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#5「髪結いの櫛」
#5「髪結いの櫛」
別の日、白雪一人の小さな家に髪結いを名乗る者が訪ねてきました。
髪結いは白雪の髪の流れを整え、あるべき方向へ流していきました。
髪結いは、櫛を差し出します。
「母の形見ですが、きっとあなたのような人が手にすれば母は喜びます。」
髪結いの母親は無理をして手に入れたものだったのかもしれないと思いました。
尖った櫛の先は鋭い針のようで、恐くもあり、また美しくもありました。
戻ってきた小さき人の一人がくしを見て慌てました。
「姫様、櫛の尖った先が危のうございます。」
櫛の針をヤスリで削り、丸くして白雪姫の手に戻した。
白雪には櫛の輝きが失われたように思え、僅かに頭を落としました。
「細工には自信があるんですよ。これでも昔は…」
小さき人の言葉を白雪は最後まで聞き取れませんでした。




