暗号はそれぞれ持ち寄った◯◯
サトシの足が止まる。
「ここだよ。」
細い階段の前に立たされた。
暗い階段が、下へ下へと続いている。
「地下!?」
「そ!本格的に秘密基地な感じでしょ?(笑)」
「すごーい。」
どうしよう、わくわくがおさまらない。
「じゃ、いこ。ちなみに暗号があるんだ。」
「へえ!どんなの?」
「まあまあ。それはお楽しみだよ。」
どんどん先へ行ってしまうサトシの後ろを、
恐る恐るついていく。
ーーーピンポーン
「普通のチャイム(笑)」
「うるせーな(笑)」
こんなやりとりなのに
サトシの顔は紅潮している。
異性のそういう姿は、なんだか見ていて恥ずかしい。
甘酸っぱい思いが溢れた。
サトシといて楽しい。
だけどそれだけじゃない。
他の感情も…
なんだかわからない、他の感情もある。
そう確信した自分がいた。
ーーー(暗号は?)
そんな思いを噛み締めていると、
インターホンから男の子の声が聞こえた。
サトシはニヤニヤしながら言う。
どんな暗号なんだろう。
こんなに本格的な地下の秘密基地だ。
子供とはいえ…
などと妄想を膨らませていたら。
「…アメじゃないのに?(笑)」
ーーー((笑)めちゃあまーい。はいどうぞ。)
…ゆるい。
どこもかっこ良くない。
今のが地下秘密基地への暗号?
…私の期待を返して。
「…何今の?」
「暗号(笑)」
「うそうそ、みんなに会わせてから教えるよ。」
「みんなって…」
「さっきインターホンで出た奴と、もう1人だよ。」
秘密基地の中からメロディーが聴こえる。
私を呼ぶ2人の声が聞こえる。