジェイクが話しかけてきた。


「誰に任せろって? クスクス」

「うるっせー!」


 のちにミュウから聞いた話によると、このときの俺の声は町中に響いていたそうだ。

 それがまた俺の評判を下げているらしい。


 なんというか、まあ……恥ずかしさで死にたい。

息抜き終わり

明日から本気出す

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