#6「りんごと粉とガラスの棺」
#6「りんごと粉とガラスの棺」
しばらく時が経ちました。
また、知らない女の人が訪ねてきました。
外の人を入れてはいけないと言われていたので、はじめは拒みました。
「大丈夫よ、あの人たちはまだ戻ってこない。」
「今度持ってきたのは、このりんご。あなた、好きだったのよね。食べてしまえば分からないから。」
りんごを煮詰めた菓子には、白い粉がまぶされていました。
甘味の奥に少ししびれる苦みが在りましたが、それはいやな感じでは在りませんでした。
だんだんと、暗くなっていきます。お茶とお菓子の香りが白雪の心を少しずつ溶かしていきました。白雪の鼓動に合わせ、柔らかな手が体を擦ります。
「今は、ゆっくりお休み…」
何処か懐かしい柔らかな声が聞こえたような気がしました。
「しー」はお母様大好き。
白雪は遠い遠い夢をみていました。
目覚めた白雪の世界は変わっていました。
かけられる声は僅かに震えて聞こえ、白雪自身には届きません。
見える景色は鮮明さを失い、柔らかでした。
すべてはガラスの向こう側で起こっている届かない世界。おとぎ話の中に居るように思えました。
「姫様、しっかりしてください。」
小さき人の声に、白雪はゆっくり頷きます。
ですが、落胆したような顔をした小さき人は背中を向けました。
白雪は首を傾げた後、再び横になりました。
また、楽しい夢が待っている。




