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#0「おこなのお母様」〜#1 「白雪姫と鏡の女王」

本作をお読みいただき、ありがとうございます。

幼い日の淡い記憶から始まる、ある一国の物語です。

どうぞ最後までお付き合いいただけますと幸いです。


#0「おこなのお母様」


「ふつうのお母様」と、粉の匂いのするお母様。

「おこなのお母様」はケーキやクッキーを焼いてくれた。

「おこなのお母様」は「ふつうのお母様」みたく、怒らない。

どうして、「しー」のお母様はふたりいるの?」


そう聞いたら、「おこなのお母様」は居なくなってしまった。


「ふつうのお母様」は前より「しー」に優しくなった。

だから「しー」は「おこなのお母様」の事を忘れてしまった。


#1 「白雪姫と鏡の女王」


むかしむかし、ある国にお妃様がいました。

そのお妃様は、雪のように白い肌、血のように赤い唇、そして黒檀のように黒い髪を持った、美しい女の子を願っていました。

そして、その願い通りに生まれたのが、白雪姫でした。


お母様は、変わってしまわれた。

白雪が12の歳になった頃から、お妃様の白雪への躾がいっそう厳しくなりました。

もう立って居られないのに、踊りの指南は続きました。

夜遅くまで国の始まりの伝承を復唱させられました。

朝の食事の前には、市中の人への声掛けに連れ出され、足が痛くなりました。


ある日、白雪は鏡台の扉の隙間から鏡台の前に座るお妃様を見てしまいました。

白雪姫は部屋に近づくと漂う化粧の粉の香りがなぜだか、好きでした。

レッスンが厳しくなってから、その香りは強くなっているとかんじていました。


お母様はすこし疲れているのかしら。はじめはそう思い、声をかけようと扉を開けかけました。


お妃様の後ろ姿、仕草は大好きなお母様そのものなのに、


鏡に写っている顔が違っていたのです。


知らない人の顔。誰。


白雪は、そっと扉を閉じ、部屋をあとにするのです。


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