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#7 「お菓子の男」

#7 「お菓子の男」

白雪姫は隣の部屋から聞こえる声をききました。

「重要なのは過去ではない…立ち上がらないんですか…僕は…必要としている」

白雪姫には何の話かわかりません。不愉快に思いました。

「…また来ます。良い返事を期待していますから…」

バタンと扉の閉まる音がしました。

白雪姫は再び眠ります。忘れてしまった遠い思い出を求めて。


「…なるほど。そういうことですか。」

別の日、白雪姫部

屋の扉が開きました。見知らぬ若い男が真っ直ぐに白雪姫を見つめました。

「彼らは、あなたを利用するつもりで居た。だから僕の話を聞かない。」

白雪姫にはなんの事だかわかりません。先日の扉の向こうの声と同じ。

「あなた、きらい。しーは、おやすみするの。でてって」


「失礼しました。知らぬこととはいえ淑女の寝所に立ち入った非礼をお許しください。」

深々と男は頭を下げ、部屋をあとにした。

「また来ます。」

扉の向こうで白雪は男の声がするのを聞きました。


また別の日。


コンコンと扉を叩く音。その向こう側で男の人の声がしました。

「失礼します。こちらの家の方々はお留守のようなので、少し待たせていただきます。」

「それと、先日のお詫びに、菓子をお持ちしました。お茶も入れて扉の前に置いておきますね。もしよろしければ…」


お菓子は欲しい。お茶のいい香りがする。

白雪姫は扉に手をかけようとしますが、扉の向こうの声に体が止まってしまいました。


「先日お姿を拝見しまして、不思議に思ってました。どうしてあなたのような高貴な方がこんな所ににいるのでしょうか。」


なんでだろう。

白雪姫は思い出そうとしましたが、怖くなったので止めました。


「答えなくてもかまいません。」

沈黙と長い時間が過ぎました。

「そろそろ帰らないといけません。彼らによろしくお伝えください。」

そんな声が聞こえ、男の気配は無くなりました。

白雪姫は扉を少し開き、お茶とお菓子を招きました。

すっかりお茶は冷めていましたが、お菓子のとろけるような甘さに、白雪は微笑みました。


それから、幾度となく男は来ました。白雪姫はこの男をお菓子の人と心の中で呼びました。



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